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PCの音をグレードアップ! バッファロー「BSSP10」

2009年12月02日 12時00分更新

文● 鳥居一豊

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高音域のさらなる増強のほか、低音域は増強帯域の調整も可能

操作ボタン類

操作ボタン類。左から「BBE」「PROCESS」「LO CONTOUR」「MACH 3」のオン/オフボタンと、「FREQ」「MACH 3」の調整つまみを搭載

 続いて、高音域を+9.0dBブーストする「PROCESS」をオンにしてみる。効果範囲は「BBEオン」とほぼ同様だ。一聴して元気な音になり、その分、ややシャカシャカとした耳障りな音も目立ってくる。比較的相性が良かったのは、「マジックナンバー」や「THIS IS IT」など、アコースティック楽器を多用した楽曲で、あまりシャカシャカとした音は気にならず、音量的には控えめな楽器の音色が際立ってくる。

 やや線が細くなる印象もあるが、弦楽器の音色もきれいだ。元気よく音楽を聴きたい人には合うと思われるが、音量を上げるとややうるさいと感じることもある。そして、低音不足がさらに顕著になる。

 そこで低音域の増強をする「LO CONTOUR」の出番だ。こちらは低音域を+2.5dBブーストするもの。効果範囲は100Hzを中心に70Hz以下から最低音域までと広い。ノラ・ジョーンズの「Even Though」のたっぷりとしたベースの鳴りっぷりがしっかりと出てきて、安定感のあるサウンドになる。

 「BBE」+「LO CONTOUR」で高域と低域の両方がブーストされるわけで、いわゆるドンシャリな音になるのだが、元々の素性の良さのせいか、肝心のボーカルが埋もれてしまうようなことはない。それぞれのボーカルの再現の変化をじっくりと聴き比べてみたが、ボーカル帯域の明瞭さが損なわれたり、微妙なニュアンスが乏しくなるようなことはなかった。

 個人的な好みとしても、「BBE」+「LO CONTOUR」がちょうど良い音のバランスに感じた。ノラ・ジョーンズとしては珍しい、ちょっと高めの声での歌い方が色っぽく、低音域も力感のわりにだらしなく響きすぎることもなく、リラックスしたムードがよく出ている。

 最後の「MACH 3 BASS」も低音域の増強だが、こちらは周波数とブースト量を可変できる。周波数は「FREQ調整」、ブースト量は「MACH 3 BASSレベル調整」のツマミを調整する。周波数の調整はツマミを最大にすると100Hzを中心とした比較的狭い範囲で、最小にすると50Hzを中心としたやや広い範囲となる。レベル調整は最小で0dB(ブーストなし)~最大約14dBまで調整できる。

 周波数調整を最大にすると、さすがに低音がボコつき、ボーカルもやや不鮮明になる。ダンスミュージックのような、ややふくらみ気味の低音感が好きな人には良いが、さすがにちょっと増強しすぎに感じる。中間~最小にすると、低音のふくらみすぎる感じは抑えられ、低音域の伸びがやや広がる。

 このため、ドラムのズシっとした響きや重量感が豊かになるように感じる。レベル調整は最大では音が割れることもあるので、ブーストしすぎに注意したい。いろいろと試してみた結果、レベルはほぼ中央。周波数は最小付近とするのが個人的にはベストと感じた。

 小口径ユニットで不足する低音域の伸びを補ってやる方向で、力感や迫力が加わるだけでなく、「THIS IS IT」のホールの広さ、ステレオで再現される音の広がりの豊かさなどが出てくる。言い換えれば、スピーカーを一回り大型のものに変えたときのようなイメージ。それでいて、小口径フルレンジの定位の良さ、実体感のあるボーカルの生々しさはそのままだ。

 トータルでは、BBE「オン」/PROCESS「オフ」/LO CONTOUR「オン」/MACH 3 BASS「オン」(FREQ中央・レベル最小)が、個人的に良いと感じた各機能の組み合わせだ。このあたりは聴く楽曲や好みによっても変わってくるので、それぞれがいろいろと試してベストなバランスを追求してみて欲しい。


本格的にいろいろと試せる音量調整機能は貴重

 PC用のコンパクトなスピーカーシステムは、手のひら大のものから、机の上で使うには置き場所に困るほどの本格的なサイズのものまで各種あり、基本的に音質はサイズが大きいほうが有利。とはいえ、できれば10cm四方の面積に置けるサイズが好ましいだろう。

 となると、低音はどうしても不足気味になるというジレンマがある。例えば、筆者の場合、低音や高音の不足を「iTunes」が備えるイコライザーで補正してみたこともあるのだが、低音域の改善などはできるものの、全体にやや音が不鮮明になるような物足りなさもあり、結局使わなかった。

 その点、BSSP10は高音域と低音域の不足を好みに応じて調整でき、イコライジングによる音質劣化を感じさせない。これならばいろいろと試して自分なりの音色に調整するにも十分実用的だ。サイズもコンパクトで使いやすいので、小さいスペースでもより良い音を楽しみたいという人には、ぜひ試してもらいたいモデルだ。


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