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古田雄介の“顔の見えるインターネット” 第72回

犬がしゃべる料理動画「COOKING with DOG」大人気の秘密

2010年05月25日 12時00分更新

文● 古田雄介

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子どもの言った「これ食べたい!」を、おかあさんは作りつづける

―― では、コンテンツについてお聞きします。紹介している料理なんですけど、あれはどうやって決めているんですか?

シェフ 私の提案が中心ですけど、リクエストに応じることもありますね。私が提案するときは、季節にあったものを紹介したいというのと、麺類ばっかり、お菓子ばっかりなど似たジャンルが続くのを避けようと考えています。

プロデューサー もちろん作っているのは日本なんですけど、旬な食材は安く手に入りますし、鮮度の良さが画面からも分かるんですよね。あと、リクエストは本当に世界中から届くんですよ。多いのはお菓子ですね。あんパン、メロンパン、どら焼き、カステラ……。

シェフ パンナコッタとか、完全に日本と関係ないものもありましてね(笑)。

2010年1月、視聴者からのリクエストから「どら焼き」の作り方を紹介。その前後は「肉まん」と「焼きそば」で、ジャンルを被らせないようにしている


―― そういうリクエストで「これは作れない」と思ったものはありますか?

シェフ ないと思います。プロの料理人としてではなく、家庭料理として紹介しているので、これを作れと言われれば作りますね。子どもが「これ食べたい!」と言ったら、お母さんは作りますよね?(笑) それと同じだと思っています。

プロデューサー 家庭料理というところがポイントなんですよね。少し前に、日本のナポリタンスパゲッティを紹介したんですが、本場イタリアの方から「ケチャップを入れるなんて!」とかなり怒った感じのコメントをもらったりました。

 たしかにおっしゃることはよく分かるんですよ。でも、「日本の家庭ではそうやって作る場合もあるよ」ということで、プロの料理じゃないというところに意味があると思っているんです。本場と違うけど、ありのままを紹介するということが。


―― たしかに、外国人が生魚を米に乗せたものを「Sushi!」と喜んでいたら、すこし微妙な気持ちになりますからね(笑)。そのイタリアの方の気持ちも分かります。でも、ありのままの家庭料理を紹介するのは重要ですしね。「本場イタリアンはレストランでも食べたいけど、自分で作るなら家庭料理かな」という。

シェフ そうなんですよね。私も世界のどこかの普通の家庭のシェフが普段食べている料理をアップしてくれたら、すごく見たいですし、そういう需要はあるんじゃないかと思うんです。

 なので、ナレーションは英語ですけど、私の意識としては「日本の家庭料理を海外の人に見てもらって、興味を持ってもらいたい」ということなんです。それで「自分でも作れるな」と思ってもらえたら、すごく嬉しいですね。

2010年4月にアップした「ナポリタン」。ソースの具材を炒めたあとに、トマトケチャップを混ぜている。最初は一部で物議を醸したが、その後は好意的なコメントが多数寄せられている


―― でも、YouTubeのコメント欄を見ると、最近は日本での反響も多いですよね。これは予想されていましたか?

シェフ 全然予想していませんでした。日本の方だったら、そういうテレビ番組がいっぱい見られますから。

プロデューサー 私も予想外でしたけど、少し前にNHKの番組でCWDが紹介されたことがあったんです。あのときは国内の反響がすごくありましたね。それ以降も日本の方からコメントをいただくことが多くなって、シェフも知り合いから「料理番組やってるね」と声をかけられたりして。

シェフ ご近所の方や学生時代の友人から言われました、「出てましたね」って(笑)。でも、私どもの年代の女性はあまりネットを見ないので、みんなNHKの番組を見てくれたのかなと思います。

 それに、誰にどのくらい見られているのかというのは、あまり考えないようにしています。それを考えちゃうと、怖くて外に出歩けなくなりますし、次に動画を収録するときにまた表情がかたくなったりするかもしれないですから(笑)。

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