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痛車でラリー! メロンブックスインテ奮闘記 第2回

メロンインテグラ、初陣をクラス優勝で飾る!

2010年04月19日 20時00分更新

文● 中村信博 ●写真/中島正義、中村信博

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DAY1から予想外の快走を見せたメロン号!

 10日、土曜日。雲間から時折青空がのぞいているが、やはり湿度は高い。前夜に軽い雨が降ったらしく、路面はしっとりと濡れている。西の空には濃い灰色の雲がわき出していて、風も強く、もしかすると昼には本降りとなるかもしれなかった。当初はドライ路面を想定して高温用のハードコンパウンドタイヤを装着する予定でいたが、急遽フロントにミディアムコンパウンドのタイヤを装着して朝のセミウェット路面に対応することにした。スペアタイヤとしてハードコンパを2本積み、ドライ路面が出てきたらステージ前にクルーの手でフロントタイヤを履きかえる作戦だ。7時17分、いよいよ今年のメロン号の挑戦が始まった!

松浦河畔公園のサービスパークを、メロン号は7時17分にスタートする。それまでの短い時間に、マシンの最後のチェックが行なわれる。補助灯を固定するネジ穴の補修作業など、これまでに出てきた問題点をきっちり修復してマシンを送り出すのだ

SS(距離) タイム(ステージ順位 ベストとの差) オーバーオール(順位 トップとの差)
SS1(7.41km)6:10.8(TOP)6:10.8(TOP)
SS2(4.49km)3:29.8(3位 +5.7)9:40.6(TOP)
SS3(3.11km)2:25.7(3位 +4.5)12:06.3(2位 +1.8)
SS4(4.49km)3:22.9(TOP)15:29.2(2位 +0.6)
SS5(3.11km)2:25.7(5位 +4.3)17:54.9(2位 +4.9)
SS6(4.49km)3:22.3(3位 +1.9)21:17.2(2位 +6.8)
SS7(3.11km)2:27.9(12位 +8.6)23:45.1(3位 +15.4)
SS8(7.41km)6:07.9(4位 +8.8)29:53.0(3位 +24.2)

 いきなりSS1からベストタイム奪取! たしかに朝1発目のステージの路面が濡れていて、ミディアムコンパウンドのタイヤがベストマッチだったのは間違いない。それでも、つい3ヵ月前に完成したばかりのマシンを、1年ぶりにラリーに復帰したドライバーが操り、しかもコ・ドライバーとは今回が実戦で初コンビという状況の中では、これは驚異的なタイムだ。思わず、携帯で呼び出したSS速報を何度も読み返してしまったほどだった。

 その後はじりじりと、S-GTドライバー筒井克彦選手が駆るS2000に離されたメロン号。SS7でスピンしてしまい、ベテラン松本琢史選手のロータスエキシージにも抜かれて、最初のサービスAに入ってきたときにはクラス3番手という順位。幸いスピンの損傷は無く、サービスメニューは足回りの点検と各部チェックのみ。一部の路面が乾きだしているとのことで、タイヤを新品のハードコンパウンドに交換してDAY1午後のセクションに送り出した。

誰もが予想外の好スタートを切ったメロン号だったが、タイムを見るとSS3、5で同秒となっているのが判る。通常なら2本目のほうが速くなるので、セッティング的に微妙な違和感があるのかもしれない。今回はセッティングを変更せず送り出したが、こういうデータを蓄積することで、他のイベントの際に大きな武器となるのだ。

じつは前半セクションではサブ・コドライバーの「めろんちゃん」の搭乗が間に合わず、専用シートには「留守中」との張り紙が……! このサービスで無事に搭乗し、ようやく3人体制(?)のメロン号となった!!(笑)

SS(距離) タイム(ステージ順位 ベストとの差) オーバーオール(順位 トップとの差)
SS9(7.56km)6:15.5(5位 +5.1)36:08.5(3位 +14.0)
SS10(4.58km)3:30.2(TOP)39:38.7(3位 +11.3)
SS11(3.11km)2:23.7(TOP)42:02.4(3位 +11.2)
SS12(4.58km)3:29.3(TOP)45:31.7(2位 +7.4)
SS13(3.11km)2:24.3(3位 +0.5)47:56.0(2位 +7.9)
SS14(4.58km)3:28.0(TOP)51:24.0(2位 +3.2)
SS15(3.11km)2:24.6(2位 +0.3)53:48.6(2位 +3.5)
SS16(7.56km)6:18.4(5位 +6.4)1:00:07.0(2位 +3.8)

 この日の午後のセクションで、状況が大きく動いた。まずSS10で、トップ快走中だったS2000がスタートして早々のコーナーでクラッシュ。足回りを大きく損傷して、ステージフィニッシュ後にリタイヤしてしまったのだ。かわってエキシージがトップに立ったが、そのときポツリ、と空から水滴が。雨が降り出してしまえば、ミッドシップ後輪駆動のエキシージよりも前輪駆動のインテグラのほうが圧倒的優位に立てる。この機を逃さずスパートをかけたメロン号だったが、かろうじて乾いた路面を探りながら逃げるエキシージをなかなか捕まえきれない。セクション2だけで4本のベストタイムを並べたメロン号だったが、この日はトップから3.8秒差の2位で最終サービスに帰ってきたのだった。

その後はクラス2番手まで順位を上げて、メロン号はこの日の最終サービスBに戻ってきた。ほんの数センチのラインの差で順位が変わるようなギリギリの戦いで、クルーやメカニックたちの表情も緊張感いっぱいだ

 今回のイベントで使えるタイヤ本数は12本。現在までに8本を使っていて、明日は残る4本のニュータイヤを投入することができる。予報では、明日の天候は曇りで降水確率はかなり低かったが、今日の不安定な天候を見ても、まとまった雨が降る可能性は充分にあった。そこでドライ路面に対応するハードコンパタイヤのセットと、セミウェット路面用のミディアムコンパタイヤのセット、さらにウェット用としてソフトコンパタイヤのセットと、3つのタイヤセットを準備して明日に備えることになった。天候を見て、朝一番のサービスで履き替える作戦だ。

タイヤマネージメントの差が、勝敗を大きく左右する。今回チームが持ち込んだタイヤのうち、使えるタイヤは12本のみ。どのタイヤをいつ使うのか、他のチームはどんなタイヤを使うのか、明日の天候はどうなるのか……あらゆる情報を総合して勝負タイヤを決める作業。クルーだけでなく、メカニックたちもまた全力で戦っているのだ。

(次ページへ続く)

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