ALi/ULiチップセットの歴史 その2
AMDやATIまで手を広げるも、買収で終わったALi/ULi
2010年06月21日 12時00分更新
HyperTransportに対応した最初の製品がM1681で、サウスブリッジもM1563に変わっている。機能的には533MHz FSBとDDR-400への対応、AGP 8Xへの対応が主な違いであるが、ほかにもサウスブリッジ更新により、USB 2.0の対応やUltraATA 133への対応などもようやく行なわれた。
そのM1681の改良版が、「M1683」である。当初は2002年中にリリースさせたかったらしいが、実際のリリースは2003年7月までずれ込んだ。M1681との大きな違いは、800MHz FSBに対応する点だけだが、一応M1681とピンコンパチブルが保たれていた。
このM1683をベースに、3D GPU(詳細は不明だが、CyberBrade XP2の改良型であるXP4などと言われている)を統合したものが、「M1682」として2003年6月のロードマップで予定されていた。ところが翌年のロードマップでは、きれいに消えていた。絶対的なGPUの性能が不足していたことに加えて、2003年にTrident自身がXGI Technologyに買収されためではないかと思う。
これに続いて、DDR2やPCI Expressに対応した「M1685」が、当初は2004年中の量産を目指していた。しかし、実際に製品がリリースされたのは2005年10月と、かなり遅れることになった。さらにロードマップでは、M1685にデュアルチャンネルのメモリーコントローラーを統合した「M1691」が2006年のリリースを予定していたが、実際にはULi自体がNVIDIAに買収されてしまい、幻の製品となってしまった。
K8向けでシェア奪回を目指すも買収でゲームセット
インテル向けの次はAMD向け製品を振り返ってみよう。ALADDiN 7は「Super 7」と言いながらも、対応CPUに「AMD K6-2/3」とはっきりうたっていたので、事実上はAMD向け製品といった趣があった。しかし、2000年6月にリリースされた「ALiMAGiK 1」はSocket A向けで、今度こそAMD専用製品であった。
とはいえ、シェアを握るところまではいけなかった、というのが正直なところである。時期的には競合の「SiS735」などよりも早く投入されていたし、スペック的に見劣りする部分もなかったのだが、とにかくこれを採用したマザーボードメーカーがVIAやSiSに比べて格段に少なかった。もちろんNVIDIAとは比較にもならない。
結果としてSocket Aに関しては以降、事実上見送りになってしまう。このALiMAGiK 1にCyberBlade 3Dを組み込んだ「CyberMAGiK 1」が、モバイルや省スペースパソコン向けにリリースされている。しかし、省スペース向けはともかくモバイル向けに関しては、CPUであるK7の消費電力が大きすぎ、「Mobile Duron」などが若干バリュー向けノートに採用された程度だったから、もうどうしようもないところ。
そこでALi/ULiとしては、K8(Athlon 64)向けでシェア奪回を狙おうとするが、これもうまくいかなかった。まず2002年6月に「M1687」を投入するが、発表はともかく実際にこれを搭載した製品が出てきたのは、2003年に入ってからのこと。続いて、機能的には同等ながらこれをワンチップ化した「M1689」を、これも当初予定では2003年中に量産するつもりだったが(2003年第3四半期にエンジニアリングサンプル、第4四半期に量産出荷の予定)、実際にリリースされたのは2004年5月と、大分遅れることになる。
さらに、このM1687に3D GPU(これもM1682同様、TridentのCyberBlade XP4ではないかとの説あり)を統合したものを「M1688」として2004年第1四半期にリリースする予定であったが、M1682と同じく、こちらも幻の製品となってしまう。
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