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2010 International CESレポート Vol.1

目玉はSlate PCだけ? マイクロソフトのCES基調講演

2010年01月08日 22時03分更新

文● 塩田紳二

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Mediaroom 2.0

Silverlightで作成された「Mediaroom 2.0」の例

Silverlightで作成された「Mediaroom 2.0」の例。ビデオオンデマンドサービスをイメージしたもの

 日本国内では、ほとんど存在感はないのだが、マイクロソフトはIPTV技術を使った番組配信のための、「Mediaroom」というソフトを開発している。今回は、そのVer.2.0「Mediaroom 2.0」が発表された。これまでMediaroomを利用できたのは、セットトップボックスやXbox 360だけだったが、Mediaroom 2.0からは、PC(Windows 7のMedia Center経由)や、それ以外のプラットフォーム(ウェブブラウザーとSilverlight経由)、スマートフォンなどが対象となった。

 マイクロソフトは、「PC」「テレビ」「携帯電話」を「3スクリーン」(3つの画面)と呼び、これらを区別せず、どのスクリーンでも同じコンテンツ、同等の機能をサポートするというコンセプトを掲げている。講演での発表では、韓国起亜自動車(KIA Motors)との提携で自動車に搭載されたスクリーンが加わったり、音楽プレーヤー「Zune HD」なども仲間に入り、「Screens Everywhere」(どこのスクリーンでも)という言い方に変わっていた。

 Mediaroomのアップデートも、このコンセプトに沿ってのことだと考えられる。そのために、PCにはグラフィックスサブシステムの「WPF」(Windows Presentation Foundation)を、それ以外には、WPFのサブセット的な機能を持つSilverlightを用意している。

KIA Motorsの社債エンターテイメントシステム「Kia UVO」

KIA Motorsの車載エンターテイメントシステム「Kia UVO」。「Windows Embedded Auto」をベースにしている

 自動車のスクリーンについては、自動車向けのプラットフォームを提供し、アプリケーションを共有できるようにするとのこと。地味ではあるが、「Screens Everywhere」戦略は地道に進められているようだ。


Xbox 360

 講演後半に登場したのは、Xboxなどの部門を担当するロビー・バック(Robert J. Bach)氏。彼の話も既存の情報を整理したもので、Xbox 360のビッグタイトル「Halo:Reach」や、昔のアーケードゲームをプレイできるXbox Liveの「Xbox Game Room」サービスの話などが中心だった。

 その中でも、ゲーム開発者向け国際会議「GDC」などで何度か公開してきた、「Natural User Interface」(NUI)の話題が大きなトピックと言えよう。開発に関わったマイクロソフトリサーチのアンドリュー・ブレイク(Andrew Blake)博士などが登場するビデオで、NUIの開発プロジェクト「Project Natal」が紹介された。

Project Natalのデモ

2009年6月に公開された、Project Natalのデモ

 Project Natalとは、奥行き方向のセンサーを内蔵したカメラを使って人の動きを検出し、これをもとにソフトを制御するプロジェクトだ。簡単に言えば、手足を動かすことでゲームを操作できるようになるのだが、コントローラーを持ったり、マーカーを手足につける必要がない。単純なカメラによる画像認識では、奥行き方向の動き検出が難しいため、物体の奥行きを検出する機能を併用する。すでにGDCで披露されたもので、最初にProject Natalの成果であるNUIが搭載されるのは、Xbox 360ということになっている。

 NUIに関する新しい情報は、未公表だった発売時期について、「2010年のホリデーシーズン(クリスマス商戦)期に、NUIを採用した製品が登場する」と発表された程度だった。おそらくは、専用のカメラインターフェースなどとゲームソフトを組み合わせた製品だと思われる。しかしNUIとは言うものの、やっているのはWiiのスポーツゲームみたいなものばかり。コントローラーが不要なので、ある意味「自然」だが、逆に用途が限られるような印象を受けた。

 余談だが、Xboxというとなんだか「アメコミ」みたいなイメージがあったのだが、バック氏のプレゼンテーションでは、任天堂の「トモダチコレクション」みたいな画像が頻繁に使われていた。カジュアルユーザーを増やしたいという意図が感じられるのだが、そのわりにパッケージソフトのほうは、「Halo」とか「Call of Duty」のようにコアゲームユーザー向けのゲームばかりが紹介される。いささかちぐはぐな印象を受けた。

Xbox Liveのアバター。なんだか、DSの「トモダチコレクション」を思い出すタッチの画像である。ワールドワイド向けだが、顔の感じが日本のアニメっぽく、東洋人ぽい印象を受ける

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