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動画サイトってどうなの? 儲かるの? 第3回

ドワンゴ小林宏社長が語る「ビジネスとしてのニコニコ動画」

2010年02月16日 12時00分更新

文● 松本淳

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目に入っているのは海外展開 「2011年」はあまり意識せず

―― ニコニコ動画の特徴の一つが国産サービスであることです。台湾に続いて、海外展開を積極的に行なっていきますか?

小林 日本の映像コンテンツ、特にアニメーションに対しては海外ユーザーからのニーズは強いものを感じています。しかし、日本でのサービスをそのまま持って行ってもうまく行かない可能性が高いため、海外での運営を任せられるようなパートナーを探しているところです。

 実は中国からオファーが来ていたりするのですが、グーグルさんの撤退といった話もあるくらいですから、ニコニコ動画が進出しても大丈夫なんですかね?(笑)。

―― 各社に伺っているのですが、2011年のアナログ停波・デジタル完全移行は、動画サービスに与える影響も大きいと思います。小林社長はどのように捉えていますか?

小林 2008年3月以降、著作者団体からの申し入れを受けて、テレビ番組などの著作権侵害コンテンツについては、即時削除をするようにしています。その直後は会員数、特に有料会員の伸びが止まった時期もあったのですが、昨年10月以降は再び増加に転じています。

 (違法アップロードの)テレビコンテンツはほとんどない状態ですので、2011年が何か直接的な影響をニコニコ動画にもたらすことは考えにくいですし、マイナスの影響を与えることももちろんないでしょう。ただ、パソコンでテレビを見る人は増えるでしょうね、あとは逆に「テレビでニコニコ動画を見ていただく」機会も増えるのではないでしょうか?

―― GyaO!さんへのインタビューの中では、「テレビが失った機会をGyaO!が提供する」というコメントが印象的でした。

小林 うーん……しかし、今お話ししたようにニコニコ動画にはテレビコンテンツがないんですよ(笑)。YouTubeさんでランキング上位にテレビ番組が並ぶのも、番組の面白さというより「ニコニコ動画にそれがないから」というのが原因じゃないんでしょうか。そもそも、最近テレビって面白いですか?

 そういえば、実は数台あるウチのテレビも、まだアナログのものが残ってます。そろそろデジタルに買い換えないと(笑)。



次回の「動画サイトってどうなの? 儲かるの?」

 ここまでGyaO!、YouTube、ニコニコ動画という「国内の動画サービス御三家」を取り上げてきた。各社のサービスやビジネスモデルの相違点が明らかになる中で、共通していたのは今年「2010年での黒字化」を挙げていることだ。

 2006年の動画サイトの相次ぐスタートが「動画サイト元年」とするならば、2011年のテレビのデジタル化を待たずして、2010年は「動画サイト黒字化元年」だ。激変が予想されるテレビ周辺のビジネスに与える影響もますます無視が出来なくなる。

 その一方、動画サービスのビジネス的なインパクトは、フロー型のメディアであるテレビ・映画に対してだけでなく、DVDやBlu-rayといったパッケージ型の流通に対しても及んでいる。次回は実際に動画を通じて「モノを売る」、楽天市場などの動画に対する取り組みを取り上げてみたい。



著者紹介――松本淳

 ネットベンチャー、出版社、広告代理店などを経て、現在は東京大学大学院情報学環修士課程に在籍。ネットコミュニティやデジタルコンテンツのビジネス展開を研究しながら、IT方面の取材・コラム執筆、映像コンテンツのプロデュース活動を行なっている。デジタルハリウッド大学院デジタルコンテンツマネジメント修士。著書に「できるポケット+Gmail」など。公式サイト 松本淳PM事務所[ampm]

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