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週刊 PC&周辺機器レビュー 第54回

色褪せないデザインに高性能を詰め込んだMacBook Pro

2010年05月14日 12時00分更新

文● 柳谷智宣

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拡張性よりもデザインが大事と割り切った構成

 「MacBook Proは拡張性が低い」と言われることがある。USB端子が2つしかなく、ExpressCardスロットがない。映像出力も1系統だけだ。しかし、それがいい。MacBook Proの外観が損なわれるとアップルが判断したのなら、諸手を挙げて賛成したい。

 USB端子が3つ4つあっても、いろいろとつなげて使う人はどうせ足りなくなり、USBハブが必要になる。ExpressCardを使っている人にとっては、不満爆発だろうが、そもそもExpressCardはそれほど普及していない。率直に言えば、FireWire 800ポートも今ではなくても構わない程度だろう。

本体前面

本体前面。液晶ディスプレーを開けるくぼみのサイズとデザインが絶妙。右側にはスリープ状態を表すLEDがある

本体左側面

左側面には、電源端子、有線LAN、Mini DisplayPort、USB×2、SDメモリーカードスロット、音声入出力端子を備える(MacBook Pro製品情報より引用)

 バッテリーが交換不能なのは気になるところだが、これも支障は起きないかもしれない。実際、手持ちのノートパソコンのバッテリーを交換することなどなかなかない。モバイルノートなら外出先で予備を使うことがあるものの、15.4型のMacBook Proは大きいのでそれもないだろう。

 バッテリーは最高1000回の充電サイクルをこなすので、数年間は利用できる。バッテリーが劣化したらアップルに本体を送って交換してもらうことになるが、その分製造コストを抑え、大きなバッテリーを搭載していることを考えると、我慢のしどころ。底面につぎはぎがなく、見えないところも美しく処理しているとも考えられる。

バッテリーは内蔵式で交換はできない。その分すっきりとした底面になっている


Core i5とGeForce GT 330Mで
ヘビーな作業も快適にこなす

 今回の試用機は最安値の製品だが、CPUにCore i5-520M 2.40GHz、メモリー4GBを搭載している。グラフィックス機能はCPUの内蔵機能と、NVIDIAのGeForce GT 330M(メモリー256MB)を併用する仕組みを持つ。ベンチマークを取ると、なかなかの好成績。ハイエンドとは行かないが、バランスのよい性能を備えている。

 ベンチマークソフトで負荷をかけると、数十秒でファンが回り出す。うるさいというほどではないが、動作音はやや耳に付く。発熱は標準的で、キーボードの上部などは熱くなるが、パームレストはほとんど変わらないので使用には問題ない。底面はやや熱くなるので、太ももの上に置いて長時間操作するのはつらいかもしれない。

「Xbench 1.3」の計測結果

「Xbench 1.3」の計測結果。比較対象として、評価機と同時発表されたCore 2 Duo 2.40GHz搭載の13インチモデルでのデータを掲載した

 GPUの自動切り替えは、使っていて意識することはあまりない。アプリケーションの動作を見て、必要なときにハイパフォーマンスなGeForce GT 330Mに切り替わっているが、タイミングはわからない。通常は有効にしたままでいいだろう。

 全体の動作はきびきびとしており、重い処理も楽々こなせる。「iMovie」や「iTunes」もすぐに起動して、素早く作業を開始できる。ただし、ストレージの速度が標準的なHDDなので、最新のSSDなどと比べるともっさりした反応を感じる時もある。

 BootCampを利用して、Windowsを利用することももちろん可能だ。従来どおり「Boot Campアシスタント」を利用して、Windowsのインストールディスクを読み込ませるだけでいい。もちろんWindows 7も動作し、64bit版もインストール可能だ。

 Windowsマシンとして使う場合、モーメンタムスクロールやCPU内蔵グラフィックス機能は使えない。しかし、そのほかは文句なく高性能なWindowsマシンとして動作する。

Windows 7のエクスペリエンスインデックスの値

Windows 7のエクスペリエンスインデックスの値。全般的に優秀な値だ

CINEBENCHの結果

CINEBENCHの結果

PCMark Vantageの結果

PCMark Vantageの結果。比較対象として、Core i5-430M(2.26GHz)搭載のDELL「Studio 15」の値と比較してみた

 バッテリー駆動時間は、カタログ値で8~9時間。Windows 7上でバッテリベンチマークテストの「BBench」を使って計測したところ、約3時間という結果になった。


性能面は十分 見た目で買っても文句なし!

 ベンチマークの結果からもわかる高い性能に加えて、新MacBook Proは価格も安い。最安モデルで16万8800円、Core i7-620M(2.66GHz)にGeForce GT 330M(メモリー512MB)を搭載した最上位モデルでも、20万8800円で買える。「Macは高い」というイメージを持っている人は多いが、性能で見たときのコストパフォーマンスは悪くない。

 確かにWindowsパソコンとして使うなら、OSの価格が上乗せされて割高になってしまう。しかし特殊なソフトを使わないかぎり、一般的な使い方ならMac OSでも十分こと足りるのも事実。クラウドサービスが充実する今後は、ますます「Windowsじゃなければ駄目」という場面は減っていく。

 15.4型で約2.5kgという重さだが、持ち出して使いたいほど格好いい。MacBook Proを持つことは、単に新しいノートパソコンを買う以上の満足感を得られるだろう。

MacBook Pro 15インチモデル(試用機) の主な仕様
CPU Core i5-520M(2.40GHz)
メモリー 4GB
グラフィックス GeForce GT 330M
ディスプレー 15.4型ワイド 1440×900ドット
ストレージ HDD 320GB
光学ドライブ DVDスーパーマルチドライブ
無線通信機能 IEEE 802.11a/b/g/n、Bluetooth 2.1
インターフェース USB 2.0×2、FireWire 800、Mini DisplayPort出力、10/100/1000BASE-T LANなど
サイズ 幅364×奥行き249×高さ24.1mm
質量 約2.54kg
バッテリー駆動時間 約8~9時間
OS Mac OS X 10.6
価格 16万8800円(本稿執筆時点)

筆者紹介─柳谷智宣

著者近影 柳谷智宣

1972年生まれ。ネットブックからワークステーションまで、日々ありとあらゆる新製品を扱っているITライター。現在使っているノートパソコンは、東芝のSS RXとMac。とはいえ、1年以上前の製品なので、買い換えを思案中。日経パソコンオンラインで「ビジネスパソコンテストルーム」、週刊SPA!で「デジペディア」を連載するほか、パソコンやIT関連の特集や連載、単行本を多数手がける。近著に「仕事が3倍速くなるケータイ電話秒速スゴ技」(講談社)、「PDFビジネス徹底活用技」(技術評論社)。


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