最近は「美しすぎる~」「イケメンすぎる~」という見出しがしばしば見られるようになったが、その中でも最近紹介された、日本でも「誰も知らない 子不語」を連載する中国人漫画家の「夏達」さんは、「可愛すぎる」という形容詞に負けない容姿で大きな話題となった。
夏達さんが日本のネット界隈で話題となるや、逆に日本で話題となったことが中国のネットで紹介され、夏達さんは著名な中国人となった。今や、「百度」で「漫画家」と検索すると、夏達さんの名前ばかりが予測される状態である。
中国ではここ最近、突然オリジナルの漫画投稿サイトが話題になってきている。それは夏達さんの影響……というわけでなく、ネット利用者の誰もが利用する「QQ」と連動し、QQのアカウントを利用することで漫画を投稿したり評価したりできるサイト「原創漫画 騰訊動慢頻道」が登場したことが大きい。
QQの漫画投稿サイト「原創漫画 騰訊動慢頻道」は、イラストも漫画もOKなことから、日本で言えば「pixivとMANGAROOを足して2で割ったようなサイト」である。
このサイトやQQを運営する企業「騰訊」(Tensent)だけでなく、「盛大」(Shanda)をはじめとしたオンラインゲームベンダーや、「網易」(NetEase)をはじめとしたポータルサイトを運営する企業も同じ類の漫画投稿サイトを始めている。
盛大や網易での漫画投稿サイトは、それらサイトを日々利用するネット利用者なら見に行くだろうが、中国のネット全体を巻き込むとは言い難い。
過去の農園ゲームブームでも、先にリリースされていた「サンシャイン牧場」(中国語で陽光牧場)や「みんなの農園」(同、開心農場)を、QQが後出しした「QQ農場」が駆逐している。そのQQがアカウント連動をひっさげて漫画投稿サイトを開いたのだから影響力があるわけだ。
筆者の知り合う中国人は、日本に関わりのある、ないしは日本に興味を持つ中国人がため、日本の漫画やゲームの影響を多大に受けている人が多い。そのため、日本チックなイラストを描くのが趣味という若者を何人も見てきた。
筆者の過去の経験だと、ざっくり日本好きの若者の20人に1人は、イラストや漫画を描くのが好きな人がいた。原創漫画 騰訊動慢頻道に投稿されるイラストや漫画も、日本の漫画やエッセイ本などのコンテンツの影響を色濃く受けた作品が数多く見受けられる。
中国は、自国の漫画産業を日本やアメリカを超えるものにしよう、中国から海外に輸出しようと考えている。「コンテンツは洗脳産業であり、コンテンツ産業を発達させることで、国内外の人々を洗脳することができる」(関連記事)という一説も政府内にはある。
その政治的意図と漫画家志望の人々が増えていることを背景に、様々なコンペティションが開催されている。中でも「金龍賞」(最新の第7回のオフィシャルサイト)というコンペティションは、漫画家を志す人の中で最も有名で、夏達さんもそこで賞を受けている。
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