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先進企業から見えたソーシャルメディアの真実 (1/5)

2010年07月01日 10時00分更新

文●まつもとあつし

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セミナーの模様

企業のWeb担当者やマーケティング担当者らが参加した「企業Twitterは誰が使うべきか」セミナー。写真は登壇者が揃った質疑応答にて

 アスキー総研が3月に開催したセミナー「リアルタイムウェブ時代の企業ブランディング」から、約3カ月が経過した(関連記事)。わずか3カ月ではあるが、この間にも企業のTwitterの利用はさらに進み、「とにかくやってみる」という段階から「戦略的に活用して評価する」という次の段階へ進む企業も出てきている。

 企業はどのような体制でTwitterに代表されるソーシャルメディアと付き合っていけばいいのか? どのようなツールや指標で評価していけばよいのか? 専門家や先進企業の実務担当者が事例をもとにノウハウを紹介し、議論するセミナー「企業Twitterは誰が使うべきか」(主催=Web Professional編集部、アスキー総合研究所Web Directions East、協力=内田洋行 知的生産研究所 )が6月18日、東京・中央区の内田洋行ユビキタス協創広場 CANVASで開催された。


ソーシャルメディア担当者に必要な4つの資質

株式会社トライバルメディアハウス SMMコンサルティング部 SMMアナリスト イケダハヤト氏


 最初に登壇したイケダハヤト氏(@ihayato)は、トライバルメディアハウスでソーシャルメディアのアナリストとして活躍する傍ら、非営利団体のソーシャルメディア・マーケティングを支援する活動をしている。イケダ氏はすでに米国を抜いたとされる日本のTwitterの普及率を紹介しながら、現在のTwitterの盛り上がりをどう捉えるべきか、考えを述べた。

 日本では1日あたり780万件、1分あたり5500件ものTweetが発信され、現在も数字は日々伸び続けている。イケダ氏はこうしたソーシャルメディア全盛の時代を読み解くキーワードとして、「情報の可視化」と「マッチング」の2つを挙げた。

 140文字の気軽なつぶやきによって消費者の身近な情報がWeb上に可視化され、企業にとっては新たなタッチポイントが生まれている。たとえば「お昼にマクドナルドのハンバーガーを食べた」といったつぶやきは、Twitter以前のブログの時代には表出することはまずなかったことだが、現在では企業側がソーシャルメディアを通じて情報を知り、その気になればアプローチをかけることもできる。

 今後、ソーシャルメディアによる情報の可視化はますます進んでいくとイケダ氏は見ている。すでにさまざまな可視化サービスが生まれて、若い世代を中心に利用者を伸ばしている。「Web上での個人のアイデンティティが明確になっていくことで、企業は消費者とのパーソナルなコミュニケーションをとれるようになる」

イケダ氏が紹介したさまざまなサービス。Web上での情報の可視化が今後ますます進んでいくという


 「企業Twitterは誰が使うべきか」というセミナーのテーマに対して、イケダ氏は「誰でもよい」としながらも、必要な資質を4つ挙げた。

 1つは「愛」。当たり前のようだが、自社の商品やサービスに対する理解やこだわりがなければ、顧客とのコミュニケーションは深まらない。2つめは関係部門やキーパーソンとの「社内調整スキル」、3つめは複数のサービスに精通した「ソーシャルメディアの土地勘」、4つめは企業対消費者だけでなく、消費者同士のコミュニケーションにもかかわる「コミュニティ・マネジメントスキル」だ。

 イケダ氏はインターネット登場以前には難しかった、個々のコミュニティの維持・拡張がソーシャルメディアの普及・進化によって容易になってきたと指摘する。今後はユーザー同士のコミュニケーションをマネジメントし、促進する「コミュニティマネージャー」が必要として、講演を締めくくった。

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