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林信行が語る「2010 知っておくべき10のトレンド」【前編】

2010年01月20日 12時00分更新

文● 林信行

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 2008年末に掲載された「林信行が語る『2008年、知っておくべき10のトレンド』」という記事が好評だったそうだ(前編後編)。読み返すと、手前ミソながら、それなりにいいところを突いていたと思う。

 ひとつ残念なことをあげるとしたら、2008年の大晦日に公開された2009年向けの記事だったのに、タイトルに「2008」とあること。記事の寿命を短くしてしまっている。

 そこで、今回はリベンジも兼ねて「2010 知っておくべき10のトレンド」というタイトルで記事を書かせてもらうことにした。年明け掲載なので、年初に米国で実施された家電見本市「2010 International CES」での発表内容なども盛り込みつつ、2010年を読み取ってみようと思う。



2009年のトレンド予想を振り返る

 だが、まずはその前に先の記事であげた10のトレンドをベースに、2009年がどんな年だったかを振り返りたい。


10位:携帯電話メーカーの復権……ならず

当時、シャープのCMでは「元気なケータイ、シャープ」と歌われていた

 10位は日本の「携帯電話メーカーの復権」という予想だったが、残念ながら予想(というか期待)は外した。

 まずは「元気なケータイ、シャープを選んで、キャリアは二の次」の姿勢を打ち出した、シャープのCMは1回限りの試みとして終わった。同社は、その後、各キャリアごとに差別化した機種を数種類ずつ用意する頑張りっぷりで、旧来通りのキャリア主導の姿勢を強めていく。薄型やカメラ(ペンギンアニメ)などの個性で、それぞれ人気があったNECとカシオ日立も事業統合し「NECカシオ」になり、プレーヤーが減ったのも、ちょっと寂しい。


9位:Evernoteなど、広がるサーバー側画像認識

Evernote

 9位は「サーバー側の画像認識」が増えるという予想だ。今では米国の多くの写真共有サービスで、自動/手動の違いはあるが、写真に写っている人物をタグ付けする機能が当たり前になりつつある。

 サーバー側文字認識といえば、iPhoneユーザーに人気があるなんでも記録アプリ、Evernoteが注目株だ(週アスPLUSのインタビュー記事)。ビックリしたことに、同サービスは2009年末になって、突然、予定よりも半年ほど早く日本語の文字認識に対応した(ただし、まだ認識精度は低い)。

 ちなみに、iPhoneやAndroidでは「サーバー側音声認識」も広がっている。iPhoneアプリの「音声認識メール」や「Googleモバイル」がその代表格だ。


8位:強まるテレビとネットの連携

ツイテレ

ツイテレ

 8位の「テレビとネットの連携」という予想は、年末近くになってから現実になり始めた。

 Twitterとテレビの相性が見直されて、「ツイテレ」や「ピーチク」といったサービスがいくつか始まっている。またドラマ「JIN-仁」のハッシュタグ「#jin」などは放送時非常に大きな盛り上がりを見せていたようだ。

 最近では個人的にもTwitterで面白いテレビ番組の存在を知って見るというパターンが増えてきている。2010年は、Twitterとテレビの連携がますます強まるだろう。


7位:盛り上がったソーシャルメディア・マーケティング

サンシャイン牧場

mixiアプリでは画像の「サンシャイン牧場」などが人気を集めている

 7位は「ソーシャルメディア・マーケティング」についての予想だった。

 2009年はTwitterが爆発的に普及した年ということで、Twitter関連のマーケティングが話題を呼んだ。モーターショーの際には日産自動車(@NISSAN_TMS)が注目を集めたし、ソフトバンク(@softbank)は秋冬モデルの発表会にてTwitterでスタートしたばかりのリスト機能を活用していた。

 Twitter以外では日本でもmixiアプリがスタートして、数年前のfacebookアプリに似た盛り上がりを見せている(関連記事)。


6位 Netbookの躍進 このままでいいの?

Netbook

海外/国内メーカーを問わず、今年も数多くのNetbookが発売された

 6位は「Netbook」が広がるという予想だ。Netbookの広がりはパソコン業界(特にメーカー)にとって本当にいいことなのかという疑問をぶつけて、さらにアップルはiPhoneがあるからNetbookを出さないだろうと書いた。

 Windows 7の発売後に少し状況は変わったものの、Netbook以外のパソコンが売れにくい市場ができあがっている。米国では春頃、1000ドル以上のパソコンで、アップル製品のシェアが90%を超えるという異常事態も発生した(米CNETの記事)。

 パソコン市場のデフレ化を一気に加速させたNetbookだが、イー・モバイルにKDDIを上回るユーザー獲得数を与えたこと以外、パソコン文化に大きな変化をもたらした印象はない。

 今後、価格優先のコモディティー化が進むと、世界で商品を売っている海外(特に韓国、台湾系)メーカーが有利な状態になるかもしれない。Windows 7の発売で、一時的に高性能パソコンに目が向いた印象もあるが、まだその勢いは弱い。

 安価+小型の行き着く先にはiPhoneやAndroidといった進化型ケータイも待ち受けており、Netbookは老い先の短い戦略。パソコンという文化を復興させたいと考えるメーカーの方々は、2009年におけるアップルの戦略から多くを学べると思うので、ぜひ研究してほしい。

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