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キャンペーンで無線LANモデルは有線モデルと同じ価格に

無線LANモデルも投入!ソニックウォールのTZ 100/100W

2010年01月21日 06時00分更新

文● 大谷イビサ/TECH.ASCII.jp

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1月20日、ソニックウォールはSMB(Small Medium Business)向けのUTMのエントリモデル「TotalSecure TZ 100/100W」(以下、TZ 100/TZ 100W)を発表した。有線LANだけではなく、無線LANのモデルも用意し、ワイヤレスUTMという製品ジャンルとして訴求していく。

無線LANモデルに再チャレンジ

 ソニックウォールのTotalSecure TZシリーズは、同社のUTMのエントリモデルで、小型のボックス型筐体にフルのUTMを詰め込んだコストパフォーマンスの高いモデルだ。10MbpsのUTMスループットを実現するTZ 180、35MbpsのTZ 200、50MbpsのTZ 210がラインナップされており、中堅中小企業よりも、もっと小規模なSOHOに近いターゲットに訴求する。

 こうしたSMBやSOHOであっても、攻撃は深刻だ。「景気の低迷もあり、マルウェアを作る人間が増えています。しかも感染の兆候も見えにくくなっています。銀行サイトへの攻撃は難しいが、個人ユーザーからアカウント情報を盗むのは容易です」(岡本氏)という状況で、小規模な事業者でもUTMの必要性はますます高まっているという。こうしたなか、従来のローエンドモデルであるTZ 180を置き換えるモデルとして提供されるのが、今回発表されるTZ 100/100Wである。

UTMのローエンドモデルTZ 100とTZ 100W

 TZ 100/TZ 100Wは25MbpsのUTMスループット、75MbpsのVPNスループットを実現する小型筐体のUTM。TZ 100が100MbpsのLANポートを搭載したモデルで、TZ 100WはIEEEE 11b/g/nの無線LANのAPも搭載する。希望小売価格は11万4000円となっている。

TZ 100/100W投入後の新しいファミリーの比較

フルUTMの機能に加え、SSL-VPNまで搭載したTZ 100の特徴

 従来のTZ 180では、OSがSonicOS Standardというエントリ向けソフトウェアで、ノード数の制限があった。一方、TZ 100/100WはSonic OS Enhancedの提供になり、ノード数の制限もなくなった。上位ラインナップのNSAシリーズと同じく、パケットの再構成なしに高速なトラフィック精査を行なうファイアウォールのほか、アンチウイルス、VPN、IPSなどの機能を統合している。ただ、TZ 100/100Wではおもにハードウェアの制限からダイナミックルーティングやUSBポートを介したWWANの通信、2台構成のフェイルオーバーには対応しない。また、シグネチャセットが小さいサイズになるという。

 今回の発表の1つのポイントは、やはり無線LANモデルの投入だ。以前も製品を出していたが、日本ではなかなか成功しなかったのが事実だという。しかし、米国では30%弱が無線LAN製品になっていることもあり、日本法人でも再チャレンジすることになったようだ。

ソニックウォール マーケティング マネージャー 岡本慈子氏

 そのための施策として、出荷開始後の3ヶ月キャンペーンながら、有線LANオンリーのTZ100と無線LAN対応のTZ 100Wの価格を同額にする。「今までは国内の安価なアクセスポイントと比較していたため、製品の魅力を訴求しきれなかった。これからはあくまでUTMでワイヤレス接続が利用できるというUTM+ワイヤレスのアプローチで顧客を開拓したいです」(岡本氏)とのこと。無線LAN側から入ったトラフィックをUTMでフィルタリングをかける「Clean Wireless」を実現し、さらにSSL-VPNとも連携できるため、高いセキュリティを実現する。なお、現状では単一のESS-IDのみサポートしているが、SonicOS 5.6では複数のESS-IDを使える予定となっている。

新OS「SonicOS 5.5」で
新スパムサービスを追加

TZ 100やSonic OS 5.5について説明するシステムエンジニア 澁谷寿夫氏

 さらに発表会では、リリース間近のSonicOS 5.5についても言及された。SonicOS 5.5は今回発表されたTZシリーズをはじめ、NSAシリーズ、そしてエンタープライズ向けのE-Classまで、すべてのUTMに適用される。

 5.5の新機能としては「Compresive AntiSpam」というアンチスパムサービスへの対応が挙げられる。現状、インターネットから入ってくるメールに関しては、IPレピュテーションを基に接続を拒否することで、8割くらいのスパムが排除できるという。すり抜けたメールに関しては、さらに「Advanced Content Management」というクラウドベースのサービスを用いて、ベイジアン解析やキーワードによる詳細なフィルタリングを行ない、高い精度でスパムメールを除去できるという。なお、Comprehensive AntiSpamはオプションで提供され、10ユーザーで7万8400円になる。

クラウドと連携するアンチスパムオプションサービス「Comprehensive AntiSpam」

 SonicOS 5.5では、その他WANも最大4回線に対応し、E-ClassのみでActive-Active UTMというクラスタ構成をサポートした。Active-Active UTMではクラスタ構成のうちのメイン機がバックアップ機のCPUを利用することで、全体としてパフォーマンスを1.5倍にすることができるという。

 エンタープライズ向けの製品に注力する同社だが、TZ 100/100Wの投入により、同社がもっとも得意とするSOHO向け製品もきちんとカバーした形になる。特にUTM+ワイヤレスという新しいジャンルを切り開くTZ 100が、今後どのようにユーザーに訴求するか、興味深いところだ。

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