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四本淑三の「ミュージック・ギークス!」 第20回

バンドブームの申し子・すんzりヴぇrPが見たニコニコ動画

2010年03月27日 12時00分更新

文● 四本淑三

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ボーカロイド曲「逆さまレインボー」を代表曲とする、すんzりヴぇrP。実家はなんと京都のライブハウス「拾得」だ

 ニコニコ動画の「すんzりヴぇrP」という読み方が分かりづらい名前のボーカロイド作家(ボカロP)、sunzriverこと寺田太陽さんは、1972年生まれで京都在住のミュージシャンだ。ちなみにすんzりヴぇrは「サンズリバー」と読む。その生い立ちは、普通ではない。

 彼の父親は日本最古のライブハウスといわれる「拾得のオーナー、寺田TERRY氏。このライブハウスは京都の音楽シーンの中心的存在で、今なお多くのミュージシャンを輩出している。「音楽が生まれる現場が実家」という極めて特殊な環境で育った人なのだ。

ライブハウス「拾得」

 彼は2002年に「sunzriver」名義で、自宅録音によるCDアルバム「ストーミーサンデー」をリリース。2008年にはボーカロイドを使いはじめ、ニコニコ動画への投稿を始めた。名義はボーカロイド使用曲が「すんzりヴぇr」、自身のボーカル曲が「sunzriver(act2)」だ。

 ポップなメロディーラインと、不思議な言葉の調和は、彼独特のもの。一連のボーカロイドPの中にあっても、相当にユニークな存在だ。中でも比較的ストレートな構成の代表曲「逆さまレインボー」は、海外のリスナーの手によってYouTubeに転載され、すでに30万再生に迫ろうとしている。

 今のところ、コメント欄を埋める言語に日本語は見当たらない。海外のリスナーに言葉を超えて何かが届いているのだと想像できる。

 しかし、そんな彼はどうも「気難しい」人らしい。以前、取材をしたキャプテンミライさんがボーカロイドに手を出したきっかけは、ニコニコ動画で彼の曲を発見したことだったという。ただ「彼は気難しいので、名前は書かないで」と釘を刺されていたのだ。

 そんなこともあって長いこと取材をためらっていたのだが、今回ダメモトで申し込んだところ、意外なことにオーケーが出てしまった。しかし例によって我々には京都へ行く予算がない。よって、今回もSkypeでの取材となった。

すんzりヴぇr : カナ変換モードで「sunzriver」とタイプしてみると「すんzりヴぇr」に変換されるはずだ

拾得 : 正式名称は「Coffee House 拾得」。創業は1973年

キャプテンミライ : 「キャプミラさん」の愛称で知られるボーカロイドP。本名は丹治まさみ。ボーカロイド以前は「アポジーズ」「知恵の輪」として、インディーロックシーンで活動していた。アポジーズのアルバムはUK.PROJECTから「ALLOVER OVERALL」(1998) 、「デビルポップ」(1999)の2枚がリリースされている

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