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古田雄介の“顔の見えるインターネット” ― 第63回

なぜ秒刊SUNDAYはわざと炎上する方向に進むのか?

2010年01月11日 12時00分更新

文● 古田雄介

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批判も炎上も上等。「むしろどんどんかかってこいや」

―― その荒れ具合が秒刊SUNDAYらしいんですよね。コメント欄をみると、批判コメントと普通に記事を楽しんでいる人が混在しているという。

湯川 実はコメント欄のほうが面白いんじゃないかという意見もあるくらいですからね。あまりに批判コメントが多いと「もう閉じればいいじゃん」と言ってくる人もいますが、色々なヒントが隠されていることも多いんですよ。たとえば、「ガンジス川の水でカップラーメンを食ってみた」というネタをやったのも、コメント欄の書き込みが元ですし。転職の合間にインドで実行しましたけど、意外とお腹は大丈夫でしたね(笑)。批判や誹謗中傷も別に気にならないですし。

2008年11月にアップした「ガンジス川の水でカップラーメンを食ってみた」。湯川氏は「最初に、コメント欄で『やれよ』と書かれたときは、そりゃねえだろと思ったんですけど、段々とやるしかねえなという気分になってきたんです」と、当時を振り返る http://www.yukawanet.com/archives/826948.html

―― サイトの空気感に不満や不安を持っていないという感じは伝わってきます。やっぱり炎上上等、批判上等の姿勢というか。先日の閉鎖騒動も含めて、けっこう意図的に炎上させていますよね?

湯川 それが本日のメインテーマですね(笑)。

 やっぱり、何かをレビューするにしても、当たり前に書いたところで皆同じになるだけだと思うんですよ。閉鎖騒動のもとになった絶妙バーガーにしても、食べたらだいたい皆「おいしい」というと思う。だけど、「おいしい」の範囲にも幅があって、お金を払ってまで食べたい「おいしい」なのか否かというのはあります。それで僕の感想は「まずくはないけど、420円払うならモスバーガーでいいじゃんか」だったんですよ。そこで無理にきれいにまとめずに、本音を書いて返金も求めて、420円返ってきてというのを書くのがウチのサイトのテイストです。それで、色々なサイトにリンクされて、叩かれるという。

―― ネットの反応はある程度予想していて、そこからさらに炎上させる準備もしていたのは興味深かったです。

湯川 一度炎上させておいてそれをどう使うかという、究極の仕掛けですね。単発で炎上しても、そのまま鎮火して終わるだけなんですよ。そこで「じゃあ、この炎上の盛り上がりを、はてなブックマークの数に充ててみよう」と思いついて、「皆さんの意思表示として、絶妙バーガーの記事のはてなブックマークが500件を超えたら閉鎖します」と宣言したわけです。そうしたら本当に500件超えちゃって。これは本当にびっくりしましたね。

 じゃあ、500ブックマークしたユーザーを次にどう導くかと考えて、「自分の書いた本を売っちゃえ」となったわけです。そうしたら今度は一冊も売れなくて。もう、リアルだなと(笑)。

絶妙バーガー記事の炎上を受けて謝罪テイストでアップした、2009年12月10日更新の「秒刊SUNDAYの閉鎖問題について、条件付きで閉鎖します」。ここで、ブックマーク数を稼ぐ作戦を実行したさらに、12月13日には「閉鎖はしますが、更新は続けます」とまさかの斜め上理論を展開。更新の停止も希望するなら、自分の本を500冊買うように条件をつけ、方々のサイトから「閉鎖詐欺」といわれる

―― 一人もいないというのがリアルですね(笑)。とにかく、あり得ない論理展開で炎上を連鎖されたわけですが、その一方で、アフィリエイト収入の確定申告漏れが問題になったときはすぐに対応して問題を解消するなど、本当にダメージが及ぶところではまともな対応をしている。だから客観的に見ていて、ある種の危なっかしさがないんですよ。それが興味深いんです。

湯川 申告漏れの時点で危なっかしいですけどね(笑)。

 まあ、ネットで炎上しても別にどうってことないですし。一番怖いのはリアルな生活に影響が出ることと、逮捕されること。それさえなければ、むしろ「どんどんかかってこいや」というノリですね。炎上が元でリアルな生活に膨大なダメージを受ける人は、その辺の線引きが確かにできていない。

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