PS3連携がついに実現 だが実用性には「?」マークも
ソフト面での進化では、「プレイステーション3との連携」が注目だ。同じソニー製品でありながら、プレイステーションシリーズとVAIOはほとんどつながらずにきた。もちろん、連携と言ってもVAIO Pでプレイステーション系のゲームが遊べるわけではないのだが、今回、PS3の周辺機器としてVAIO Pを利用する機能が用意された。それがPS3の「リモートプレイ」と「Bluetooth」だ。
リモートプレイは、PS3の操作画面をMPEG-4で伝送し、ネット経由で利用できるようにする機能。これまでは主にPSPとの連携で利用されてきたが、4月23日に公開されたPS3の最新ファームウエアから、「VAIOも対象になる」との発表がなされていた。
操作は意外と単純だ。プレインストールされている専用ソフトを起動し、PS3側で設定すれば、あとは接続まで自動。PS3のコントローラーをVAIO Pで利用はできないが、ソフト側にコントローラーでの操作をキーボードで代替する機能が搭載されているので、そちらを使う。
十字キーはもちろんカーソルキーでいいが、「○×△□」の4キーは、「A」「S」「Z」「X」で操作する、といった設定が用意されている。転送画面の解像度はPSPと同じく480×272ドットなので、VAIO Pに全画面表示するとちょっとぼやける。転送画像のクオリティーや反応は十分で、PSPと大差ない印象だ。
ただし、気になる点が2つある。ひとつは、リモートプレイで利用できるコンテンツがPSPに比べ少ないこと。元々リモートプレイは、ゲームでの対応には限界があり、PS3内の映像コンテンツやウェブの利用が中心であったが、最近はPS3用の地デジチューナーキット「torne」の映像も見られることから、人気が高まりつつあった。しかし残念ながら、VAIO Pからはtorneが使えない。これではせっかくの機能ももったいない。著作権保護の問題からの制約だけれども、なんとかならないものだろうか。
もうひとつは発熱が大きいこと。本連載恒例となる、本体の発熱チェックしてみたが、今回は「高負荷時」として、「リモートプレイ機能利用時」のデータを採用したほどの熱さになる。
元々「P系VAIO」は、Atom Zが常に負荷が高くなりやすいうえに、本体容量が小さいので空冷しにくく、本体が熱を持ちやすい。アイドル時の発熱は「旧モデルより若干下がったかな?」と思えるが、それでも高負荷時の発熱は高めになっている。ゲームの多くやtorneが使えないとなると、ここまでの負荷をかけてまでリモートプレイを利用するだけの魅力は薄い、と言わざるをえない。
Bluetoohキーボード機能は、VAIO PのキーボードをBluetoothキーボードとして使うものだ。オンラインゲームなどには便利だろう。ただ、普通のBluetoothキーボードよりも圧倒的に重いし、電力も食うものを常用するのは現実的ではない。「文字入力したいけど今は別のキーボードがない」時の代替手段と考えるべきだろう。なお当然ながら、Bluetoothキーボードとして利用している際には、VAIO P側ではキーボードとしては使えない。
ソフトの点で、もうひとつ触れておきたい。Pシリーズには、Windowsを起動せずに内蔵のLinux系OSを使い、すぐにウェブなどを使える「インスタントモード」があった。それは今回も健在だ。ただし、その構成はよりシンプルに「ウェブブラウザが表示されるだけ」のものになった。
Twitterにしろメッセンジャー系アプリケーションにしろ、今はウェブアプリで利用できるようになっているから、「フルバージョンのFirefoxが起動すればOK」という判断だろうか。起動までの時間は十数秒で、意外と使える機能である。サスペンド/休止状態を好まない人は、こちらの活用をお勧めする。
この連載の記事
-
第116回
PC
「VAIO Duo 13」—革新は形だけじゃない! 変形ハイエンドモバイルに込めた思い -
第115回
PC
ソニーの本気—Haswell世代でVAIOはどう変わったか? -
第114回
PC
渾身の「dynabook KIRA V832」はどう生まれたのか? -
第113回
PC
HPの合体タブレット「ENVY x2」は、大容量プロモデルで真価を発揮! -
第112回
PC
ソニー“3度目の正直”、「Xperia Tablet Z」の完成度を探る -
第111回
PC
15インチでモバイル! 「LaVie X」の薄さに秘められた魅力 -
第110回
PC
フルHD版「XPS 13」はお買い得ウルトラブック!? -
第109回
デジタル
ThinkPad Tablet 2は「Windows 8タブレット」の決定打か? -
第108回
デジタル
今後のPCは?成長市場はどこ? レノボ2013年の戦略を聞く -
第107回
PC
Windows 8とiPadがもたらす変化 2012年のモバイルPC総集編 -
第106回
PC
Clover Trailの実力は? Windows 8版ARROWS Tabをチェック - この連載の一覧へ