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弥生のモノ作り神田通信 ― 第1回

一人のエンジニアがいかにして弥生の社長になったのか(その1)

ポケコンでカナ・ワープロを作る 私の源流はエンジニア

2010年01月20日 11時00分更新

文● 岡本浩一郎

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業務ソフトの弥生は、たいへん興味深い企業だ。プロフィット部門として機能するコールセンターや、顧客の要望だからといってハードディスクデータ復旧保険サービスまでやってしまう行動主義、そして“モノ作り”を標榜するテクノロジーカンパニーである点も、同社の特徴と言えるだろう。

本連載では、“モノ作り企業”弥生の岡本浩一郎社長に、エンジニア視点でITのトピックやテクノロジーのとらえ方を語っていただく。

ポケコンでカナ・ワープロを作る
私の源流はエンジニア

岡本氏
昨年末、弥生会計の発売日に店頭デモを行なう岡本氏

 皆さまはじめまして。弥生株式会社代表取締役社長の岡本浩一郎と申します。今回、この場をお借りして、弥生のモノ作りからIT業界のあり方まで、色々と書かせて頂くことになりました。

 今回は第1回ということで、そもそも私が何者なのかをお話させて頂きたいと思います。私は一昨年(2008年)の4月から、弥生株式会社の社長を務めさせて頂いています。その直前までは経営コンサルタント。もっとも、私の源流はエンジニアです。今ではコーディングからすっかり縁遠くなってしまいましたが、それでもやはり私の根底を流れているのはエンジニアとしての血だと思っています。

 私が初めて「コンピュータ」なるものに触れたのは、確か1982年、私が中学2年の時です。当時は「ポケット・コンピュータ」というジャンルがあり、私はシャープの「PC-1251」という機種を買ったのでした。ESR-Hというシャープ独自の8bit CPU、RAMは4.2KB(キロですよ、キロ)、ディスプレイは5×7ドットの24桁1行のみ(当然モノクロ)。価格は2万9800円。

 この前年に「PC-1500」という機種が5万9800円で販売されており、同級生がいち早く購入したのを見せてもらったのが直接のきっかけだったと思います。ただ、悲しいかな、私のお財布ではPC-1500に手が届かず、ほぼ半額のPC-1251に落ち着いたのです。

 当然価格差なりの機能差があり、それを埋めようとする思い(コンプレックス?)が私のエンジニア魂の出発点かもしれません。PC-1251の標準言語であるBASICではできることに限りがあったため、機械語(マシン語)に手を染めました。ただ、いわゆるアセンブラがないため、紙に自分でコードを書いて、それを対応表を見ながら自分で16進数に変換、そしてそれをPOKE文で直接メモリに書き込む必要がありました。

 PC-1251時代のハイライトはカナ・ワープロを作ったことでしょうか。PC-1500はカナを扱えたのですが、PC-1251は英数字のみ。そこで、自分で5×7ドットでカナのフォントを作り、ローマ字カナ変換のプログラムを作りました。PC-1251にはオプションでロール紙状の感熱紙に印刷できるプリンターがあり、このプリンターで印刷するわけです。ただしロール紙は幅10cmもありませんでしたから、実用性はゼロ。つまり全くの自己満足でした。

 この頃の機械は今から見るとオモチャのようなものですが、内部構造も含め情報が豊富に開示されており、自分で機械の限界を探求することができました。このPC-1251は、ずっと肌身離さず持ち歩いていたのですが、四国に旅行した際(当然青春18きっぷ)に軽く水没してしまい、それでメモリが2.2KBに減少(チップが1つダメになったらしい)。それでも大事な愛機でした。

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