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四本淑三の「ミュージック・ギークス!」 第9回

「余裕はないです」ニコ動・bakerさんが音楽に求めるもの

2009年12月05日 12時00分更新

文● 聞き手:広田稔、盛田諒/ASCII.jp編集部 構成:四本淑三

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だから僕らはおっぱいの話をする

―― 古川さんのアートワークはどんな形でできたんですか?

baker 彼に渡す時点で、曲が全然できていなかったんです。今ある曲ではこういう曲を入れますとか、こんな曲を作りますとか。一番あのアルバムを表しているのが「カナリア」という曲なんですが、その曲がどういう曲なのかを図解したんですよ。絵を描いて文を添えて、自分が一番やりたくない説明を全部したんです。

曲のイメージをアートワークに落としこんでもらうため、普段はやりたくない「説明」をしたのだという

―― 返ってきたのを見てどうでした?

baker ああ、恥ずかしい思いをして良かったと思いました。

―― こういうインタビューも説明するハメになるのが嫌で?

baker それこそおっぱいの話とかの方が……。

KNOTS 僕もそういう方ですね。伝わっても伝わらなくても。主導権は聴き手の方に渡ると思ってます。でも、どうなんでしょうね。自分のイメージが伝わらなければダメだという意見もあるし。

baker そこは自分が精進していくしかないよね。



▲bakerさんの曲に、古川PさんがPVをつけた「カナリア」。両者のファンから人気で「古川ベーカリー」とタグが付けられている

―― その辺、難しいですよね、音楽は。

KNOTS そうなんです。だから僕たちはタイムラインでおっぱいの話をするんです。

baker 言葉にすると負けた気分になるんですよ。

―― なにか修行僧のようですね。もっと高みに持っていこうと。それはまだフリーザさんの弱い状態みたいな……すみません分かりにくいたとえで。

フリーザ : 漫画「ドラゴンボール」に登場するキャラクター。4つの形態があり、変身することで戦闘力を増していく。

baker 「私はあと2回変身を残している」とか、そういう余裕はないです。変身できたらいいなとか、そのために頑張らなきゃとか、どっちかというと悟空ですね。自分のカメハメ波を自分に当ててとかですね。死にそうになったら仙豆を食ってですね。

仙豆 : 同じくドラゴンボールに登場する、栄養価が高く回復作用を持った豆。

KNOTS しかも他人の仙豆をね。

baker でも現実には仙豆なんかないですからね。僕は回復したら強くなるサイヤ人でもないし。

―― しかも傷は残るし。では最後に、アルバムを聴いているファンの皆さんに一言お願いします。

baker アルバム全体を通して、なにか感じてもらえれば嬉しいです。古川さんがものすごくいい仕事をしてくれたので。ジャケットもそうだし、ブックレット、ディスクのデザインも含めてひとつの作品だと思っているので。

―― わかりました。ではbakerさん、KNOTSさん、長時間ありがとうございました。

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著者紹介――四本淑三

 1963年生まれ。高校時代にロッキング・オンで音楽ライターとしてデビューするも、音楽業界に疑問を感じてすぐ引退。現在はインターネット時代ならではの音楽シーンのあり方に興味を持ち、ガジェット音楽やボーカロイドシーンをフォローするフリーライター。

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