Windows Phone 7で新しい広告手法を持ち込む
一方、6月20日から26日までフランス・カンヌで開催された広告イベント「Cannes Lions」では“あらゆるエンドユーザー向け”とするWindows Phone 7の広告戦略が明らかになった。
モバイル広告市場でも、GoogleのAdMobの買収、Appleの「iAd」発表などにより競争が始まりつつある。Microsoftはここで、Windos Phone 7のユーザーインターフェイスの特徴である「タイル」と呼ばれる正方形のアイコンを活用する戦略のようだ。
Windows Phone 7では、ユーザーはタイルをクリックしてアプリケーションを動かしたり、メッセージを読んだり、コンタクトにアクセスすることになる。このタイルはカスタマイズ可能で、ライブでアップデートされる。広告主はタイルを利用して広告コンテンツをプッシュ配信することで、オーディエンスにリーチし関係を維持できる。ユーザーがこのタイルを画面に貼り付けていない場合(起動していない場合)も、通知ボックスによりアップデートを知らせる「Toast」という手法を用意するという。
Microsoftはこのイベントで、Bingでの音声検索などWindows Phone 7の新機能も披露している。また、Windows Phone 7を搭載した端末が10月に登場することにも言及している。
このようにモバイル戦略を進めているMicrosoftだが、状況は苦しいといわざるをえない。調査会社のGartnerが5月中旬に発表した2010年第1四半期のスマートフォン市場データによると、Windows Mobile端末の出荷台数は前年の373万8000台から370万台に減少している。Symbian、Research In Motion(BlackBerry)、iPhone OS、Android、Linuxなど数あるモバイルOSの中で、出荷台数が減少したのはMicrosoftだけだ。この結果はシェアで前年同期の10.2%から6.8%と大きく縮小、初めてAndroidに追い越され、5位に終わっている。
モバイルOSの顔ぶれを見ると、端末とOSを一社で提供するApple、RIMを除くと、OEMに頼るSymbian、Android、Linuxはどれもオープンソースの無料プラットフォームだ。OEMがライセンス料金を払ってMicrosoftを選ぶ理由を明確に示せない限り、Microsoftがスマートフォン市場での戦いを好転させるのは難しいように見える。
筆者紹介──末岡洋子
フリーランスライター。アットマーク・アイティの記者を経てフリーに。欧州のICT事情に明るく、モバイルのほかオープンソースやデジタル規制動向などもウォッチしている
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