後発アプリならではの厳しさもあり
――笠谷さんは大ヒットしたiPhoneアプリの後に、なぜこんな儲かりそうもないことをやりましたか?
山崎 あっ、またそんな儲からないとか言う。
――じゃあ今度のは儲かってるんですね!
山崎 ……いや。
――あ、やっぱり……。
山崎 あ、ちょっと面白いものお見せしましょうか。AppStoreの売上グラフが見られるんですけど。
――おーっ、これはすごい。読者の皆さんには数字は言えませんけど、全然売れてないわけでもないじゃないですか。今回はアプリ内課金システムを使って、アドオンでプリセット音を売ってますけど、あれは何が売れてますか?
山崎 ジャズ系ですね。どうしてかって言うと、たぶんデモのフレーズがかっこいいから。ただ、どっちにしてもアメリカで全然売れてないんですよね。
――なぜなんですかね。ハモンドってアメリカのものだし、こんなに良く出来ているのに。
笠谷 同種のアプリがある程度出ている状況では、後発は埋もれてしまいがちなんですよ。たとえばPocket Guitarは勝手アプリ時代からやっていたので、その点では有利だったんですね。
――せっかく面白いんだから、少しは儲かってもらわないとね。さて、じゃあ次はどうしますか?
笠谷 やっぱりMini Moogですか? 僕はAndroid向けにも何かやってみたいかなあと思いますね。
――Appleがタブレット端末を出すという噂があるじゃないですか。大画面向けにモジュラーシンセを作って欲しいなあ。VCOばっかり10個買えるとか。ステップシーケンサをチェーン接続して無限にステップ数を増やせるとか。
山崎 全部パッチ配線にして、ケースだけ無料で頒布とかね。面白そうですねそれ。
――はい。そういうマニアックで楽しいヤツをまたお願いします。
著者紹介――四本淑三
1963年生まれ。高校時代にロッキング・オンで音楽ライターとしてデビューするも、音楽業界に疑問を感じてすぐ引退。現在はインターネット時代ならではの音楽シーンのあり方に興味を持ち、ガジェット音楽やボーカロイドシーンをフォローするフリーライター。