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山谷剛史の「中国IT小話」 ― 第62回

中国はコンテンツ産業で中国産に舵を切る

2010年01月12日 12時00分更新

文● 山谷剛史

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 去年の暮れ、中国メディアはこぞってひとつのニュースを取り上げた。「P2Pに政府のガサ入れ」――紙媒体、Web媒体問わず、IT系メディアはもちろん、経済誌までが紹介したことは、どれだけそうしたメディアの読者がP2Pに依存しているかがわかるというもの。

P2Pに政府のガサ入れのニュースは、IT誌「電脳報」などでトップで紹介された 経済誌「第一財経周刊」でも「晩安BT(おやすみBitTorrent)」と、このニュースを表紙に取り上げた
P2Pに政府のガサ入れのニュースは、IT誌「電脳報」などでトップで紹介された経済誌「第一財経周刊」でも「晩安BT(おやすみBitTorrent)」と、このニュースを表紙に取り上げた

 中国では大御所のP2Pサイト「BTChina」をはじめ、「人人影視」といったハリウッドなどアメリカのコンテンツに強いP2Pサイトや、「猪猪楽園」などの日本のコンテンツに強いP2Pサイトまで、多くのP2Pサイトが閉鎖されたり、BitTorrentによるダウンロードリンクを消させたり、別のジャンルのサイトにサイトそのものを変更させた。

 昔から、中国のネット利用者はP2Pを利用していた。そのためどのパソコンにも当たり前のようにP2Pソフトがインストールされていた。それは海賊版コンテンツやソフトのダウンロードが主たる目的としてあるだろうが、それだけではない。例えば違法性の無いファイルを、アングラ系でなくごく普通のポータルサイトが、zipではなくrarで圧縮して、BitTorrentによるダウンロードリンクを提供することがよくある。

 去年は年間を通して、中国政府の各担当省庁が動画配信サイトや動画共有サイトにガサ入れを行ない、よろしくない動画ファイルを粛正したり、サイト自身を閉鎖させたり、中国コンテンツの海賊版配信者を訴えたりして、健全なメディア作りに励んでいた。この目的として、中国国内のコンテンツホルダーの権利保護(実質日本をはじめとした諸外国のコンテンツは保護されていない)、ひいては中国コンテンツ産業の成長促進という意味合いももちろんあるのだが、それ以上に、中央政府批判が含まれたコンテンツを見せないようにするというところが大きい。

人気アニメ「喜羊羊与灰太狼」は映画化もされ、子供たちが殺到した 人気アニメ「喜羊羊与灰太狼」は映画化もされ、子供たちが殺到した

 去年、中国ではアニメ「喜羊羊与灰太狼(通称喜羊羊。発音はシーヤンヤン)」という、狼と羊のドタバタが繰り広げられる幼児向けアニメがコピーグッズが氾濫するほど広く認知された。ここまで認知される中国アニメは珍しく、大成功といえる。

三国演義
三国演義

 また日本のタカラトミーやフューチャー・プラネットと共同制作した「三国演義」もいいスタートをきった。中国人はアニメコンテンツについては日本のコンテンツに強く依存しているが、他のコンテンツでは中国国内のコンテンツが普通に見られ、聞かれている。

 例えばドラマは嫌韓の風潮が続く中韓流ドラマに以前ほどの人気はなく、映画についても今や映画館ではハリウッド映画よりも、中国映画のほうがずっと多く上映されている。中国人は、先進国諸国へのコンプレックスこそあれ、日本人よりもずっと外国に興味が無い。つまりそれでも日本アニメが人気なのは、日本アニメが面白いのはもちろんだが、同ジャンルの中国コンテンツがフォローしきれないほどつまらないともいえるわけだ。

タカラトミーオフィシャルの中文版三国演義グッズ紹介ページ タカラトミーオフィシャルの中文版三国演義グッズ紹介ページ

 アニメ「喜羊羊与灰太狼」は去年大成功を収めた。またタカラトミー「三国演義」は日本のノウハウを利用して成功した。いずれもコンテンツだけでなく、派生した正規版の玩具がデパートのおもちゃ売り場で「喜羊羊与灰太狼コーナー」「三国演義コーナー」といった具合にまとまって売られるようになった。

中国のデパートのおもちゃ売り場 中国のデパートのおもちゃ売り場

 日本では当たり前の玩具売り場なのだが、中国では同じ棚にキャラクターもブランドもバラバラで売られるのが一般的だ。また12月にはバンダイナムコホールディングスが上海に喜羊羊与灰太狼をテーマにした幼児向け遊戯施設を開設した。やはり世界観は中国のままに、キャラクタービジネスのノウハウは日本から輸入している。

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