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動画コンテンツにマッチした解像補正

新・超解像ディスプレー「E2350VR」の実力

2010年06月01日 16時00分更新

文● 本田雅一 ●図版 永野雅子 ●撮影 篠原孝志(パシャ) ●提供 LG Electronics Japan

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 超解像技術はPC用にも徐々に浸透。シュートコントロール搭載のこの製品を検証してみた。

自然な解像感を目指した
超解像技術を搭載

 一昨年からテレビで流行しはじめた“超解像”技術。多様な製品に採用されてきたが、とうとうバリュープライスのPC用ディスプレーにも採用されるようになってきた。超解像技術は特に解像度の低い映像を画面いっぱいに拡大して鑑賞する際に役立つ。

 超解像というからには、単なる拡大・補完処理ではなく、情報の中に潜んでいる情報を演算処理で取り出す処理だ。たとえば動画の複数フレームの情報を合成して、より精細な映像をつくるという処理がある。

超解像処理の仕組み

 しかし複数フレームを使った手法はとても処理量が多く、簡単には製品に盛り込むことができない。現在、広く使われているのは処理が容易な“再構成法”という方法だ。これはいったん拡大処理した映像を元の解像度に再度縮小して元の映像と比較。その差分が最小になるよう映像の再構成を行なうというもので、複数のフレームを用いなくとも1枚の映像から超解像処理を行なえる。

 しかし、実際にどこまで見栄えの良い映像が得られるかは、“調整の塩梅”に大きく依存する。最新モデルの『E2350VR』に内蔵された超解像技術は、優れたノイズリダクション技術と積極的な映像処理を行なうことで、超解像技術を積極的に映像に対して作用させるよう開発されていた。

 超解像の設定は弱、中、強から選択できる(デモモード時は強に固定)。それぞれ表示させる映像の解像度に合わせて設定するといいようだが、実際には弱のみでほとんどの映像をカバーできる。

画質をチェック


超解像は弱でも十分鮮明に

 800×600ドット表示で入力された画像をディスプレー側で拡大表示させ撮影した。入力された映像にもよるが、 弱ァ程度でも鮮明さとコントラスト感、色彩感が改善される。

オフ

 ポイントはBDソフトや一般的なハイビジョン放送などの映像に対して超解像をかけるのではなく、ハイビジョン放送でもボケが大きく画質が悪い映像、あるいはDVDなど解像度の低い映像に対して設定するのがいい。超解像技術とは、元映像の解像度よりも細かな情報を取り出す技術であるため、小さな映像を大きくしている場面で理想的に働く。

 DVDを再生しながら超解像を入れてみた。超解像処理と共に輪郭部の強調、黒補正が少しだけかかり、さらに彩度が全体的に持ち上げられる。本機に限らずパソコン用ディスプレーは、一般的なテレビよりもコントラスト感や色彩感に乏しい絵になりやすい。そうしたパソコン用ディスプレーと動画コンテンツの相性の悪さを埋めるべく、うまく補正して見せてくれるという印象だ。

シュートコントロールで鮮明感と質感を両立


白浮き感を解消し自然な画質に

 ぼやけ感を無くすためエッジを立たせると、白浮きが目立つようになり、硬い画質になりがちだ。この製品は、白浮きを抑制しつつ解像感を維持するシュートコントロールにより、自然な仕上がりに。

低解像度の映像を入力

DVDなど画面より小さい映像を拡大表示させるとぼやける。

従来の超解像技術

全体的にギラギラ感が強くなり、かえって不自然な見え方に。

E2350VRの超解像

鮮明さを保ちつつ、白浮きのない自然な仕上がりになる。

モスキートノイズを低減

物体のエッジ外側に発生しやすいモスキートノイズを低減して見やすく。左がオン、右がオフ

ランダムノイズの低減

映像全体に発生するランダムノイズを低減しつつ、鮮明感を維持する。左がオン、右がオフ

※画像はイメージです。超解像技術の効果は、入力される画像・動画の種類や解像度によって大きく異なります。
画像・動画の種類によっては、ノイズやちらつきが発生する場合があります。

 同じ補正をハイビジョン放送や高品位な写真画像に対してかけてしまうと、少々、補正が強すぎてしまうが、もともと超解像はより低い解像度の映像から高い解像度の映像をつくり出すための技術だ。

 そこでYouTubeの映像に対して超解像を適用してみる。YouTubeの映像といっても、その質は千差万別。ブロック歪みやノイズが多すぎて超解像がうまく働かないものもあるが、ノイズっぽさは少ないがやや甘い映像に対しては有効に機能する。

 テレビに搭載されている超解像の多くは自然な描写を狙って上品な効果の出し方をしているが、本機の場合はもっとわかりやすい。多くの場合、超解像を“弱”に設定すれば、解像度の低い動画の見栄えを改善できるはずだ。ノイズ成分があまりに多い映像では、ノイズ成分をも強調する場合があるが、本機でも超解像を“中”あるいは“強”にすると、その傾向が強くなる。

 単に解像感の回復だけでなく、同時に動画像の最適な表示を目指した画質調整も兼ねている本機の超解像機能だが、オン・オフのメニュー選択もやりやすく、見るソースに応じて簡単に効果を切り替えられる点も美点のひとつとして挙げておきたい。

(次ページへ続く)

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