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妥協しない高品質電源選び 第1回

妥協しない高品質電源選び【ENERMAX編】

2010年04月05日 18時00分更新

文● 宇野 貴教

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「80PLUS GOLD」取得数はトップ!

――80PLUS GOLD認定に代表されるような高効率化に関しての取り組みを教えてください

ENERMAXのFounderおよびPresidentを務めるSteven Su氏

ENERMAX PC向け電源の高効率追求は現在のトレンドであり、各電源メーカーの取り組み要素として最重要項目となっています。2010年3月現在、80PLUS GOLD認証を取得した電源は157モデルありますが、ENERMAXはそのうちの16モデルを保持し、一メーカーでの取得数トップとなっています。このことからも、ENERMAXがいかに80PLUSを重要視しているかが、ユーザーの皆様にもわかってもらえるかと思います。

 しかし、80PLUS GOLD認証を取得しても、実際に製品として発売される機種はそう多くありません。実際のところ、取得済み157モデルのうち100以上が販売されていないのです。この理由は量産化が技術的に難しいからですが、そんな中でもENERMAXは80PLUS GOLD認証製品をすでに5モデルほどワールドワイドで販売しており、高い品質の製品を多く製造できる技術を持っていると自負しています。


80PLUSとは「交流から直流に変換する際の変換効率が80%以上」であることを表わす。省電力化の指標となっており、80PLUS GOLDの場合は下記の表を見てもわかる通り、負荷率の高低に関わらず87%以上の変換効率を達成しなければならない。昨今のエコブームや長引く不況を受けて、各メーカーの技術陣が鎬を削る舞台ともなっている

変換効率と80PLUS認証ランクの関係

負荷率 80PLUS
(スタンダード)
80PLUS
BRONZE
80PLUS
SILVER
80PLUS
GOLD
負荷20%のとき80%82%85%87%
負荷50%のとき80%85%88%90%
負荷100%のとき80%82%85%87%

――80PLUS GOLDならではの工夫はありますか?

ENERMAX 変換効率、省電力性を最大限に高めるために、80PLUS GOLD認証電源には、ENERMAX独自の「DHT(Dynamic Hybrid Transformer Topology)」を搭載しました。DHTは“Dynamic Transformer”“Dynamic AC”“DynamicFrequency”の3つの革新的なテクノロジーによって構成されます。この設計により、多重保護回路を盛り込んでも高効率をキープできる仕組みになっています。また、DHTは複数の最新技術を合わせることにより、どのような負荷の状況下においても最も安定した出力と最高の変換効率を実現しました。市販されている多くの電源はDC to DC変換技術を訴えますが、シニアエンジニアにとって、DC to DC電源変換設計はあくまでも基本中の基本に過ぎないのです。


――電源内部の温度上昇に関して「このくらいまでならOK」などといった社内基準は存在するのでしょうか

ENERMAX 高効率化により電源ユニットの放熱は低くなっていますが、電源自体は熱くなくてもシステム内の放熱も考えなければいけません。システムの温度は38~45度まで上がりますが、このような高温環境下の空気を電源内に吸い込み、PCケース外へ排出することを考慮した上で、ファンノイズと冷却性能の両方を重視して、バランスよく設定しています。


――ケーブルに関する取り組みを教えてください

ENERMAX Intelの推奨によると、18AWG(編註:導体の太さを表す。数字が大きいほど細い)のケーブルで理論上充分ですが、ENERMAXでは特定の高電流量が通電するコネクタにはさらに抵抗が小さくロスが少ない16AWGのケーブルを使用しています。そのほかには、近未来に登場するであろう10/12ピンコネクタ搭載パーツを予想して、12ピンコネクタも導入しています。


――小型化への取り組みを教えてください

ENERMAX 出力が上がると回路も大きくなるので、小型化はかなり苦労しますが、きちんと実現しています。例を挙げると、2006年Q3の製品である「Galaxy 1000W」の奥行きは22cmですが、2008年Q4の「REVOLUTION85+」シリーズの1000Wモデルは奥行きを19cmにまで縮めました。


――ユーザーがが興味を示しそうな「メーカー豆知識」があれば教えてください

ENERMAX 多くのユーザーには知られておりませんが、ENERMAXは日本ではまだPC-98シリーズが主流だった1990年4月2日に創立しました。電源ユニット単体が製品として注目されていない時代でしたが、この頃から率先して製品をカラー箱化して、仕様詳細などを書き入れたメーカーです。

 また、「REVOLUTION85+」シリーズは世界各地で性能面に高評価を頂くほか、製品デザインも高く評価していただいています。ヨーロッパでは欧州最高峰のデザイン賞「iF product design award 2010」を電源製品として世界で初めて受賞しました。

ENERMAXはいち早く箱パッケージのカラー化を進めるなど、早くからデザイン面に力を入れていたメーカーだ。画像は「iF product design award 2010」受賞告知


――今後の展開をお聞かせください

ENERMAX 2010年Q1~Q2は、500W~900Wの80PLUS GOLD製品をラインアップに加えます。Q3にそれ以上のハイワット数をリリースし、次にゴールド製品の小型化へ取り込みます。また、今年、産業用電源IPC REDUNDANT市場に新たに参入し、サーバー市場に省エネのハイエンド電源を送り出します。

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