DFS名前空間の構成
DFSルートが構成できたら、フォルダを追加する。これはDNS名前空間のルート(ここではFSROOT)の中にフォルダを作り、このフォルダに対象(ターゲット)となる共有フォルダ(フォルダターゲットと呼ぶ)を割り当てる形となる。先ほどの図1の②をもう一度見てほしいのだが、DFSのフォルダの実体はファイルサーバの共有フォルダである。共有フォルダは、事前に作成しておくこともできるし、DFSのフォルダを追加するときに同時に作成することも可能だ。
DFSのフォルダとして追加しても、ファイルサーバの共有がなくなるわけではない。DFSのフォールトトレラント機能を利用するには、ファイルサーバの名前ではなく、DFSルートに登録されたフォルダ名を利用する必要がある。そこで、物理サーバの共有名を「$(ドル)」で終わるようにすると便利である。Windowsは$で終わる共有名を一覧に表示しない(明示的に指定すればアクセスできる)。これにより、サーバ名の一覧からうっかり共有にアクセスしてしまうことを避けられる。
具体的な手順は以下の通りである。
- DFS管理ツールでDFSルートを右クリックし、「新しいフォルダ」を選択(画面5)
- 「名前」に共有フォルダ名を追加し(ここではPUBLIC)、フォルダターゲットを追加(画面6)
- 「フォルダターゲットを追加」ダイアログで共有を追加(画面7、8)。ここではサーバ「FS2」の共有「PUBLIC$」を指定
サーバとフォルダターゲットの追加
DFSでは、1つのターゲットに対して複数のサーバを指定できる。特にDFSルートを構成するサーバ(名前空間サーバ)は2台以上のサーバを指定しておくべきだ。ターゲットの追加手順は、DFS管理ツールで名前空間サーバを右クリックして「名前空間サーバを追加」を選択、表示されるダイアログでターゲットとして追加するサーバを指定する(画面9)、という手順となる。
サーバの次は、フォルダターゲットの追加だ。この手順は名前空間サーバと変わらず、DFS管理ツールでフォルダを右クリックし「フォルダターゲットを追加」を選択、ターゲットとして追加したい共有を指定し、「OK」をクリック(画面10)となる。画面10で「参照」をクリックすると、指定したサーバの共有一覧が表示される(画面11)。ここで「新しい共有フォルダ」をクリックすれば、フォルダの作成や共有の作成も可能だ(画面12)。
DFSレプリケーションの構成
以上でフォルダターゲットの追加が完了したが、引き続きレプリケーションを構成するかどうかを問い合わせるダイアログボックスが表示される(画面13)。ほとんどの場合はレプリケーションを構成する必要がある。このレプリケーションは「レプリケーショングループ」を構成することで制御する。画面13で「はい」をクリックすると、「レプリケートフォルダウィザード」が始まるので設定していこう。
(1)設定の確認
レプリケートフォルダウィザードの最初の画面ではレプリケーショングループ名とレプリケートフォルダの名前を確認する(画面14)。この名前は、DFS名前空間サーバにより決定されるため、変更する必要はない。次の画面はフォルダターゲットの確認だ
(2)「プライマリメンバ」を指定
他のフォルダターゲットにレプリケートするコンテンツを保つサーバを、プルダウンメニューから選択する(画面15)。このサーバをプライマリメンバと呼ぶ。DFSの複製はマルチマスタなので、運用中は相互に変更ファイルが複製される。ただし、DFS-Rを最初に構成したときは特定のサーバのファイルを優先するように構成する必要がある
(3)複製トポロジの選択
複製経路を3パターンから選ぶ(画面16)。ここでは2台のサーバを構成しているためフルメッシュを選択した
(4)複製帯域や時間制限を指定
回線帯域幅を圧迫しないように、DFS-Rが使用する帯域を制限できる(画面17)。帯域制限する場合は、16kbpsから256Mbpsの間の15段階で指定する
(5)パラメータを確認
「作成」をクリックするとレプリケートの設定が行なわれる。DFS-Rは、いったん複製が始まると、ファイル変更を検知して高速に複製を行なう。しかし、初回は共有の内容を解析するために数分程度の待機時間が発生する
以上でDFSの設定は完了である。
(次ページ、「DFS(分散ファイルシステム)の実力」に続く)
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