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四本淑三の「ミュージック・ギークス!」 第24回

理屈にあわない楽しさを求めて 電子楽器をつくる人の哲学

2010年05月29日 12時00分更新

文● 四本淑三

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 日本中からギークが集まる一大イベント「Make: Tokyo Meeting 05」(MTM05)が、5月22日~23日の両日に渡って開催された。電子系、機械系を問わず自作のユニークな作品を展示し、出展者自らデモするというスタイルで、あちこちで観客と出展者(イベント的には「Maker」と呼ぶ)が楽しそうに話し込んでいる姿が見られた。

 主催はDIY誌「Make:」の日本語版を刊行するオライリー・ジャパン。会場となった東京工業大学・大岡山キャンパスには出展者は200組超、2日間合わせて7200人の観客が集まった。回を重ねるたびに大規模化しているこのイベントだが、すでに定番メニュー化しているのはオリジナル楽器の数々だ。

 奇天烈な電子楽器から、真面目に取り組んだアコースティック楽器まで、完成度は様々だがアイディアだけでも見ていて楽しい。また、そうした楽器を使ったライブイベントも組まれている。今回も、コンピュータ制御のオープンリールを使った「Open Reel Ensemble」や、磁性流体ビジュアライザを使った「磁性流体とピアノ」などの演奏が楽しめた。

 今回のトピックは、大手楽器メーカーとして初めてコルグが出展したことだろう。プレゼンテーションスペースでは、前回のインタビューのmonotron開発チームの坂巻、高橋両氏の姿も見えた。そしてそのmonotronを「改造」した作品の展示も目立った。

hoshuさんはMS-20ライクなモジュラー型に改造し、ジャンパケーブルでパッチングを可能に。ただしケース表面は紙というのがお茶目

monotronにパワーグローブを接続してフィルターとピッチを制御。見た目はカッコいいが、グローブしたままでmonotronのつまみを操作できないという難点が

Denkitribeさんとシン石丸さんのユニット「Crying Gadget」では、DenkitribeさんがWiiのコントローラーを使った「MonoChuck」を披露

 このようにmonotronの改造が多いのは、アナログシンセサイザーの回路に精通している人なら、基板を見るだけで何をどうすればどうなるかが一目瞭然なのだという。

 試しに回路のことなどさっぱり分からない私も、中を開けて基板を見てみた(言うまでもないことだが、分解して故障した場合、メーカーの保証は受けられなくなるので、自己責任ということで)。そこには「cutoff」とか「pitch」などという、意味ありげなマーキングが施されている。これは一体?

monotronの基板。「pitch」などの文字が見える

 そこで今回のMTM05に参加した自作シンセサイザー界の有名人に、改造素材としてのmonotronについて、そしてシンセを作る面白さをうかがった。登場をお願いしたのは、学研・大人の科学の付録「SX-150」の設計に関わられたganさん、そしてアナログシンセサイザービルダーズサミットなど、自作シンセ界のご意見番として知られる武田元彦さんのお二人だ。

■ ganさん(公式サイト gaje.jp

 ganさんの改造例。一見すると普通のmonotronだが、2VCO仕様に改造。オリジナルのVCOとシンクし、背面には小さなスイッチが追加されている。中を開けてみると、VCOの載った小さな基板が追加され、髪の毛ほどの細い配線が巡らされていた。

■ 武田さん(公式サイト beatnic. jp

 武田元彦さんの改造例。真ん中の小さい箱がmonotronを改造したシンセ。MIDIインターフェイスを追加し、ポルタメントやLFOの1周期分の波形を使ったエンベローブジェネレーター(ディケイのみ)などが追加されている。手前のリボンコントローラーやnanoKEYを使って、普通に弾けるシンセになっていた。

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