日本以上に海外では3Dコンテンツが増加している
3D効果の利用方法にも変化が
Q 3D対応のコンテンツは本当に提供されるのでしょうか?
A ハリウッドでは今年だけでも、20本近くの3D映画が作成されています。日本ではまだそれほどでもないですが、アメリカでは映画館で結構普通に3D映像が楽しまれるようになっています。これを家庭でもという流れが一番大きいですね。
Blu-rayディスクの標準化を行なっているBDA(ブルーレイディスクアソシエーション)でも、現在BDディスクにどのような形で3D映像を収録するか話し合われている最中で、年内の規格策定を目指しています。コンテンツ自体は当然コンテンツメーカーさんからの提供になりますが、標準化という点も含めて準備は進んでいます。
ソニーとしてはグループ会社にゲーム事業(プレイステーション3)がありますので、ゲームの3D化も検討しています。またネットワーク経由での3Dコンテンツ配信をどのような形でできるかといったことを検討していますし、放送事業者さんも3D映像にはかなり興味を持たれています。
Q 3D映像はどうやって撮影するものなのですか?
A 基本的には右目、左目用のカメラ2台で撮影します。ソニーには業務用ビデオカメラのビジネスもありますが、今年のCEATEC JAPANでは1つのレンズに2つの撮像素子を使った3D撮影のデモを行なっています。2台のカメラを使う場合、ズームを含めて撮影に関わる要素を2台で揃えないといけないので結構大変なようです。
Q 3D映像と言うと過去の方式では疲労感を覚えた人も少なくないと思います。この点はどうなのでしょう?
A 以前の3D映像というと、意図的に立体感を強調したもの、特に手前に飛び出して見えることを強調していたものが多かったと思います。現在作られている3D映像はどちらかと言えば奥行き感を重要視して、自然な立体感を得られるように収録されているものが多くなっています。実写の場合ですと、撮影段階からそういった意図を持って撮影されている傾向があります。コンテンツベースでも過去の3D映像とは異なるわけです。
3D映像はいずれも圧巻 ゲームは特に可能性大!
ぜひとも一度体験してほしい
インタビューの後、実際に3D映像を視聴させていただいた。映像はサッカー中継、環境映像、ゲーム画面(CG)が用意されていたが、自然な奥行きを感じる場合が多かった。それでも海中映像でサメが迫ってくる映像は圧巻で、意図的に画面より前に見えるように作成されているとはいえ思わず身を引いてしまうほど。子供が見たら泣いてしまいそうな迫力だった。
アニメーションでは16:9より横長のコンテンツで、本来黒帯となる部分にキャラクターが飛び出すといった、家庭用テレビで見ることを想定したおもしろいアプローチの映像もあった。3D映像の一般化で、まったく新しい演出手法が登場する可能性は高い。
また同行した担当編集者が特に興味を持っていたのは、レースゲームとシューティングゲーム(FPS)のデモ映像。「これまでの3Dゲームはあくまで2D上に描かれた3Dだったんだ」と感心をしていた。コンテンツ制作での親和性という部分でも、ゲームが3Dテレビを強力にけん引するコンテンツになるのは間違いない。実際11月に行なわれたソニーの経営方針説明会でも、既存モデルを含めたPS3での3D対応が表明されている。
左右の目に交互の映像を表示するという仕組み上、チラツキが気になるのではと思ったが、この点でも違和感はなく、チラツキをほとんど感じなかった。過去の3D映像に対する思い込みは捨てる必要があるだろう。2010年の製品化に期待大である。
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