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林信行が語る「2010 知っておくべき10のトレンド」【中編】

2010年01月20日 18時30分更新

文● 林信行

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7位 Wi-Fi

 Wi-Fi(無線LAN)関係でも、注目の動きがいくつかある。

Eye-Fi Pro X2

IEEE 802.11b/g/nに対応した「Eye-Fi Pro X2」。メモリー容量は8GBで、米国の価格は149.99ドル。日本では今春の発売が予定されている

 まず技術では、IEEE 802.11nが注目だろう。昨年9月、最大伝送速度が300Mbpsというこの規格がようやく承認されたことを受けて、無線LAN搭載機器の規格移行が始まっている。無線LANを内蔵し、デジカメで撮影したデータをワイヤレスでパソコンに転送できるEye-Fiカードでも、いち早く対応製品「Eye-Fi Pro X2」が発表された。

 デバイスで言うと、iPhoneやAndroid端末と言ったスマートフォンはもちろんだが、動画コンテンツの対応などを売りにしている国産メーカーの携帯電話でも、多くのモデルが無線LAN通信機能を搭載し始めている。これらの機器も順次、IEEE 802.11nに対応していくだろう。

 また、アップルは数年前から「世の中の関心が音楽デバイスからWi-Fiデバイスに移りつつある」と語っている。もしかしたら今年こそWi-Fi内蔵のiPod nanoが登場するかもしれない。

新幹線ではN700系が公衆無線LANサービスを提供している

 Wi-Fiはスピードだけでなく、低コストで敷設できるインフラとしても魅力で、これからはより多くの場所でWi-Fi通信が可能になってくる。

 公衆無線LANアクセスポイントは、ソフトバンクモバイルが、昨秋に大幅に増やすと宣言したほか、新幹線や成田エクスプレスといった特急列車でも整備され始めている。

 実は日本は、これまでも公衆無線LANの基地局がそれなりにあった。しかし、公衆無線LANの黎明期に総務省からの指導もあって、サービスに申し込まないと無線LANの電波につなぐのに必要な接続ID(SSID)が分からない仕様になっていたのだ。例えば海外から訪れた人がいきなり使い始めるには、かなりハードルが高かった。

Wifine

Wifineのウェブサイト

 「Wifine」など、新たなサービスではこうした点も改善されている。Wifineは広告主とのコラボで、時間制限付きでアクセスを開放するといった試みを始めた。例えば、グーグルの広告を見れば30分、無料でアクセスできるといった具合だ。もっとも、こうした公衆無線LANサービスにおいて、IEEE 802.11nを採用しているところは、ワイヤ・アンド・ワイヤレスの「Wi2」などまだ少ない。


Wi-Fiが面白くするiPhoneの活用事例

 規格の進化と、利用可能場所の拡大、そして採用デバイスの拡大が同時に起きている無線LANだが、やはり未来を予見させる面白い活用事例が多く見られるのがiPhoneだ。

 iPhoneのアプリでは、無線LAN経由で接続したパソコンやApple TV、その他の無線LAN搭載機器をワイヤレス制御できるものが増えてきている。1月初旬に米国で開かれた家電見本市「2010 International CES」では仏Parrotが、iPhoneで遠隔操作できるラジコンヘリコプター「Parrot AR Drone」を発表して話題になった。

Parrot AR Drone



 このほか、前編でも触れたテレビや録画機器を遠隔操作して映像を見られる「Slingbox」も、Wi-FiとiPhoneを活用した好例だろう。今年はよりバラエティー豊かな家電機器に無線LAN装置やセンサーが取り付けられ、それらをスマートフォンなどを通して集中管理するという例が増えそうだ。

米国で提供されているSlingboxに対応したiPhone/iPod touchアプリ「SlingPlayer Mobile」。価格は29.99ドル

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