ノートPC向けCPUも
このほかノートPC向けの「Arrandale」(アランデール)も同時に発表されている。基本的には、Clarkdaleの仕様に準拠し、Core i7-600、Core i5-500、Core i5-400、Core i3-300と細かいラインアップが投入されている。各CPUには末尾に「M」「LM」「UM」が付記されているが、これはTDPを表している。MはTDP 35W、LMは25W、UMなら18WのCPUとなる。
Core i7-600シリーズの特徴はL3キャッシュ容量が4MBであることだ。そしてCore i5-500/400シリーズの特徴はL3キャッシュ容量が3MBになっている点以外はCore i7-600シリーズと基本的に同じ、Core i3-300シリーズはTurbo Boostに対応しない廉価モデルとなる。いずれもClarkdaleと同様にGPUをCPUパッケージ上に統合しているが、Clarkdaleとは異なりGPUクロックが可変する「Intel HD Graphics with dynamic frequency」に対応している。これはIntel Turbo Boost Technology同様に、TDPの余力の範囲内で負荷に応じて動作クロックを引き上げるものだ。動作クロックはモデルにより異なるが、TDP 35Wの「M」モデルでは500MHzから最大766MHzまで引き上げられる。
一方、「UM」モデルでは通常166MHzとかなり低いクロックで動作する。このため「UM」モデルは、プレミアムなモバイルノートPC、あるいはサブノートPCへの搭載を念頭に置いた仕様と考えられるが、ネットブック全盛の現在においてCore iシリーズを搭載する意義を見出せるのかが焦点となりそうだ。
発表されたノートPC向けのラインナップは下記のとおり。
ノートPC向けCPUスペック表 | |||||||||
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
Core i7 | Core i5 | ||||||||
620M | 640LM | 620LM | 640UM | 620UM | 540M | 520M | 520UM | ||
開発コード | Arrandale | ||||||||
プロセスルール | 32nm | ||||||||
コア数 | 2nm | ||||||||
Hyper-Threading | ○ | ||||||||
論理CPU数 | 4 | ||||||||
CPUクロック | 2.66GHz | 2.13GHz | 2GHz | 1.2GHz | 1.06GHz | 2.53GHz | 2.4GHz | 1.06GHz | |
Turbo Boost時 | 3.33GHz | 2.93GHz | 2.8GHz | 2.26GHz | 2.13GHz | 3.06GHz | 2.93GHz | 1.86GHz | |
L2キャッシュ | 256KB×2 | ||||||||
L3キャッシュ | 4MB | 3MB | |||||||
GPU内蔵 | ○ | ||||||||
GPUクロック | 500MHz | 266MHz | 266MHz | 166MHz | 166MHz | 500MHz | 500MHz | 166MHz | |
GPU最高クロック | 766MHz | 566MHz | 566MHz | 500MHz | 500MHz | 766MHz | 766MHz | 500MHz | |
TDP | 35W | 25W | 25W | 18W | 18W | 35W | 35W | 18W |
Core i3 | |||
---|---|---|---|
430M | 350M | 330M | |
開発コード | Arrandale | ||
プロセスルール | 32nm | ||
コア数 | 2nm | ||
Hyper-Threading | ○ | ||
論理CPU数 | 4 | ||
CPUクロック | 2.26GHz | 2.26GHz | 2.13GHz |
Turbo Boost時 | - | - | - |
L2キャッシュ | 256KB×2 | ||
L3キャッシュ | 3MB | ||
GPU内蔵 | ○ | ||
GPUクロック | 500MHz | 500MHz | 500MHz |
GPU最高クロック | 766MHz | 667MHz | 667MHz |
TDP | 35W | 35W | 35W |
Clarkdaleのパフォーマンスをチェック
今回、Clarkdaleのテストに用意したのは、発表された中で最もグラフィックスパワーの高いCore i5-661だ。そしてCPU比較にはCore i5-750を、GPU比較にはGeForce 210および、Intel G45 Expressを搭載するマザーボードを用意した。
Intel Turbo Boost Technologyはすべて有効とし、そのほかのBIOS設定はすべてマザーボードのデフォルトとしている。
テスト環境 | |
---|---|
CPU | Core i5-661(3.33GHz) Core i5-750(2.66GHz) Core 2 Duo E8600(3.33GHz) |
マザーボード | Intel「DH55TC」(チップセット Intel H55 Express) ASUSTeK「P5Q-EM」(チップセット Intel G45 Express) |
メモリー | PC3-10600 2GB×2 PC2-8500 2GB×2 |
ビデオカード | GeForce 210 DDR3 512MB |
電源 | ENERMAX「ECO80+ 600W」 |
OS | Windows 7 Ultimate(32bit版) |
PCMark Vantage
では、早速、PCMark Vantageのスコアからチェックしていこう。
総合スコアでは、i5-661の内蔵GPUが最も高いスコアを記録した。普通に考えれば、i5-750+GeForce 210が優勢になりそうだが、その原因は「Communication」のスコアがi5-661では異常とも思えるくらい高い点だ。恐らくはこれは、CPUとGPU間のボトルネックが最小限に抑えられているということ、そして高いCPUクロックに起因していると思われる。
3DMark Vantage
続いて3DMark VantageのPerformanceスコアから見ていこう。なおGeForce 210使用時はPPUを有効にしているため、GeForce 210搭載時が有利というハンデはあるものの、実際のスコアは思ったより差が広がらなかった。E8600+G45と比較して、i5-661のスコアは倍増しているが、それでも500程度のスコアでは、DirectX 10対応ゲームがバリバリ動くとは、言いがたいものがある。
(次ページへ続く)
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