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2012年からHDMIのバージョン表記禁止!?

2010年04月22日 18時46分更新

文● ASCII.jp編集部

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 HDMIのライセンス管理を行なう「HDMI Licensing、LLC」がプレス向けのテクノロジーセミナーを開催し、HDMI規格の近況などについて説明を行なった。この中で2012年1月1日以降、HDMIのバージョン表記をなくすことを明らかにした。

今回来日したスティーブ・ベネティ氏

今回来日したスティーブ・ベネティ氏

 バージョンナンバーを謳うことを止める背景について、HDMI Licensing、LLCプレジデントのスティーブ・ベネティ(Steve Venuti)氏は、例えば「HDMI 1.4対応」と言ってもそこに含まれる仕様は多く、実際に機器側がどの機能を実装しているのか分からずユーザーが混乱する恐れがあるからだとしている。

 HDMIのバージョン表記については以前から問題提起されており(関連記事)、バージョンナンバーとともに対応機能を表記することが義務づけられていた。このバージョン表記が可能なのは2011年12月31日までとなる。

ケーブルへの表記(左)とパッケージへの表記(右)が必要。ロゴは丸いものなど様々なデザインのものが用意される

 ケーブルについては、「Standard HDMI Cable」「High Speed HDMI Cable」のほか、IPプロトコルの送受信に対応する「HDMI イーサネット チャンネル」用の「Standard HDMI Cable with Ethernet」「High Speed HDMI Cable with Ethernet」、車載機器用の「Standard Automotive HDMI Cable」があるが、これらの表記をケーブルに記載するとともに、パッケージに決められたロゴマークを表記する必要がある。

 なお、「High Speed」ケーブルについては、10.2Gbpsの帯域を確保することが必須条件で、これにより3Dや4K2Kといった映像フォーマットも問題なくサポートできるという。

 今年春に登場した「HDMI 1.4a」についても説明があった。1.4aでは3D伝送方式についての項目を追加。昨年のHDMI 1.4(関連記事)策定の時点では特に要望がなかったが、1.4策定後に放送業界団体などから3Dサポートに関する要望が相次ぎ、追加で策定したという。

「HDMI 1.4a」で追加された仕様の詳細

「HDMI 1.4a」で追加された仕様の詳細。表示装置(テレビなど)はすべてを、ソース機器(プレーヤーなど)はこのうち最低1つを満たさなければならない。また、リピーター(AVアンプなど)はこれらを中継する機能が必須となる

 1.4の時点で必須項目だったのは「フレームパッキング方式」(右眼用の画像と左目用の画像を高解像度のまま伝送する方式)だけで、「サイド・バイ・サイド ハーフ方式」(右眼用の画像と左目用の画像の水平解像度を半分にして伝送する方式)は必須ではなかった。1.4aでは両者が必須になったことに加え、「トップアンドボトム方式」(右眼用の画像と左目用の画像の垂直解像度を半分にして伝送する方式)のサポートも必須となっている。

 なお、HDMIの3Dに関する仕様書などは、HDMI Licensing、LLCのウェブサイトから誰でもダウンロードできるようになっている(HDMI 1.4の仕様書はアダプター製造者のみダウンロード可能)。これは3Dに関して業界で共通化していきたいからだという。

左が従来のHDMIで右がイーサネット チャンネル対応HDMI 1.4。形状は同じだが伝送方式が異なるため専用ケーブルが必要

 そのほか、HDMI イーサネット チャンネルについても説明があった。イーサネット チャンネルは従来の14ピン(ユーティリティー)、19ピン(ホットプラグ)の2本の線に重畳する形でデータラインを追加。双方向100MbpsでIPデータのやりとりが行なえる。

 これにより、ブロードバンド回線に接続したテレビを経由して、HDMI接続されたBDレコーダーなどがウェブにアクセスすることが可能。別途Ethernetケーブルを接続する必要がなくなる。

 HDMI機器の市場動向については、2009年に2つの大きな出来事があったという。1つはHDMI搭載機器が10億台を超えたこと。もう1つはテレビに関して搭載率が100%であったことだ。

 ただ、スティーブ・ベネティ氏は携帯電話やカメラなど搭載機器のバリエーションが増えていることが重要なポイントと語った。

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