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iPhone 4 最速レビュー! すべてを変えるスゴさを体験

2010年06月24日 07時01分更新

文● 林信行

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【その5】高画質なテレビ電話「FaceTime」

 5つ目の特徴は、テレビ電話の「FaceTime」だ。

 無線LANのある環境でiPhone 4のユーザーに電話をかけると、電話操作用の6つのボタンの下側に「FaceTime」というアイコンが現れる(通常は「保留」)。

 このボタンを押すと「ピリピリピリ」という音が鳴って、ビデオ通話への呼び出しがかかる。相手がFaceTime通話を受け付けると、認識したことを示す効果音が聞こえてビデオ通話が始まる。ちなみにここで使われている音は、Macユーザーにはお馴染みのメッセンジャー「iChat」と同じだ。





FaceTimeの動作画面

 テレビ電話は、これまでもFOMAなどの携帯電話で提供されていたが、FaceTimeの特徴は無線LANを経由して圧倒的に高い画質を実現したことだ。カメラを素早くパンしても、あまりブロックノイズが現れない。iPhone 4の向きを傾けることでポートレート(縦長)撮影もランドスケープ(横長)撮影も自由自在だ。

 ちなみにテレビ電話の通話は、無線LANを経由している。実はテスト中に電波の具合が悪くなって3G網から圏外になってしまったが、その間もFaceTimeの通話は途切れなかった。

 アップルは、FaceTimeの技術をオープンにして、もっと対話をできるデバイスを増やしていくという。筆者は効果音や操作方法などがそっくりなことから、次のMac OS XのアップデートでiChat AVとFaceTimeが通話できるようになると見ている。


「何ができるかではなくて、どのようにできるかだ」

 今まで上げてきた5つの特徴のほかにも、新しいモバイル向けOS「iOS 4」を採用したことは大きなトピックだ。電子書籍ビューワーの「iBooks」やモバイル向け広告プラットフォームの「iAd」が使えるようになり、Bluetoothのキーボードにも対応した。

 もっとも、iOS 4の機能は、iPhone 3GSでもOSをアップデートすれば使えるものだ(関連記事)。そして、これまでのiPhone 3GSでは不可能で、iPhone 4のみが実現できることを改めて考えてみると、その数は意外と少ない。

 しかし、iPhone 4で問題なのは、何ができるかではなくて、どのようにできるかだ──。これはUSA Todayのエド・ベイグ記者がiPadのレビューで書いた言葉だが、まったく同じことがiPhone 4にも当てはまる。

 「どのようにできるか」の違いは、例えば、今後、登場していくでiOSアプリで分かるだろう。

 2008年のiPhone 3Gと同時にデベロッパーがアプリを作って販売できる「App Store」がオープンした。これによりiOSアプリの市場が花開き、今日では22万5000本がApp Storeに登場するまで急成長している。

 iPhone 4の登場は、このiOSアプリのレベルを一段引き上げてくれるだろう。ハイビジョンに近い画質の液晶、500万画素の新型カメラ、ユーザーの向きやiPhoneの上下の傾きまで正確に検知してくれる3軸ジャイロセンサー──。

 こうしたiPhone 4の新機能によって、例えば「セカイカメラ」などの拡張現実系アプリケーションも精度が上がって、新しい表現ができるようになるはずだ。それに加えて、これまではハードの制約でやりたくてもできなかったり、誰も発想しなかった新機軸のアプリも出てくるだろう。

 「どのようにできるか」は、人々のコミュニケーションにも関係してくる。2009年登場のiPhone 3GSは、iPhone 3Gより2倍高速になって、動画の撮影も可能になった。iPhone 3GSの発売から1週間でYouTubeに投稿される動画のアップロード量が4倍に増えたという報告もある。

すでにiPhone 4のretinaディスプレイに対応したアプリも登場している。左の「Twitter for iPhone」は滑らかな表示で読みやすくなった。右の「Evernote」ではサムネールの文字までクッキリ。これが新世代iPhoneアプリの品質だ

 そのPhone 3GSと比べても大幅に高速になり、ついにハイビジョン動画まで扱えるようになったiPhone 4では、動画によるコミュニケーションが大きく変わるはずだ。

 iPhone 4には、「すべてを変えていきます。もう1度。」というキャッチコピーが付いている。

 新しいiPhone 4を手にしてみると、本当にここから新しいiPhone革命が始まるのではないかという勢いを力強く感じ取れる。


筆者紹介──林信行


林信行氏

林信行氏

 フリーランスITジャーナリスト。「iPhoneショック」(日経BP)の筆者。大学や企業で講演をしたり、製品/技術開発のブレインストーミングに参加することも多く、製品コンサルタントとしての顔も持つ。ジャーナリストとしては、デジタル技術によって変わる人々のライフスタイルやワークスタイルに大きな関心を持つ。ハード、ソフト、ウェブの技術だけでなく、アートやデザイン、コンシューマーやIT系企業の文化についても取材/執筆活動をしている。

「MACPOWER」「MacPeople」元アドバイザー。著書に「スティーブ・ジョブズ ー偉大なるクリエイティブディレクターの軌跡」(アスキー・メディアワークス)、「アップルの法則」(青春出版)、「iPhoneとツイッターはなぜ成功したのか」(アスペクト)など。など。自身のブログは「nobi.com」。



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