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四本淑三の「ミュージック・ギークス!」第8回

初音ミクから「たくろく!」へ 山口生まれのネット系シンガー

2009年11月28日 12時00分更新

文● 聞き手:広田稔、盛田諒/ASCII.jp編集部 構成:四本淑三

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山口県を一歩も出ずに録音

―― アルバムのコンセプトのようなものはありますか?

KNOTS 素というか、そのまんまなんですよ。ずっとコソコソ家で作ってきて、それを一曲づつトリートメントして、マスタリングもして、本当にプレスして出せるというところ。この曲の歌詞のこの部分を変えようとか、曲の世界観に関わる部分の干渉もまったくなかった。それが、そのまま出てしまうということ。それと山口県を一歩も出ずに作ったところですね。

すべてが自宅録音という収録曲はLOiDのオフィシャルサイトで試聴できる

―― ということはスタジオは使わなかった?

KNOTS 全部、宅録なんです。仕事が別にあるので、なかなか東京へ足を運ぶわけにもいかない。(レコーディングした)トラックを送って東京でミックスしてもらうっていうの方法としてあったんですけど、自分の頭にあるCD像がいかんせん独特で。それを再現するため、エンジニアの方に直接、綿密に自分の方向性を説明しながら作ることができない。ならば自分でやって全責任を負おう! と……思ったわけじゃないんですけど。

―― ガクッ……。

KNOTS うーん、何ていったらいいのかな。宅録の曲って、迫力を出すために微妙に全部の音が歪んでいたり、ボーカルをダブリングしてジョン・レノンの後期みたいな声になっていたりするテンプレートなイメージがなんとなく個人的にあって。それもいいんですけど、自分は近所のお兄ちゃんが「これ作ったんで聴いてみてよ」っていうような、親近感の沸く手作り感な雰囲気をめざしたんです。それがみんなにどう受け取られるかどうか、謎ですけど。これでいいんだよ、と言ってくれる人がいたらいいなと。

ダブリング : 複数のトラックを使って音を重ねること


―― プロデューサーとしての自分と、アーティストとしての自分がいるという?

KNOTS 今の自分を表現するための手法としてベストなんじゃないかと思っているんですけど。すごく音的に隙間産業的な感じになれたと思います。「一般流通では聴き慣れない音だなー」っていう意見もあるかと思います。個人的にはいい音だと思っているんですけどね。

―― こう聴いて欲しい、この部分がオレ的にはおすすめだ、みたいなものは。

KNOTS 「うそつきでもすき」という曲は、最初に「ピッピッピ」っていうクリックが聞こえて、それからギターが入って行くっていう。自分の部屋の音が鳴っている感じ、空気感がある曲だと思いますね。田舎の兄ちゃんが部屋の中で、アルバムを作って出すことができたよと。そういう感じがいいんじゃないかなと。

―― では最後にファンの方に、一言いただいていいですか?

KNOTS あの、こういうことになってすみません。

―― なんで謝るんですか!

KNOTS ははは。はい。漫画でもなんでも、自分の作りたい世界があって、それをずっとやってたら、それをひとつのパッケージにすることができました。もしかしたら余り聴いたことのない世界かも知れないですし、僕の世界観が好きだったら多分、気に入ってもらえるCDになったと思うので、よろしければぜひ聴いてみてください。

※次回はbakerさんです!

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著者紹介――四本淑三

 1963年生まれ。高校時代にロッキング・オンで音楽ライターとしてデビューするも、音楽業界に疑問を感じてすぐ引退。現在はインターネット時代ならではの音楽シーンのあり方に興味を持ち、ガジェット音楽やボーカロイドシーンをフォローするフリーライター。

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