WiMAXがラスベガスでも使えて
「日本並み」の通信環境が実現
しかし、こと今回のラスベガスだけに関していえば、せっかく用意していった3Gすらかすむ、便利なサービスが存在した。それが「WiMAX」だ。だから「本当の勝ち組はWiMAXが使える人」というのが、現地での合い言葉? だったのである。
私は日本ではUQ WiMAXを日々利用しており、「移動用メイン機」であるVAIO Xも、WiMAX内蔵モデルである。実はラスベガスでは、アメリカでもサービスされているWiMAXが使えるのだ。現地の通信事業者であるClearwire社が、ラスベガスもカバーエリアに入ったサービスをスタートしているためだ。WiMAXはワールドワイドで同じ規格を使っているので、当然日本の機器(VAIO XのWiMAX通信モジュールはインテル製)でも、そのまま接続できる。
これがとにかく速い。測定時の実効速度は2Mbpsを切る程度なのだが、それを超える安定度を感じる。「まるで日本にいるようだ」と言っても、言い過ぎだとは思わない。しかも、ホテルや展示会場などでもほぼつながる。元々は「3Gメイン、無線LANサブ」くらいのつもりでいたのだけれど、結局気がついてみると「WiMAXメイン、3Gサブ」に落ち着いていた。このあたりの感覚は、日本だけでWiMAXを使っていては感じられないものだ。こうなってくると、WiMAXや3Gに対応したモバイルルーターを「出張装備」に入れ、通信環境整備に利用する日も、そう遠くなさそうに思える。
しかもClearwireは、現在30日無料キャンペーンを実施中で、メールアドレスなどを登録するだけで無料で通信が利用できる。本来は1日プランで10ドル、30日プランで40ドルなので、そちらを利用することになるはずだ。なお、ClearwireはUQ WiMAXとローミングサービスを開始予定であり、それが始まると、より契約の手間は小さくなると予想される。
Clearwireはまだまだ利用可能エリアが狭いため、全米でしっかり使えるわけではない。筆者がよく出張する地域でいえば、ロサンゼルスやサンフランシスコが圏外なのは厳しい。次回の出張までにサポートしてくれるとうれしいのだが、そこまで期待するのは難しいかも知れない。また、アメリカの田舎の「僻地度」は日本の比ではなく、そういうところでは3Gですら厳しいかも知れない。
だが、アメリカでも「出張者でもモバイル通信を生かせる」環境がどんどん整いつつあるのは、間違いないことのようである。
筆者紹介─西田 宗千佳
1971年福井県生まれ。フリージャーナリスト。得意ジャンルは、パソコン・デジタルAV・家電、そしてネットワーク関連など「電気かデータが流れるもの全般」。主に取材記事と個人向け解説記事を担当。朝日新聞、読売新聞、アエラ、週刊東洋経済、月刊宝島、PCfan、YOMIURI PC、AVWatch、マイコミジャーナルなどに寄稿するほか、テレビ番組・雑誌などの監修も手がける。近著に、「美学vs.実利『チーム久夛良木』対任天堂の総力戦15年史」(講談社)、「クラウド・コンピューティング ウェブ2.0の先にくるもの」「クラウド・コンピューティング仕事術」(朝日新聞出版)。
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