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新生活に選ぶこの製品、このサービス 第7回

無料&低価格ウェブサービスで、新生活を便利にする

2010年03月24日 09時00分更新

文● 川添貴生/インサイトイメージ

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オンラインストレージを使いこなす

 自分自身のファイルを一時的に保存したり、あるいはどこからでもファイルにアクセスしたりできるサービスがオンラインストレージサービスである。必要なときに、必要なファイルをサッと開くことができれば、仕事もスムースに進むもの。会社のPCにファイルを忘れて外出先で仕事を進められなかった、なんてことがないように、ここで紹介するサービスを使ってみてほしい。

SkyDrive

 マイクロソフトは「Live」のブランドでさまざまなオンラインサービスを展開しているが、その中の1つがオンラインストレージサービスの「SkyDrive」だ。特徴は保存できる容量の大きさ。1ファイルあたり50MBという上限はあるが、無料でありながら25GB分のファイルを保存できる魅力は大きい。別の会員にフォルダを公開してファイルをやりとりするといったことも可能なので、ファイル転送サービス代わりに使うこともできる。

マイクロソフトが提供しているオンラインストレージサービス「Live Sync」。Office 2010との連係が強力

 ファイルのアップロードやダウンロードは、基本的にウェブブラウザで行うことになる。ただ、Microsoft Office 2010には作成したドキュメントをSkyDrive上にダイレクトに保存する機能があり、これを利用すれば作成したドキュメントを手軽にアップロードすることができる。このためWord 2010やPowerPoint 2010で作成したドキュメントのバックアップ先として、あるいは作成したドキュメントを外出先で利用するための手段として使うと便利だろう。

Google ドキュメント

 Google ドキュメントというと、オンラインで利用できるオフィススイートという印象が強いが、実はオンラインストレージサービスとして利用することも可能だ。

「Google ドキュメント」のファイルアップロード画面。同サービスのアプリケーション上で編集できるのは.docや.xlsなど一部のファイルだが、アップロード自体はどんなファイルでも可能

 従来からGoogle ドキュメントにはローカルで作成したファイルをオンライン上で編集するために、ファイルをアップロードするインターフェイスが用意されていた。ただ以前はGoogle ドキュメントのアプリケーションで編集できるファイルに限られていたが、現在はこの制限が撤廃されており、さまざまな種類のファイルをアップロードできるようになっている。

 ストレージの容量は1アカウントあたり1GBで、1ファイルあたり250MBまでという制限がある。また20GBを5米ドル/年、1TBを256米ドル/年で購入することも可能だ。

 1度アップロードすれば、Google ドキュメントで作成したファイルと同様にほかのユーザーとの共有が可能。メールに添付して送信するという機能も用意されている。もともとGoogle ドキュメントは第三者とのコラボレーションに力が入れられていたが、ファイル制限の撤廃によってファイル転送サービスとしての使い方も可能になったわけだ。Googleアカウントを持っていればすぐに利用できるので、Google ドキュメントを使ったことがないユーザーにもぜひ試してほしいサービスだ。

Dropbox

 「Dropbox」はオンラインストレージが注目を集めるきっかけとなったサービスで、複数PCの特定のフォルダを同期することに主眼が置かれている。たとえばノートPCとデスクトップPCにそれぞれDropboxのクライアントをインストールし、それぞれのフォルダを同期するように設定しておく。この状態でデスクトップPCでファイルを作成してそのフォルダに保存すれば、自動的にノートPCにも転送されるというわけだ。

複数のPC間で気軽にファイルを同期できる「Dropbox」。どのPCでも同じファイルを利用できるのは便利だ

 便利なのは、ウェブサービスであることを意識せずに使えるということ。事前にクライアントをインストールしておく必要はあるが、あとは設定したフォルダにファイルを保存するだけで自動的にアップロードされるため、ウェブブラウザを立ち上げてファイルを選択するといった手間がない。これは大きなメリットだろう。

 またWindowsのほか、Mac OS XやLinux、さらにはiPhone(読み込みのみ対応)でも使えるのもDropboxの魅力となっている。たとえば自宅のデスクトップPCで作成したファイルを、iPhoneを使って外出先から参照するといった使い方ができるわけだ。

 使い方は色々と考えられるが、その1つにバックアップ用途としての利用がある。メインのPCで作成したデータをDropboxで別のPCに同期しておけば、いざというときにデータを復旧できるというわけだ。

 ただ本格的に使い始めてみると、2GBくらいの容量はすぐに使い切ってしまう。50GBで9.99米ドル/月と、100GBで19.99米ドル/月の有料サービスも提供されているが、決して安価ではないため躊躇してしまうというユーザーも多いだろう。ただ、実際に使ってみると複数のPCで自動的にデータが同期されるのは非常に便利。物理的に離れた場所にあるデータの同期に悩んでいるのであれば、とりあえず無料会員となって使ってみてはいかがだろうか。

quanp

 リコーが運営する、オンラインストレージサービスが「quanp」だ。無料会員でも1GBのファイルを保存できるほか、専用のクライアントソフトを利用してファイルのアップロードやダウンロードができるのも特徴だ。

リコーの「quanp」で、ファイルアップロード用のウィジェットとして提供されている「quanp drop」。Adobe AIRのウィジェットとして提供されている

 クライアントソフトとして提供されているのは、3Dインターフェイスでアップロードしたファイルが閲覧できる「quanp.on」や、ドラッグ&ドロップでファイルをアップロードできる「quanp drop」など。Microsoft Office 2007から直接ファイルをquanpにアップロードできるプラグインも公開されており、ウェブサービスであることを意識せずに利用できる。

 ファイル転送サービスとしても利用可能で、アップロードしたファイルを別の会員にダウンロードしてもらうといった使い方にも対応している。有料会員になれば、複数のユーザーでフォルダを共有するといったこともできるので、社外の人とプロジェクトを組むといった場面でも便利に使えるだろう。

Evernote

 いわゆるオンラインストレージとは少し違うが、オンライン上に気軽に情報を保存できるという意味でぜひ活用したいのがEvernoteだ。

「Evernote」はウェブサイトをクリップとして保存することも可能。この画面はWindows用のクライアントソフトで、ウェブページをクリップしたノートを表示しているところ

 Evernoteはすべての情報をノートとして扱い、それらをノートブックに分類して整理する。ノートがファイル、ノートブックがフォルダだと考えれば分かりやすいだろう。ノートの作成や閲覧はEvernoteのウェブサイト上で可能なほか、WindowsやMac OS X、iPhoneといったプラットフォーム向けに用意されているアプリケーションも利用できる。

 実際、Evernoteが便利だと感じるのは、このローカルアプリケーションを利用したときだ。インターネットに接続されていればネット上に保存されているノートの編集や閲覧が可能なのはもちろん、いわゆるオフラインの状態でもノートを作成できるので、インターネットに接続されると同期が行われる。ローカルアプリケーションが用意されていることにより、このようにどこでもメモできる環境が実現されているわけだ。もちろん事前に同期されていたメモを参照することもできるので、インターネットが使えない場所でも過去に書いた内容を確認することが可能だ。このようにオフラインでも使える点が、Evernoteの特徴の一つだろう。

 ただ無料会員の場合、アップロードできるファイルの種類が画像や音声、PDFなどに制限されているため、オンラインストレージとして利用するのは厳しい。5米ドル/月、あるいは45米ドル/年を支払えばファイルの種類によるアップロード制限はなくなるが、有料会員でも1カ月あたりのアップロードリミットが500MBに制限されている(無料会員は40MB)ため、大きなファイルを次々とファイルをアップロードするといった使い方は向いていない。オンライン/オフラインを問わずに気軽にテキストを記録し、インターネットを介して複数のマシンで同期できる便利なメモ帳として活用したい。

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