CrystalDiskMark
今度は、ディスク性能を計測してみた。AMD 890GXは、SATA 3.0対応の最新サウスブリッジのSB850を搭載しているが、今回利用したHDDはSATA 2.0対応であり、また転送速度もSATA 2.0の限界には及ばないため、SATA 3.0の真価は発揮できていない。
しかし、HDDよりも転送速度が遙かに高速なSSDでは、転送速度がSATA 2.0の限界に迫る製品や、SATA 2.0を上回る製品が登場しつつある。例えば、Crucialから発売された「ReadlSSD C300」シリーズは、SATA 3.0の6Gbps転送に対応しており、SATA 3.0接続時の公称リード速度は355MB/sに達する(SATA 2.0接続時の公称リード速度は265MB/s)。こうしたSATA 3.0対応製品を使えば、SATA 3.0を標準サポートしたAMD 890GXの利点が活きてくるであろうが、今回は時間の都合もあり、用意できなかった。
SATA 2.0対応HDDでの結果は、逆にAMD 890GXのほうが遅くなっているが、SB710/750用AHCIドライバーに比べて、SB850用AHCIドライバーの成熟が進んでいないことが原因として考えられる。
アイドル時の消費電力が大きく低減
最後に、システム全体の消費電力を計測してみた。ワットチェッカーを利用し、Windows起動後10分ほど放置したアイドル時と、CINEBENCH R10 64bit版を実行中の高負荷時の最大消費電力を計測したところ、なかなか面白い結果になった。アイドル時の消費電力は、AMD 780GとAMD 790GXがそれぞれ60W、61Wなのに対し、AMD 890GXは47Wと、2割以上低くなっている。高負荷時の消費電力は3製品ともほぼ変わっていない。製造プロセスルール自体は変わっていないが、プロセスが改良されて消費電力が減ったか、チップセットの省電力機能がより強化されたのだと思われる。
2010年のAMDプラットフォームとして
着実な進化を遂げた製品
AMD 890GXは、旧世代のAMD 790GXに比べて、グラフィックスコア自体の性能はほとんど変わっていないが、世界で初めてSATA 3.0に標準対応したことが魅力である。現状では、HDDを使う場合においては、SATA 3.0はオーバースペックだが、超高速SSDを使うのなら、SATA 3.0のメリットが出てくる。消費電力も減っており、Socket AM2/AM2+環境を利用している人で、Socket AM3にプラットフォームの更新を考えているのなら、AMD 890GX搭載マザーボードは有力な選択肢としてお勧めできる。ただし、AMD 890GXは、AMD 8シリーズチップセットの第一弾であり、今年前半にも、さらに上位のAMD 890FXや下位のAMD 880Gが登場予定なので、そちらを待つのもひとつの手かもしれない。
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