筆者の自室には、置き時計や掛け時計、腕時計を合わせると常時10個以上の電波時計がある。音叉時計、クォーツ時計といった時代を通り過ぎて、今や時刻の正確性では右に出るモノがないと理解されているのが電波時計だ。
筆者は、電波時計が「電波時計独特の面構え」をしていた時代が大好きだ。歴史で見ると、電波時計や電波腕時計を最初に開発したのは、ドイツ最大の時計メーカーであるユンハンスである。1990年に発売した世界初の電波腕時計「MEGA1」は、フロッグデザインの手による極めて現代的なデザインだったが、少し味気ないデジタル表示式だった。
不思議なことに、時計の革新的な技術というのはいつも別々の国、別々の会社から登場している。音叉時計は米国のブローバが、クォーツは日本のセイコーが、最新の電波時計は先ほど触れたようにドイツのユンハンスがそれぞれ世に送り出した。
しかし、人間とは困った生き物である。電波時計で時刻の正確性が保証されるようになると、それ以前のクラシックな技術に新たな工夫を凝らして、どこまで正確性を極められるかを競いたくなる。それで機械式腕時計がリバイバルした。
腕時計に限らず、テクノロジーが完璧を極めると必ずその反動がある。常に人間は「デジタル」だけでは満足を得ることのない生き物なのだろう。
今回、筆者がやっと見つけて戦略的衝動買いを果たしたのは、ユンハンスの「MEGA1」に遅れること3年、1993年5月にシチズンが発表したアナログ表示の電波腕時計「多局受信型電波腕時計7400」だ。
当時、多局受信の電波時計は世界初だった。中部ヨーロッパ、イギリス、日本から発信されていた3つの標準時刻電波を自動受信して、今いる地域で正しい時間を表示してくれるというグローバル対応の時刻表示を実現していたのだ。
「戦略的衝動買い」とは?
そもそも「衝動買い」という行動に「戦略」があるとは思えないが、多くの場合、人は衝動買いの理由を後付けで探す必要性に迫られることも多い。
それは時に同居人に対する論理的な言い訳探しだったり、自分自身に対する説得工作であることもある。このコラムでは、筆者が思わず買ってしまったピンからキリまでの商品を読者の方々にご紹介し、読者の早まった行動を抑制したり、時には火に油を注ぐ結果になれば幸いである。
この連載の記事
-
第776回
トピックス
発売日に電子メモ「Boogie Board(papery)」を予約衝動買い -
第775回
トピックス
ユーザー評価の高いJPRiDE「model i ANC」を手に入れた! -
第774回
トピックス
割り切りが素晴らしい3COINSの3300円スマートウォッチを衝動買い -
第773回
トピックス
Galaxy純正の遺失物トレースタグ「SmartTag2」を衝動買い -
第772回
トピックス
昭和レトロなプレーヤー復刻版「サウンドバーガー」を衝動買い -
第771回
トピックス
人生最後の腕時計「ロレックス エアキング」を衝動買い -
第770回
トピックス
実測37g! 折り紙式ポータブルマウス「OriMouse」を衝動買い -
第769回
トピックス
ギガ超えの夢破れたドコモ「home 5G HR02」を平常運転! -
第768回
トピックス
「令和6年の初・白日夢」か? ドコモ「home 5G HR02」を衝動買い -
第767回
トピックス
約500円の防犯用「ドア窓アラーム」を「PC置き引き防止ガジェット」として衝動買い -
第766回
トピックス
十数年ぶりにフォッシルの「腕・日時計」をまた衝動買い - この連載の一覧へ