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古田雄介の“顔の見えるインターネット” 第73回

ブログ「リストラなう」が出版社の内情を明かした理由

2010年06月08日 12時00分更新

文● 古田雄介

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 2010年4月、ツイッターやはてなブックマークを中心に、ひとつのブログが突然大きな注目を集めた。「たぬきちの『リストラなう』日記」だ。

 大手出版社に20年間勤務しているたぬきち氏は、会社のリストラ計画による「早期退職優遇措置」の有資格者となり、退職を決意。その後、退職日の5月31日まで、休日を除いてほぼ毎日更新のペースで近況や自らの考えをつづっていった。

 会社名こそ伏せているものの、出版社や書店の苦しさ、出版営業の立場と考え方、さらには自身の給与体系まで隠さずに書ききっている。日記が更新されるたびに話題をさらっていった。ときにはコメント欄に賛否両論が入り乱れるなどの波乱もあったが、その喧噪ぶりもありのままの状態で現在も残している。

 たぬきち、45歳、男性。岡山県出身、勤続20年。実名以外のほぼすべてをブログにつづり、日々感じている不安や解放感といった様々な感情も正直に打ち明けている。約2ヵ月間のブログを読み進めるだけで、たぬきち氏の人物像はかなり深いところまで知ることができるだろう。

 それよりもさらに深く――たぬきち氏はどんな基準で公開する情報の線引きをしたのか。きわどい情報を出した結果どんなことがあったのか。顔の見えるインターネット 第73回では、そこを探っていった。

 取材日は5月23日。たぬきち氏が退職する、約1週間前のことだった。

たぬきちの「リストラなう」日記

 退職を決意した直後の2010年3月29日から退職直後の6月2日まで、約2ヵ月の間に比類ない存在感を放ったブログ。元は2009年1月14日から始めた「最後から2番目のブロガー」で、以後「どんじりのブログ、たぬきち日記」、たぬきちの「リストラなう」日記と改名している

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