どんとに自分の歌を聴いてもらいたくて
―― でも結局、音楽は始めてしまうんですよね。
すんz 高校までバレーボールをやってたんです。でも3年になって引退するじゃないですか。ちょうどその頃はバンドブームで、友達は皆夢中という状況でね。俺もやってみたいなあと。それでギターを始めたんです。
―― どんな曲をやったんですか?
すんz ローザ・ルクセンブルグ※ですね。
※ローザ・ルクセンブルグ : どんと(vo)、玉城宏志(g)、三原重夫(dr)、永井利充(b)のロックグループ。1983年に結成し、NHKのヤングミュージックフェスティバルで優勝。1986年にアルバムデビューしたが1987年に解散。その後、どんとは永井利充と共にボ・ガンボスを結成。2000年1月、37歳の若さでこの世を去った
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すんz 高3から音楽を始めるのは、周囲に比べると遅い。それで「飛び級」したかったんです。どんとと玉木さんは拾得の従業員だったので、いろいろ聞き出せるわけですよ。でも、ほとんど一人で、いきなり録音から始めたんですけど。
―― それはずるいですね。でも、バンドはやらなかったんですか? せっかく実家がライブハウスなのに。
すんz バンドブームだったので、実家が音楽関係という子どもたちが、やっぱり同じようにバンドをやっている。それがみんな一緒なんです。親が期待するような音楽を、そのままやっていてつまらないわけです。
―― ロックをやってても、境遇がそうだと優等生化しちゃうわけですか。
すんz 格好はすごくワルなんですけどね。ロッケンロー! みたいな感じで。
―― だから学校を卒業して、音楽業界を目指そうとも思わなかったというわけですか?
すんz ぜんぜん思いませんでしたね。
―― じゃあ何を目的に音楽をつくっていたんでしょう?
すんz ミニコミみたいな感じですね、友達に配るような。あとは留守電です。むかし、留守電の応答音声って自分で録音したじゃないですか。あの15秒くらいのところにハマる曲とか。
―― でも2002年に「ストーミーサンデー」というCDをリリースしていますが。
すんz どんとさんに自分のオリジナルを聴かせられたらなあ、と思っていて。録りためたテープの中からいい曲を選んで「聴いてください」と渡したんです。そうしたら結構気に入ってくれて。それがうわさを呼んで、という感じですね。
―― へえーっ、それはすごいじゃないですか!
すんz あとはCD-Rでライブハウスに来るお客さんに配ったり。
―― ライブハウスってご実家ですよね? ステージには上がらないのに?
すんz ははは、いや、そうなんです。でもそれだけじゃ反応が返ってこないので、ジャングルライフっていうフリーペーパーがあって、そこがデモテープを聴いてくれるというので、送ってみたんです。そしたらレーベルの人から話が来て、CD-Rをそのまんま出したという感じですね。
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