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【特別企画】

DivX 7に迫る! 高精細フルHD+字幕+多重音声対応

2009年12月22日 16時00分更新

文● 藤山哲人、ASCII.jp編集部

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新しく追加されたプロファイルDivX Plus HD

 DivX 7で追加された「DivX Plus HD」は、これまでのDIVX拡張子ではなく、MKV拡張子のファイルが出力される。ここまで読んだ方はお分かりの通りコンテナが異なっているのだ。

「DivX Plus HD」プロファイルを使ったエンコードでは、MKVコンテナを使ったファイルが出力される。

 MKVファイルには、映像や音声、複数の副音声、字幕データやチャプター情報なども積み込めるのが特徴だ。欧米では映像+音声というシンプルなデータでもMKVコンテナが使われるようになっている。

 DivX 7で「DivX Plus HD」プロファイルとしてMKVを採用したのは「MKVの高い機能性と利用が急拡大している点を踏まえた」ためだという。欧米では、MKVコンテナに、H.264でエンコードした映像とMPEG-2/4 AAC音声を乗せたムービファイルが多々ある。国際規格のH.264を利用した映像は、今後ますます利用されることが予測されており、AACもデジタル放送やSD-Audio、PAL方式のDVDをはじめ、PSPやiPodなどという身近な携帯端末で数多く利用され、デファクトスタンダード化しつつある。

 さらにMKVコンテナには字幕データやチャプター情報なども埋め込めるとあって、時代を先取りする形でDivX 7に「DivX Plus HD」プロファイルとして搭載されている。DivX Plus HDでは、従来のAVIコンテナやDivX(MPEG-4 ASP)コーデックは使用しない。

 DivX Converterの初期設定で変換すると、従来のDivXコーデックを使った「HD1080p」プロファイルを利用した場合と同等のハイビジョン画質だが、ファイルサイズはかなり小さくなる。

HD1080pプロファイルの映像

DivX Plus HDプロファイルの映像

 本来はチャプター情報や字幕データをMKVコンテナに乗せることが可能だが、エンコードする際にはさまざまなデータを複雑に指定する必要があるので、DivX 7 Converterには独自の副音声や字幕を乗せるという機能は含まれていない。DivX 7コーデックとして他のアプリケーションから利用できないのも、その辺りの事情を考えてのことなのかもしれない。

Matroskaのウェブページから「Download」を選ぶと、MKVコンテナをはじめとしたさまざまなツールをダウンロードできる。

 どうしても独自の字幕をつけてみたいというチャレンジャーは、DivXから無償で提供されているコマンドラインツールを使用するか、オープンソース系のツールを活用するといいだろう。MKVの本家であるMatroskaのページから有用なツールを持ってくる手もある。

H.264とMPEG-4 AVC、MPEG-4とMP4

 MPEG-4は規格そのものが曖昧で応用範囲も広いため、派生型がかなりあって複雑怪奇になっている。MPEG-2の場合は「放送用のデータ方式」という明確な目的があったが、MPEG-4は規格というより「未来のデジタル映像の志(こころざし)」というような意味合いが強く、対応機器も携帯電話~ハイエンドコンピュータと幅広い。映像や音声だけにとどまらず、CGやフォント圧縮、ネットワーク上での伝送方法まで各種ある。一概にMPEG-4と言っても、MP4コンテナなのか? コーデックのことなのか? もっと広義の意味なのか分からない状態だ。

 しかもこれらの技術開発は、23の作業部会にまたがって同時に研究・開発しているため、中には似たようなものもあってさらに混乱を招いている。とはいえ、さまざまなアプリケーションソフトなどに実装されユーザにも近い、タイトルの用語に集約されつつある。

 まずコーデックとしてのMPEG-4を見てみると、MPEG-4 AVCの採用が増えている。MPEG-4はISO(国際標準化機構)とIEC(国際電気標準会議)が旗を振っているが、ここにITU-T(国際電気通信連合電気通信標準化部門)が加わってH.264という名前で勧告された。つまりMPEG-4 AVC=H.264というワケ。コンテナにはMP4を利用している。また市場の混乱を収めるためにコーデックの名前として「H.264/MPEG-4 AVC」などと併記される場合がある。

ITUのH.264に関する勧告。興味があれば英文ドキュメントを読んでみるといい。

ISO/IEC 14496-10の勧告。正式名称はCoding of audio-visual objects -- Part 10: Advanced Video Coding。通称MPEG-4 AVCだ。

 それ以前にもQuickTimeがMPEG-4を採用したとして話題になったが、こちらは別の作業部会が策定したISOのMPEG-4で、QuickTimeがこれに乗っかる?形で市場にリリースされた。つまりコンテナがQuickTimeだったというわけだ。とはいえQuickTime7ではH.264もサポートしたため一応PC業界での混乱は収まった感じだ。

ISO/IEC 14496-12の勧告。正式名称Information technology -- Coding of audio-visual objects -- Part 12: ISO base media file format。通称ISO MPEG-4。もっと言うとQuickTime6。

 MPEG-4の圧縮アルゴリズムがほぼ確定したのに、コーデックという形になるまでには、かなりの時間を要した。これに痺れを切らしたPC業界は、MPEG-4の圧縮方法を利用したコーデックを、なかばフライングの状態で開発しはじめ、世にリリースする。それらがDivXでありMicrosoft MPEG-4 Ver.1や2、Windows Media Videoなどだ。各社で色々特色は出しているものの、基本的な圧縮アルゴリズムはMPEG-4を使っている。これらによって、MPEG-4の技術的な進化が加速したという利点もあったが、市場が混乱するという一面も過去には起きたのだ。

 いまだMPEG-4関連で混乱しているのは、携帯電話のムービーの3GPPと3GPP2だ。こちらはH.263とH.264が混在、音声もAMRやMPEG-4 AACが混在しており、QuickTimeで使われたISOベースのMPEG-4になっている他、端末の多さとキャリア間の違いで、データのやり取りが非常に面倒になっている。

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