予想以上に見やすく鮮明な3D表示
立体表示は能書きよりも、実物でどう見えるかが重要だ。発表会場ではデジタルカメラやスマートフォンを想定したデモ展示が行なわれていた。
いずれも表示は明るく鮮明で、過去に携帯電話機に採用されていた3D液晶に比べると、自然な表示で立体表示を実現していて驚かされた。表示デモは3D表示時のみで、2D表示ではどうなるかはわからなかったが、細かい文字を見るのでなければ、3D表示のままでも十分実用できるように思われる。
デジタルカメラのデモでは、2つのレンズを横並びに搭載したカメラを使い、モデルの手の動きを液晶ファインダーで見せるというデモが披露されていた。CG映像ほどの立体感は感じられなかったが、富士フイルムの3D撮影対応デジカメ「FinePix REAL 3D W1」のようなカメラに搭載すれば、カメラ本体で鮮明な立体映像を楽しめそうだ。
まずは携帯機器への搭載を
ニンテンドー3DSはどうなる?
同社では製品について、2010年度上半期より、まずはタッチパネル機能を持たない製品の量産を始めると発表している。具体的な応用製品については言及はなかったが、携帯電話機やスマートフォン、携帯型メディアプレーヤーやデジタルカメラ、パソコンなど、比較的スクリーンサイズが小さく、画面とユーザーの目の距離がある程度決まった分野が想定されている。
将来的にはテレビへの応用も考えられているようだが、光学視差バリア方式では表示が立体的に見える「スイートスポット」が、眼鏡を使うものに比べて限定されるため、すぐに大画面の3D液晶テレビに応用される、ということはなさそうだ。
なにより誰もが関心を持つのは、任天堂が2011年3月に発売するという「ニンテンドー3DS」に、この3D液晶が使われるのか、という点だろう。もちろんシャープ側からは、それを認めるような発言は一切なかった。現時点ではこれがニンテンドー3DSに使われる、と断言はできない。
とはいえ、現在のニンテンドーDSの上部ディスプレー側に、3D液晶のタッチパネルなし版を搭載して3DSにする、というのは容易に考えられる。映像が鮮明で、ごく自然に立体視が可能という3D液晶の特性は、ゲーム機にも非常に適している。だから問題となるのは3D液晶側ではなく、小サイズスクリーンでの3D表示で、どのような「新しいゲーム体験」を実現できるのか、という点が注目される。
一方、3D撮影対応デジカメやフォトフレームへの応用は、ディスプレーの特性にも合っていて期待できそうだ。画面サイズは少々大きいものの、AV性能を重視するパソコンに搭載して、Blu-ray 3Dの立体映像を楽しむ製品というのもありえそうだ。