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ロードマップでわかる!当世プロセッサー事情 第30回

Intelチップセットの歴史 その4

Pentium 4~Core 2時代を支えたi915~965チップセット

2009年12月07日 12時00分更新

文● 大原雄介(http://www.yusuke-ohara.com/)

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DMI

 最後がHubLinkからDMIへの変更である。HubLinkの266MB/秒という帯域は、Gigabit Ethernetコントローラーを接続するだけで飽和してしまう。Intel 865世代では専用のCSAポートを(G)MHCに追加するなんて形でこの問題を回避した。しかし、ほかにもUltra ATAからシリアルATA(SATA)への転換やUSBポートの増加などもあり、どのみち帯域が飽和するのは時間の問題であった。

 そこで915世代から、PCI Express x4の信号をベースに、独自のDMI(Direct Media Interconnect)と呼ばれる規格に切り替えた。DMIの帯域は上り下り各1GB/秒あり、双方向の転送が生じる(例えばHDDからの読み込みと書き出し)ことを考えれば、実質2GB/秒相当と見なせる。HubLinkに比べて、約7.5倍の高速化が実現されたことになる。

 こうした変化を受けて、Intel 915ファミリーの構造は図1の様になった。(G)MCHにはPCI Express x16ポートとメモリーコントローラーのみが入る形に戻り、雑多なI/OはすべてICHに戻った。GbEはPCI Express x1ポートに接続される。またSATAポートが4つに増やされた代わり、UltraATAは1ポートになる。

Intel 915の構造

図1 Intel 915の構造

Intel 965の構造

図2 Intel 965の構造

 もっとも、この2世代後のIntel 965ファミリーでは、図2の様にUltra ATAはなくなり、代わりにSATAポートが6ポートになり、USBポートが10に増えるなど、インターフェースの置き換えが進んでいる。

 ちなみにIntel 915の頃は、PCI-ISAブリッジ経由でISAバスを持つマザーボードがわずかかながら存在した。しかし965の時代では、さすがにもう完全になくなっている。その一方で、HDDはともかく光学ドライブ系がまだSATAに移行していないことを受け、JMicronやMarvellなどのPCI ExpressにつながるeSATA/PATAコントローラーを搭載して、PATAポートを設けるマザーボード製品が多数登場している。


内蔵GPUはDirectX 9対応に
ただし、一部機能はCPU任せ

915世代のロードマップ

Intel 915世代のロードマップ

 それでは、ロードマップの説明に移りたい。まず2004年6月、「Intel 915P/915G/915GV」と「Intel 925X」の4製品がリリースされる。メインストリーム向けが915Pと915Gで、両者の違いは内蔵GPU「GMA900」の搭載にある。

 GMA900は、従来のIntel Extreme GraphicsにDirectXのPixel Shader 2.0相当の機能を入れ、動作周波数を333MHzまで引き上げたものだ。しかし、Vertex ShaderやHardware T&Lは全部CPUで実現しており、言うなれば「なんちゃってDirectX 9」対応であった。メモリーは前述の通りDDR333/400とDDR2-400/533の両対応を2チャンネル分持つ。ICHには新しい「ICH6」を使用する(後述)。

 この915Pのエンスージャスト向けが925Xで、DDRのサポートを削って2プロセッサー対応を追加したほか、Intel 875PのPATに似た(ただし異なる)メモリー最適化技法を搭載した。逆に、バリュー向けにIntel 915GからPCI Express x16レーンを削ったのが、Intel 915GVである。

Intel 915G搭載マザーボードの例

Intel 915G搭載マザーボードの例。DDR SDRAM用とDDR2 SDRAM用の2種類のメモリースロットを備えていた

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