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T教授の「戦略的衝動買い」 第103回

コイルが中央に鎮座!! 大胆デザインの「シチズン7400」

2010年06月17日 12時00分更新

文● T教授

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今回、衝動買いした「多局受信型電波腕時計7400」。文字盤の中心を貫いたアンテナが目を引く

 筆者の自室には、置き時計や掛け時計、腕時計を合わせると常時10個以上の電波時計がある。音叉時計、クォーツ時計といった時代を通り過ぎて、今や時刻の正確性では右に出るモノがないと理解されているのが電波時計だ。

 筆者は、電波時計が「電波時計独特の面構え」をしていた時代が大好きだ。歴史で見ると、電波時計や電波腕時計を最初に開発したのは、ドイツ最大の時計メーカーであるユンハンスである。1990年に発売した世界初の電波腕時計「MEGA1」は、フロッグデザインの手による極めて現代的なデザインだったが、少し味気ないデジタル表示式だった。

 不思議なことに、時計の革新的な技術というのはいつも別々の国、別々の会社から登場している。音叉時計は米国のブローバが、クォーツは日本のセイコーが、最新の電波時計は先ほど触れたようにドイツのユンハンスがそれぞれ世に送り出した。

 しかし、人間とは困った生き物である。電波時計で時刻の正確性が保証されるようになると、それ以前のクラシックな技術に新たな工夫を凝らして、どこまで正確性を極められるかを競いたくなる。それで機械式腕時計がリバイバルした。

 腕時計に限らず、テクノロジーが完璧を極めると必ずその反動がある。常に人間は「デジタル」だけでは満足を得ることのない生き物なのだろう。

 今回、筆者がやっと見つけて戦略的衝動買いを果たしたのは、ユンハンスの「MEGA1」に遅れること3年、1993年5月にシチズンが発表したアナログ表示の電波腕時計「多局受信型電波腕時計7400」だ。

左より、音叉式の「ブローバ・アキュトロン」、クォーツ式と機械式をハイブリッドにした 「セイコー・スプリングドライブGMT」、シチズン7400

こちらは左より、シチズン7400、普通のサイズを模索しつつ外付けアンテナを採用した多局受信電波時計 「シチズンアテッサ」 、完璧な内蔵アンテナを実現した電波時計「カシオEDIFICE」。技術を隠すか主張するかは、外観デザインを考える上でひとつのテーマになる

 当時、多局受信の電波時計は世界初だった。中部ヨーロッパ、イギリス、日本から発信されていた3つの標準時刻電波を自動受信して、今いる地域で正しい時間を表示してくれるというグローバル対応の時刻表示を実現していたのだ。


「戦略的衝動買い」とは?

 そもそも「衝動買い」という行動に「戦略」があるとは思えないが、多くの場合、人は衝動買いの理由を後付けで探す必要性に迫られることも多い。

 それは時に同居人に対する論理的な言い訳探しだったり、自分自身に対する説得工作であることもある。このコラムでは、筆者が思わず買ってしまったピンからキリまでの商品を読者の方々にご紹介し、読者の早まった行動を抑制したり、時には火に油を注ぐ結果になれば幸いである。

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