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2010年 Core i7/5/3搭載ノートはコレが買い! 第1回

Core i5/3って何が違うの? 新CPUノートの素朴な疑問

2010年01月25日 12時00分更新

文● 小西利明/ASCII.jp編集部

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Q3 ArrandaleとCore 2 Duoは何が違うのか?

A3 どちらもデュアルコアCPUだが、Core iシリーズは非常に多くの面が改良された。CPUコアの中核は改良型という程度だが、その周囲はほとんどすべて変わったと言っていい。

Core i7/5/3 Core 2 Duo(T9600)
ハイパー・スレッディング 対応 非対応
2次キャッシュ 各コア 256KB 共有型 6MB
3次キャッシュ 共有型 6,8MB なし
メモリーコントローラー パッケージに内蔵 なし
グラフィックス パッケージに内蔵 なし
外部バス DMI、FDI、PCI Express x16 FSB

 下図はインテルがArrandaleの説明に利用するブロック図だ。左がCore 2 Duo(Penryn)世代、右がArrandale世代のCPUとチップセット、メモリー、グラフィックスカードの配置と接続を示す。特に大きな違いは、メモリーコントローラー(MC)と「グラフィックス機能」(GPU、図ではiGFX)が、Arrandale世代ではCPU側に内蔵された点にある。GPU部分には、メモリーコントローラーとPCI Express x16インターフェースが備わる。

Core 2 Duo(左)とArrandaleのプラットフォーム構成図

Core 2 Duo(左)とArrandaleのプラットフォーム構成図

 ただし、ArrandaleのCPUコアとGPU部分は一体化されているのではなく、32nmプロセスのCPUコアと45nmプロセスのGPUは別々のチップになっていて、CPUパッケージ上でインターコネクトバス「QPI」を使って接続されている。一方で、Core i7-820QM/720QMなどのClarksfieldは、GPUを持たない代わりにメモリーコントローラーとCPUが一体化されている。そのため、CPUとメモリー間のレイテンシはClarksfieldの方が短く、高速アクセスが可能となる。

上がCPUコアで下がGPU部

Arrandaleと同じ世代のデスクトップ向けCPU「Clarkdale」の写真。上がCPUコアで下がGPU部

 Core iシリーズのCPUコアは、1コアで2つのスレッドを同時に実行可能な「ハイパー・スレッディング・テクノロジー」(HT)の機能を備える。そのためCore iシリーズは、物理的なCPUコア数の2倍の論理CPUを持つようにソフトウェアから見える(デスクトップ向けではHT非対応のCore i5もある)。

 もうひとつ重要な特徴が、ターボ・ブースト・テクノロジーへの対応であるが、これについては別項で説明しよう。


Q4 ターボ・ブースト・テクノロジーにはどんな効果があるのか?

A4 簡単に言えば「自動オーバークロック機能」である。NehalemアーキテクチャーのCPUは基本的に、この機能を備えている。ただしノート向けのCore i3は、Core i7/5との差別化のため対応していない。

 一般的な「オーバークロック」では、CPUやGPU本来の仕様を超えたクロック周波数や電圧を与えることで、動作を高速化させる。一方で無理矢理動かすのでCPU自体の寿命を縮めたり、動作が不安定になるという弊害を生じる。また消費電力も仕様以上に増える。

 対するターボ・ブースト・テクノロジーは、CPUのTDP(熱設計消費電力)の範囲内で、“余裕があれば”動作する自動オーバークロックとなっている。そのため安定性の問題はでないし、発熱や消費電力も仕様の範囲で収まる。逆に放熱面で余裕がなかったりすると、安定動作のため働かないこともある。

 さらにターボ・ブースト・テクノロジーでは、CPUコアの動作状況に応じて、動的にオーバークロック速度を変える機能がある。例えば2つのCPUコアがどちらも動作している場合は、1~2段階(段数)しか上がらないが、ひとつのコアだけが動作している場合は、さらに高い5段階くらいまで速度があがるという具合だ。

ターボ・ブースト・テクノロジーの動作イメージ

ターボ・ブースト・テクノロジーの動作イメージ。2コア動作時は2段分、1コアなら5段分まで上がる

 Core iシリーズを搭載するパソコンのスペック表には、CPUの動作クロックの欄に例えば「最大2.53GHz」といった記述があるが、これはターボ・ブースト・テクノロジーによる最も高い動作クロックを示している。この数字はあくまで最高値なので、実際にここまで上がるかどうかは、動作状況次第だ。

インテル提供のガジェット「ターボ・ブースト・テクノロジー・モニター」

インテル提供のガジェット「ターボ・ブースト・テクノロジー・モニター」(右上)でゲームのベンチマークプログラム動作中の動作クロックを見ると、Core i5-430Mの最大値まで上がっていた

 ちなみに、通常電圧版のCore iシリーズよりも低電圧版や超低電圧版の方が、ブースト段数は高い。例えば、Core i7-620UMは通常時の最大クロックが1.06GHzなのに対し、ブースト時の最大は2.13GHzと、実に2倍近いクロックで動作する。本来高クロックでも動作できるCPUを、消費電力を削減するため低い電圧と動作クロックで動かしているがゆえの恩恵で、超低電圧版CPU搭載のノートだからといって、必ずしも低性能とは言えないわけだ。

 さらにArrandaleでは、CPUだけでなく内蔵GPUにもターボ・ブーストのようなオーバークロック機能がある(デスクトップ向けのClarkdaleにはない)。CPUの負荷は低いが、GPU部分はより高速で動作させたい状況になると、TDPの余裕分だけGPUを高クロックで動作させるという。3DゲームはCPUパワーもそれなりに必要なので、HD動画再生時などに効果を発揮するのだろうか。

CPUとGPUでTDPの余裕分を分け合う

Arrandaleは動作状況に応じて、CPUとGPUでTDPの余裕分を分け合ってオーバークロック動作する

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