裏面照射型CMOSセンサーを搭載した醍醐味
裏面照射型CMOSセンサーは読み出し速度の速さでも定評がある。その性能を活かした機能として「ぐるっとパノラマ」「動体キャンセル」「連写重ね撮り」などがある。
ぐるっとパノラマ機能は、一筆書きのようにカメラを一方向へと振ると、細かく連続撮影した画像を綺麗につなげてパノラマ写真を生成してくれる機能。ソニーの「サイバーショット」にも同様の機能が備わっている。HS10では撮影中、パノラマのフレームのどのくらいまで撮影が進んでいるかを知らせる矢印(ガイド)が出るため、振る量が分かりやすい。
ただ、ズームレンズの広角端でしかこの機能は使用できず、多少でも望遠側にリングが回っていると撮影できない。一応、ズームリングが回っている場合は黄色く色が変化したズームバーが現れ、注意を促してくれる。しかし、微妙にズームリングが動いているという場合、撮影準備段階まで行っても撮影されず、一瞬故障かとびっくりしたことがあった。このモードを使用するときにはズームリングを広角端に当てて確認することが必要そうだ。
動体キャンセルは、設定した時間内に複数枚の画像を撮影して、動いているものだけを取り除いて1枚の画像を生成する機能だ。しかし、この機能が1回の撮影で成功する確率は低く、被写体の大きさや速度によって成功率も違ってくる。何度か撮影して最適な設定時間を見つける必要がある。
「連写重ね撮り」は、1回のシャッターで高感度の画像(ISO 1600まで)を4コマ連写し、これを1枚の画像に合成することでノイズを低減する機能。画像がズレないで合成されるかが心配だったが、ズレを発見できたのはカメラ前を横切った車くらいだった。
裏面照射CMOSセンサー自体は各社製品ラッシュで語りつくされた感があるが、HS10では撮影感度が最高ISO 6400相当までとなっており、他社製品と比較して一段分の増感を果たしている。
感度別撮影サンプル
感度をチェックしてみると、ISO 400から800にかけて明らかな変化が表れている。ISO 1600までならいいのだが、ISO 3200ではかなり画像が荒れてくる。しかし、ノイズだらけとはいえ、ISO 6400を通常の撮影感度として選択できるようになったことを喜びたい。
そのほか、顔を検出して明るさやホワイトバランスなどを最適化する「顔キレイナビ」も従来機種と同様に搭載している。ただ、HS10では顔検出精度が上がっており、人物(被写体)やカメラが多少動いた程度では認識した顔を逃すことなく追い続けることができ、さらに露出も合わせてくれて使い勝手はいい。