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藤末健三@fujisue参議院議員に聞いてみた!

インターネットで選挙運動が解禁? Twitter議員に聞いてみた

2010年03月20日 09時00分更新

文● ASCII.jp編集部

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長所は「若年層投票率の向上」と「コスト削減」
課題は「誹謗中傷」と「ネット戦費用の増大」

民主党内では解禁に伴う各種課題に対しての検討が続けられている。左の資料は「選挙運動用文書画面の頒布者の範囲」について。右は誹謗中傷防止に伴う、氏名・メールアドレスの表示義務を検討する資料。

――では解禁によるメリット、それと課題があれば教えてください。

藤末議員 メリットは何といっても「若年層の掘り起こし」と「コストの削減」ですね。最初にも述べたように、投票率が低い若年層は、また同時にインターネットへの接触時間が多い年齢層でもある。ならばネットを使えるようにする必要があるでしょうと。また、すでにネットはインフラとしての地位を築いていますから、5年10年後を考えると解禁は当然です。

 また選挙の際は膨大な選挙費用がかかっています。候補者はそれぞれポスターやはがきを数万枚ずつ刷りますが、はがきの印刷・郵送費だけで2000万円を超えるんです。これらの費用が候補者分積み上がり……衆議院選挙では800億円にまで達します。それは税金で賄われているんですよ。ですがネットでの情報提供が可能になれば、そのコストは格段に下がります。

――うまくすれば数百億円規模のコスト削減が可能と。……しかしその800億円の効果でみなさん現在の得票数が維持できていることもまた事実だと思います。ネット選挙運動解禁によって若年層の票を掘り起こせたとしても、はがきやビラを下手に削減してしまうと今度はこれまでの中高年層に声が届かなくなってしまって、結果的に得票数を減らしてしまうことになりませんか?

藤末議員 実際のところ、インターネットを通じての政治関連情報への接触は、他メディアと比べると低いのが現状です。しかしリーチできていない原因は、人々が政治に最も興味を持つ選挙期間中に情報更新できないからだと思っています。ネット利用が解禁されればグッと伸びるでしょう。

 一方で中高年の方々にはやはり紙でないと見ていただけないということはあると思います。ですから紙でのアピールも続けなければなりません。ただ、現状の規模が適正かどうかですよね。

――神田敏晶氏によれば、候補者一人につき新聞広告だけで1000万円ほどの税金が使われると聞きます。しかも値引きがないのであらゆる新聞社から営業が飛んで来るとか(笑)。

藤末議員 ネット利用を推すポイントは、紙幅の制限がないので情報の提供量が段違いになること。紙と違って「もらえなかった」ということもありません。そして誰でもアクセスできるので事実関係の精査が可能になります。容易に比較できるというのは大きいですよ。紙だと一方の陣営のビラしかもらってないということがあり得ますからね。ネットでリーチできるようになれば、「ビラはいらない」「こんなにポスター刷らなくてもいい」ということになるでしょう。

――その段階まで進むには、実際に数度の選挙を経てデータを揃える必要はありますよね。候補者にしてみれば「解禁になったから今回からビラなし!」という決断はなかなか難しいでしょうし。

藤末議員 おっしゃる通りです。そしてもうひとつ問題なのは、韓国で起きた事例なのですがネットを解禁した途端、今度はネットのほうにお金をかけちゃうんですよ。やたらと豪華なプロモーションビデオを作って配信したり、ネットゲームで気を惹いたり。……まあ、民主党も「民主くんダッシュ!」という携帯電話向けゲームを作りましたが(笑)、韓国ではこれを候補者単位で始めてしまったのですね。

 そして、何より韓国で問題になったのが誹謗中傷です。

 2002年の大統領選時にはネットが盧武鉉当選の原動力となりましたが、影響力の大きさから半ば落選運動の道具にも使われるようになってしまいました。そして2007年の大統領選では対立候補のスキャンダルを暴き合うという形にエスカレートしました。実際、李明博大統領の株価操作疑惑はネットが出所でした。

――その後、韓国ではネットサービス利用時の本人確認が義務付けられてしまいました。2009年4月からは住民登録番号を照会して確認がとれないと会員登録すらできない状態です。

藤末議員 実名表示を課した瞬間に、ネットの政治利用がパタっと止まってしまった。これはちょっとやり過ぎかとも思うのですが、候補者の成りすましなど、放ってはおけないトラブルがあるのも事実です。非常に難しい問題ですね。この辺は民主党内の会議でも話題になりまして、誹謗中傷の防止に関してはフローチャートを作るなどして検討しています。

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