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林信行が語るWWDC

iPhone 4は、新しい「森」を生み出す最初の木

2010年06月08日 13時17分更新

文● 林信行

ついに動き始めたiAd

 今回のWWDCの基調講演では、1983年にWWDCがスタートして以来、おそらく初めてMacの話題が出なかった。

 アップルは「iOS」デバイス、つまり今月中にも累計出荷台数が1億台を突破するiPhone、iPod touchそしてiPadに完全にフォーカスする形でプレゼンを行なった。

 iOSデバイスは、多くの企業に、それまで体験したことのないようなレベルのソフトウェアビジネスでの成功をもたらした。しかし、アップルは今後、無料または非常に安価なソフトを手掛けている開発者達にも富を分配すべく「iAd」という広告ビジネスをスタートする。

iOS 4に含まれる広告プラットフォーム「iAd」は7月1日からスタートする

 iAdは、これまでのインターネット広告、モバイル広告とはまったく異なるものだ。これまで広告ビジネスで一番大きな費用がつぎ込まれてきたテレビ広告と同様に、人々の感情を揺さぶる画面のきれいさを備えた上で、インターネット広告同様のインタラクティブな表現を可能にしている。

 これまでのインタラクティブ広告で最もダメだった部分は、広告をクリックしてしまうと、それまで作業していたソフトを終了してしまうところだ。勝手にウェブページの表示が始まったり、App Storeが開いてしまうとユーザーは気分を害してしまうが、iAdではそれもなくなり、広告を見終わったら、いつでも、元の画面に戻れる。

 多くのナショナルクライアントがこうした部分に共感し、2010年の残り半分だけでも6000万ドル(60億円)の広告を出稿することが決まっているという。広告出稿する企業もAT&T、キャンベルスープ、シティバンク、DIRECTV、日産自動車、ウォルトディズニーなど超大手ばかりだ。この部分も、これまでのモバイル広告とはまったく違う。

 ここ数年、テレビや新聞、雑誌、ラジオといったこれまでのマスメディアの広告出稿費がどんどん落ち続けていて、メディア業界が元気を失い始めている。そこに新聞や雑誌も読めれば、ラジオも聞けて、米国ではテレビだって見れてしまうiOSのデバイス上で、こうした大きな広告ビジネスが花開いたことは大きな意味を持ちそうだ。

 今回の基調講演で、スティーブ・ジョブズは「もはや2007年の初代iPhone登場前のことが思い出せないくらい、世の中が変わってしまった」と語っていた。今から3年後には、それ以前がどうだったか思い出せなくなるほどに、またしても世の中が大きく変わってしまうかも知れない。

 そうなったとき、初めてiPhone 4が発表されたこの2010年6月7日が大きなターニングポイントになっていたことが思い出されるのだろう。

今日という日が、どんな意味を持つか。それはまた3年後に分かるだろう

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