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狙うはプロ級!? ニコン「D300S」で撮影スキルを鍛え直す 第5回

絞りを調整して背景のボケ味を演出する

2010年05月20日 12時00分更新

文● 小林 伸

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被写界深度を確認する

グリップとレンズマウントの間にあるのが「プレビューボタン」。ファインダーをのぞきながらこのボタンを押すと設定した絞りまで絞られ、そのときの被写界深度を肉眼で確かめることができる。しかし、暗くなるファインダーに慣れないとなかなか判断しづらいかもしれない

 撮影時に被写界深度を確認する方法は3種類ある。まずひとつは「プレビューボタン」を押すことで、設定した絞り値にレンズを絞ってファインダー内で確認する方法。

 しかし、この方法はファインダー内が実絞りで暗くなるため、F22などの大きな絞り値では暗すぎてしまい、どこまでピントが合っているのかもわからなくなる。目視なので多少の慣れも必要だ。

被写界深度目盛り。最近のニッコールAF-Sレンズなどには見られないが、前回使用した「Ai AF Micro-Nikkor 200mm f/4D IF-ED」には残っていた。しかし目盛りを見てもらって分かる通り、F32まで絞ったとしても望遠レンズなので被写界深度は相当浅い

 2つ目はレンズについた被写界深度目盛りで確認する方法。昔のレンズ、例えばマニュアルフォーカスの「ニッコールAi」レンズなどには普通にあったのだが、最近のAF-Sレンズなどには距離表示さえないものもある。このためコチラの方法はあまりお勧めできなくなってきている。

 3つ目はデジタルカメラならではの方法だが、実際に1枚撮影して再生画像を確認すること。これが一番確実な方法かもしれない。

 さて、絞りが同じ数値の場合、どのレンズでも同様の被写界深度が得られるのか? というと広角と望遠でそのレンズの焦点距離によって得られる被写界深度には違いがある。広角レンズでは被写界深度は深く、望遠レンズでは浅くなると覚えておこう。

 さらに被写界深度は同じレンズにおいても、被写体との距離によって変わってくる。被写体との距離が近いときには狭く、遠いときには深くなるのだ(あくまで単純に何mの範囲にピントが合うのかといった場合)。

広角レンズで2mにピントを合わせたとき、F22まで絞っていると無限遠まで被写界深度内に入るのが分かる。0.4m(40cm)ではF22に絞ったとしても5cm弱手前から10cm弱奥側までしか被写界深度に入らないのが見て分かるだろう

 例えば広角レンズで2mの場所にピントを合わせたとき、F22に絞りを設定するとほぼ無限遠まで被写界深度を得ることができる。しかし近距離の40cmまで近寄ったときにはF22という一番絞った状態でも無限遠までは被写界深度が得られず、ピントがちゃんと合っていないように見える場合がある。

 そして被写界深度は奥側(遠い方向)だけでなく手前にも深くなる。しかし、前述のとおり近距離方向ではその幅は少なくなるので奥側ほどにはピントは来ない。このような特性も覚えておこう。

 絞りは絞れば絞るほど被写界深度は深くなるが、絞りすぎるとデメリットも出てくる。絞りの穴を光が通るとき、小さい絞りであればあるほど「回折現象」と呼ばれる画像のボケが発生してしまう。この現象を回避する方法はなく、求める被写界深度を得るためにボケるのを覚悟で絞らなければならない場合もある。

回折現象によるボケを少しでも修正したいのであれば、「輪郭強調」をいつもより少し多めに設定するといいだろう

回折現象によるボケを少しでも修正したいのであれば、「輪郭強調」をいつもより少し多めに設定するといいだろう

 最近の高画素化したデジカメの写真なら、等倍や拡大した状態で写真を見ることは稀だろう。それでもボケが気になるようなら以前に説明した「ピクチャーコントロール」を使用して「輪郭強調」の設定を通常よりも高めに設定するか、撮影後のレタッチで対処するしかないだろう。

 次回はシャッタースピードに関しての話をしたいと思う。


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