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もはや初音ミクに投票すべき! ネット時代の政治論

2010年05月27日 12時00分更新

文● 榎本統太(@t2enonu

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「政策がない政党」って何? 世界のインターネット政党

 討論に先立ち、レクチャーを行なったのは鈴木健氏。テーマは「世界の直接民主主義政党」。インターネットで政治がどう変えられるのかを考えるとき、すでに世界ではどんな動きがあるのかを紹介した。

 まずは「オープン・ガバメント」と「gov 2.0」(ガバメント2.0)という考え方だ。

 オープン・ガバメントは、政府の情報を徹底的に公開(オープン)しようというもの。そこで国民が直接意思決定に参加できる政治を目指そうという運動のことだ。gov 2.0の発案者は「ウェブ2.0」を提唱したティム・オライリー氏。彼は「政府は政策を立案する必要はない。国民が考えた政策を実行するときのサポート役でいい」と述べている。

鈴木健氏

 実際にインターネット的な政治を実践している例として、2004年に設立されたハンガリーの「インターネット民主党」(IDE)を挙げた。IDEは「政策を持っていない」という奇妙な政党。現在の目標は国会で10議席を獲得することだ。

 インターネット上である議題について投票を行ない、そこで上がってきた市民の声をそのまま議会に反映するのが彼らの手法。ネットの投票結果が賛成60%、反対40%であれば、彼らは議会で「賛成」6票、「反対」4票を投票するというわけだ。これを間接民主主義の対語として「直接民主主義」と呼んでいる。

 IDEは議席を獲得できていないが、2002年に結党されたスウェーデンの政党「Demoex」は町議会に1議席を持っている。16歳以上の住民であれば誰でもネット投票を通じて「参政権を獲得」できるようになる。

インターネット民主党

 そのほかにも、チェコスロバキアやフィンランド、イギリス、ニュージーランドでインターネット政党(直接民主主義)の実現を目指す政党が確認されている。日本でも、現在2つのグループが政党の立ち上げに向けて活動しているという。

 では、もし日本で実際にそういった政党が議席を持った場合、メリットとデメリットはどこにあるのだろう。鈴木氏は、次のような項目を上げて説明した。

■ メリット


  • 国民の声が直接議会で投票される
  • 実際に有権者の意思を反映した投票を行うので、他の政党が無視できない
  • 政治に対する国民の閉塞感が緩和され、参加意識が芽生える

■ デメリット


  • 結論が出ない、政治的判断が下せない
  • 政策がうまく実行されない
  • マイノリティ(少数派)が保護されづらい

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