ここからは体験セミナー「未経験からのIT業界転身セミナー Java＆Network～プログラミングとネットワークのスキル最新情報＆ミニ体験」の様子をお伝えする。講師はヒューマンアカデミーや企業教育の場で日々教壇に立つという平野正喜氏で、セミナーは実践講習を含めて2時間弱に渡って行なわれた。
今、求められるスキルとは？
IT業界の現状を紹介
平野正喜氏
平野氏は最近のIT業界の現状を総括して、まず「SNSなどの新しいWebサービスへの需要増大によるプログラマーの不足」を指摘。さらにサーバーやネットワーク機器を中心にオープンソースのソフトウェアが広く用いられていることに触れたうえで、それらのソフトには日本語の資料が少ないなど、習得のためのハードルが高いとして「この障壁を逆手に取り、プロとして扱えるようになれば大きなチャンス」と述べた。
一方、IT業界が求める人物については「現場は“即戦力”を求めるが、要求水準をすべて満たす人物の確保は、現実的には困難だ」とし、そうした要望に対しては「最終的にその水準まで到達できる“伸びしろ”のある人物を推すことが多い」と語った。平野氏は開発の現場などを経験したのちに人事で採用の現場も担当しており、その発言には説得力が感じられた。
Javaプログラマーとネットワーク技術者の説明ではそれぞれの職種について、仕事の具体例や人材不足となっている分野の解説を交えつつ進めた。2つの職種の関係するベンダー系資格と国家資格も紹介。平野氏はこれらの資格について「自分が勉強してきた内容の確認に過ぎない」と発言したが、これはIT技術者としての基礎をしっかりと習得することがまず重要であり、そうすれば自然に資格もついてくるといった意味だろう。
受講者の適性や進捗状況を把握して
授業をカスタマイズ
Javaの紹介ではJavaVMを「お座布団」と表現。OSの上に敷いた座布団がOSの違いを吸収するため、作成したプログラムはさまざまなOS上で動作可能と説明した
講座の紹介については、セミナーということでパンフレットとは異なる講師からの視点で進められた。たとえばIT入門という初歩的な講座を設けた理由は、Javaやネットワークの習得を目指す人の中にも、実際にはエクスプローラーでのファイル操作など、基本的なWindowsの知識がないという人が過去にいたことから、基礎知識を再確認する助走期間を設ける必要があったという。受講者全員のスタートラインを同じ位置にする配慮というわけだ。また、就職対策は、現在は開発体制にチーム制を採用する現場が多いことからコミュニケーションスキルが必須として、その重要性を説いた。
平野氏は本講座のポイントを「ひとりひとりの適性やその時点での状況・興味に合わせて、可能な限りの情報・知識を提供する点にある」と述べた。ヒューマンでは受講者の適性や進捗状況を把握したうえで講師とマンツーマンでのミニカウンセリングを毎回行ない、受講者の希望に合わせた授業を提供する方針を採っている。「すべての話に無条件で応じるわけではない」と言い添えたが、獲得したい知識や情報について、ある程度は柔軟な対応も期待できるだろう。
講座の最後には、ミニ体験としてオープンソースの統合開発環境「Eclipse」を使用して、Java言語による「標準出力に文字を出力するコンソールアプリケーション」「Swingを利用した簡単なGUIアプリケーション」の2つを作成した。体験講座ということで、Javaの言語仕様に関する説明は省略されたが、こうした開発環境を使えば、わずかなコードの記述で文字出力やウィンドウ操作が可能だ。プログラミングの体験としては十分な内容といえよう。
ミニ体験講座で使用したEclipseの画面
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プログラミングやネットワークの知識は独学でも習得可能だが、経験なしではどこからどこまで学習すればいいのか、迷うこともしばしばあるはず。また、壁にぶつかったときに気軽に相談できる相手がいないと継続するのが非常に苦しい。
その点スクールはプロの講師がカリキュラムを組み、わからないことがあれば講師に質問もできるので、安心して学習を継続できる環境が整っている。その一方で、スクールの短所とされるのが、時間の制約と受講費用の高さだ。本講座では振替受講制度があり受講時間はある程度自由がきく。
費用は54万9150円と決して安いものではないが、講座内容＋就職サポート＋入学金＋受講料と見合うかどうかだ。単純に1時間当たりの費用は約3410円。独学よりも継続しやすい環境を得られ、安くない投資をしたからには最後まで続けるモチベーションにもなり得るだろう。
なお、ヒューマンアカデミーでは4領域をセットにした本講座以外にも、特定の分野を学ぶ単科講座を用意している。スクールで学びたいけど費用は抑えたい人や、Javaもしくはネットワークのスキルだけを習得したい人には単価講座を検討する手もある。
説明会や体験セミナーは2月末まで定期的に実施されているので、未経験からIT業界への転身を考えている人はまずセミナーに参加してみてはいかがだろうか。
平野正喜（ひらの まさき）氏
システム開発会社のエンジニアリーダー、マネージャー、採用担当責任者を経て独立し、個人事務所を設立。ヒューマンアカデミー各校に加え、大学、企業教育などにて教壇に立つかたわら、講演、ビデオ教材の作成・出演、書籍や雑誌での執筆でも知られる。著書に、「ケータイビジネスを革新する技術 BREW」や「Eclipse辞典」がある。
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