中学生アイドルと初音ミクの「共演」に観客が熱狂!

文●全農連P

2010年03月13日 12時00分

 3月9日、平日の13時。冷たい雨が降りしきる中、ライブハウス・ZEPP TOKYOに長蛇の列が出来た。2500人にも及ぶ観客たちが見に来たのは、歌声合成ソフト(ボーカロイド)のアイドルキャラクター「初音ミク」のライブイベントだ。

 ライブ「ミクの日感謝祭~39's Giving Day~」は昼夜の二部構成。「初音ミク・ひるコンサート~こんにちは、初音ミクです~」は、夜の部に応募者が殺到したために急遽開催が決定したもの。ミク人気のすさまじさがうかがい知れる、昼の部の模様をお伝えしよう。

 開場と共に、観客席は瞬く間に埋め尽くされた。客電が消えると、一面に緑色のサイリウムが広がっていく。もちろんこれはミクにちなんで「ネギ」を模したものだ。最前列には白と緑のものを組み合わせてよりネギっぽくしたものさえ見える。

 やがて暗転した会場に、伴奏なしのアカペラでミクの声が響く。ミクが「歌った」のはニコニコ動画の人気曲「ハジメテノオト」。

 やがて静かに曲が終わると生演奏のギターが入り、PSP用ゲーム「初音ミク -Project DIVA-」(以下「DIVA」)の公式ソング「Project DIVA desu.」が流れはじめる。演奏は「THE 39S」。今回のイベントのために結成されたスペシャルバンドだ。

 オープニングアクトに会場が沸いたところへ、ついに「初音ミク」がステージに登場。巨大な透明パネルに映し出された3DCGのミクが踊り、会場はヒートアップしていく。そのまま「ワールドイズマイン」「えれくとりっく・えんじぇう」「サウンド」「恋スルVOC@LOID」と、初期の人気曲を立て続けに披露した。

 ここで、前回のミクフェス(関連記事)にくらべて、パネルが「横に広がっている」ことに気づいた。その大きさは縦2メートル×横6メートル。これは一体なぜなのかというと……? その意味はまた後ほど。

初音ミクが水着姿で歌い、次から次に衣装を替える

 それにしてもミクがステージ上を縦横無尽に動きまわる姿は、もはや普通に「人間」がやっているライブに来たような錯覚すらおぼえるから不思議だ。ミク自身が「やっほー!」と呼びかければ、観客がそれにこたえる。

 そんなコール&レスポンスを3回ほど繰り返したところで、画面には「水着姿」になったミクが登場。曲は「Dear cocoa girls」。DIVAの中でもPVに水着姿でボカロが登場する曲であり、それをイメージしたものだ。

 そのまま「StargazeR」を歌い終えたところで、ミクが「こんにちは、初音ミクです」と頭を下げて挨拶すると観客から歓声が上がった。こういったモーションのリアルさがすさまじい。本当に生きた人間のようだ。

 そこから怒濤のメドレーに入る。「ミラクルペイント」「Innocence」「ハト」「みくみく菌にご注意♪」「ぽっぴっぽー」「サヨナラグッバイ」と6曲をつなぎ、ふたたび「ミラクルペイント」に。ここでボーカロイドPのOSTER projectさん(関連記事)もキーボードで登場した。

 一連のメドレーが終わると暗転し、ミクの声で「セーガー」というジングルとともに「DIVA」の起動音が流れる。「誰だよPSPで遊んでるやつは!」とツッコミそうになるが、次の曲「ロミオとシンデレラ」が流れて思わず納得する。

 これは7月29日に発売が決定したシリーズ第2弾「初音ミク -Project DIVA-2nd」の収録予定曲だ。周知の事実なのだろう、客席のボルテージが一気に上がる。続く曲は「Dear」。ニコニコ動画で「19氏」としても知られる19’s Sound Factoryさんがギターとして登場し、ギターソロを披露すると観客からは大きな拍手が上がった。

踊ってみたユニット、中学生アイドルがまさかの「次元融合」

 熱狂冷めやらぬ中、次に登場したのはニコ動で有名なダンスユニット「DANCEROID」(ダンスロイド)。メンバーはミンカ・リー、いとくとら、そして愛川こずえの3人。今までミクに熱狂していた観客たちも「うおおおおー!」と野太い声援を飛ばした。

 最初に踊ってみせたのは「教えて 魔法のLyric」。踊るのは三次元の人間でも、歌うのは二次元のボーカロイドという「次元融合」的なパフォーマンスだ。2曲目は「ルカルカ★ナイトフィーバー」。躍動感ある振り付けに、観客たちは「ハイハイハイ!」とこたえていた。

 2曲が終わり、次に登場したのはまたもや女の子の3人組。今度は小倉唯と石原夏織のユニット「ゆいかおり」に能登有沙を加えた特別編成のユニットだ。小倉唯といえばこちらの動画が話題になったように、DIVAのモーションを担当したことでも知られている。

 先ほどミクが歌った「Dear cocoa girls」を、今度はこの3人が歌う。それがなんとも新鮮な体験に感じられる。そして可愛い。ペロペロしたい。続けて「みっくみくにしてあげる♪」でダンスを披露。これは先ほどの動画を知ってる人なら垂涎ものだろう。

 3人が退場してしまうと、今度はふたたびミクにバトンタッチ。曲は最近多くのMAD動画の派生でも有名な、wowakaさん(関連記事)の「裏表ラバーズ」だ。生音で入った太めのギターのサウンドが効いて、普通のロックナンバーに聞こえる。

 ドラムソロが入り、ミクによるバンドメンバーの紹介。ギターから順番に紹介していくのだが、おそろしいほどその流れがライブとして「自然」だ。一人一人紹介していき、最後に「ボーカル、初音ミク!」で大きな歓声があがった。

 ここからまた怒濤のメドレーとなり、「パズル」「Voice」「1/6」と続いていく。すさまじい疾走感。ここまでの1時間、ほぼMCなしでぶっつづけだ。疲れ知らずのミクに対抗するように、観客のボルテージも底抜けに上がっていく。

「初音ミク」と「巡音ルカ」がステージ狭しと絡んで踊る

 メドレーが終わると、初音ミクからバトンタッチし、ピンク色の髪をなびかせて別のボーカロイド「巡音ルカ」が登場。ミクとは一味違うしっとりとした歌声に加え、妖しくあでやかなダンスが魅力だ。

 踊るのはアゴアニキさん(関連記事)の人気曲「ダブルラリアット」。半径5200センチ(?)のライブスペースを縦横無尽に回り、観客もサイリウムも回る。アゴアニキさん本人もキーボードで参加した。続いて流れてきたのはDixieさん(関連記事)の「Just Be Friends」だ。

 ここでDJブースに、パーカーのフードをおろしたメガネの男性があらわれる。ボーカロイドPに明るい人なら、「もしかしてkzさんでは?」と思うはず。筆者も思った。だが実はこれ、同じボーカロイドPのbakerさんによる「kzさんのコスプレ」。紛らわしすぎだろう。

 暗転して波音のサウンドが流れ、ピアノの旋律が続く。多数の派生作品を生むこととなった、ミクとルカのデュエット曲「magnet」だ。ステージ上では、ミクとルカが濃厚に絡みあう。今回ヨコに広くなったパネルはこのパフォーマンスのためではないだろうか?

 ルカのパートはここで終了。今度は白いドレスに身を包んだ初音ミクが登場し、曲は古川Pさん(関連記事)の「Alice」、そのまま「あなたの歌姫」に続く。本当に俺の歌姫だ。結婚してくれ。つづいて衣装をチェンジして今度は「moon」だ。

 実はこの2曲、いずれも「DIVA」の収録曲。続いて同じく「初音ミクの消失」が披露された。ゲームではPVがなくイラストだけだっただけに、ファンにとってはたまらないものがあるだろう。

ミクの「お別れです、ありがとう」に「アンコール!」の声が飛ぶ

 つづいて長めのイントロが流れ、光に包まれながら登場したのは、金色の髪のボーカロイド「鏡音リン」。今度は会場のライティングが一気にイエローに変わり、観客の持つサイリウムもやはりイエローに。恐ろしいほどの一体感だ。

 ここで人気曲「炉心融解」(関連記事)が流れ、会場は熱狂の渦に。続けて「ココロ」では鏡音リンの弟役である「鏡音レン」も乱入。「右肩の蝶」をBGMにアグレッシブにステージ上を動き回る。最後にミクが登場し、リンとデュエットで「Promise」を披露した。

 その1曲が終わったところで「そろそろお別れです……ありがとう」とミクが宣言。会場からは「えええーー!」と盛大に別れを惜しむ声が上がった。「from Y to Y」「サイハテ」と別れをテーマにした曲が続いていく。

 続く「ストロボナイツ」で、ミクが手を振りながらステージ上を動き回っていたのが印象的だった。ライブアクションをうまく取り入れる「セガの本気」を強く感じた。最後の1曲「SPiCa」を歌い終えると「ありがとう」という言葉と共にミクはステージを去った。

 だが直後に会場から「アンコール!」の声が上がる。それにこたえてふたたび「ありがとう!」とステージ上に戻ったミクは、アンコール1曲目に「愛言葉」を、最後は「メルト」を歌いあげた。合計39曲を披露し、ミクはパネルの向こうに姿を消した。

 ライブの最後にはステージ上にそれぞれの曲でゲストとして演奏に加わっていた11人のボーカロイドPが全員登場し、ライブは大団円を迎えた。「初音ミク -Project DIVA-」の今後への期待、そしてボーカロイドの可能性を強く感じた2時間だった。


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