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業界関係者から歓迎の声も――スキャン代行は「悪」なのか

2010年05月07日 12時00分更新

文● まつもとあつし

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ブックスキャン社サービス案内より

 4月に「ブックスキャン」というサービスがスタートし、議論を呼んでいる。

 サービスそのものは、至ってシンプルなものだ。手持ちの本を、ブックスキャンに送る。ブックスキャン社で本を裁断し、スキャナーでデジタルデータ(PDF)に変換する。オリジナルの本は返却されてこないが、そのデータがメールで送られてくる。

 デジタル化によるメリットは多大だ。省スペースだけでなく、完璧とは言えないがテキスト検索も行なえるようになる。しかし、実際、著者も本を数冊自分で裁断して、スキャンをかけるということを試してみたが、まだ春先だというのに汗だくの作業となった。これを代行してくれるというのはありがたいという意見が多いのには頷ける。

■ ブックスキャン社がYouTubeに掲載している作業風景

 1冊あたり100円(送料は依頼者負担)という低価格設定もあって、一気に注目を集めたサービスだが、有識者の間では「著作権的にグレーな部分を含むのではないか」という指摘と「利便性も高いし、実害を被る人がいない以上は問題ない」という声が双方ともに上がっている。

 たしかに現行の著作権法を厳密に解釈すれば、法的には「黒」に近い。今回はブックスキャン代表の岩松慎弥氏にいくつかの質問をぶつけてみた。その思惑、また利用者や関係者の反応を見てみると、そこには単純に「悪」とは言えない構図も見えてきた。


「お総菜の冷凍販売」から「本のスキャンサービス」へ

―― 「ブックスキャン」を始める前はどんなことをしていたんですか?

岩松 わたしは26歳まで海鮮居酒屋の料理長をしていたんです。いつかオーナーとして自分の店を持つことが夢でした。上京して1年間、準備期間として飲食業のことについて調べたんですが、普通に飲食店を出店すると利益率が低い。うまくいかなかった場合、今まで貯めた資金がゼロどころか借金まで背負ってしまう……そう考えて「お総菜を真空パックし、冷凍して、楽天市場で販売する」というビジネスをスタートさせることにしました。

 従業員は雇わず、半年間、土日休みなしで働きました。結果お客さんはある程度ついたものの、利益は雀の涙でした。そこで単月黒字が達成できたタイミングで、惣菜ビジネスを撤退することにしました。そこで次のビジネスを模索しているとき、たまたま「iPadが発売される」ということ、そして「本がありすぎて困る」という話を知人から聞き、「チャンスがあるかもしれない」と思ったんです。


―― 飲食業からブックスキャンへ。業種は異なりますが、確かにワークフローは似ていますね。思いきったディスカウントも話題を呼びました。

岩松 当初は1冊500円程度でいいのではと考えていたんですが、周囲に相談したところ、500円じゃ高いのではないかという話になり、思いきって100円でスタートしました。ターゲット層の想定は、私の知人がそうなのですが、蔵書が2000冊を越えるような「ヘビーユーザー」でした。2000冊のスキャン依頼が来れば100円でも行けるだろうと試算しました。楽天で惣菜をやっていたときに一番手間がかかっていたのは、ユーザーとのやりとりや、ミスを発生させないようにするための仕組み作りでした。そこを排除すれば100円でも可能だろうと判断しました。

(次のページに続く)

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