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ネットは「アニメの全体」学べる小さな社会 「眼鏡」監督に聞く

2010年06月26日 14時00分更新

文● ノトフ

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「この20分間は楽しめたよ」という感動を

―― irodoriさんの作品はアート方向じゃなくて、エンターテインメントですよね。好きでやってるっていうスタンスになると、アート的な「俺の作品を見ろー!」みたいなテイストになりがちですけど。

たつき やっぱりエンターテインメントがやりたいですね。笑えるものだけじゃなくて、こう思ってほしいなって思いで作ってみて、判断はお客さんに任せるのが楽しいですよ。それに反応がすぐに分かりますし。ニコニコ動画は「このカットでこう思うのか」とか。

irodori第2作「たれまゆ」もエンターテイメントなアニメ

―― ニコニコ動画は反応が早いし、時間ごとに感想がちがうのが面白いですね。

たつき ニコニコ動画だと、多少分かりづらい要素も入れられるのが面白いんですよ。気づきづらいネタを仕込んでおいても、10人見れば1人くらい気づいて突っ込んでくれるんですよ。「おおー、よく見つけたなー」みたいな(笑)。そういう対話、ゲーム感覚の感じでやってます。

―― なるほど。そんなチームirodoriはどういった方向へ進もうと? 独立とか。

たつき 分かりませんね。流れに身を任せつつですけど、エンターテインメントだけはちゃんと最後までやっていきたいです。メンバーもそれぞれ野望があるので、irodoriを通して叶っていくといいです。

―― たつきさんの野望は?

たつき 今は、その場その場で思いついたことをやっているのですごい幸せなんです。お客さんも支えてくれるし恵まれてるなぁって思いますね。達成したいことは、「眼鏡」は20分の作品になっていて、この長さはテレビの30分枠のサイズなんですね。

 ということは、絵の質や動きはプロの作品に及ばないにしても、20分間という、プロが作ったアニメと同じ時間をどっかの誰かに楽しんでもらえたかもしれないってことですよね。それが面白いなと思ってるんです。

 「ジブリやピクサーはもちろんすごいけど、irodoriの作品でも、この20分間は楽しめたよ」って言ってくれる人が、1万人に1人でもいいからいてくれたらいいなって野望はあります。

―― すごくクリエイター魂を感じます。いいですね。

たつき チームって方向だと、まだゴールの前例がないですよね。そこが面白いところでもあり、大変なところなんですけど。

―― 外から見てて思うのは、自分たちの作品を売っていくことじゃないですか?

たつき 映像は無料で見られるものっていう刷り込みが大分ありますけどね。

―― irodoriも無料じゃないですか。でもDVDを買ってくれる人がいるのが面白い。

たつき 無料で見ている人って、最後まで見てオチまで分かってるけど、面白いと思ってくれれば買ってくれるんですよね。僕もそういうところはあって、この人いいなって思ったら、持っていたいと思います。自分の作品を見ている人に、購入したい、所有したいとうレベルまで好きになってもらえるのは、最高に嬉しいことだと思うんですよ。

CDやDVDは動画の中で宣伝している



著者紹介――ノトフ

 老舗ニュースサイト「かーずSP」かーず氏の弟子としてライター活動を始める。ブログは「はつゆきエンタテインメント」。

 自主制作番組「はつゆきラジオ」や、ニコニコ生放送などで主に活動中。最近は女装をして、ネットで顔出しをすることで一部の人に面白がられている。


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