このページの本文へ

前へ 1 2 次へ

コスト削減100本ノック 第22回

酸いも甘いも知り尽くした、ある会計士がExcelに行き着いた経緯

【22本目】マクロ無用!凄腕会計士のExcelとdesknet's活用

2009年11月25日 09時00分更新

文● 大谷イビサ/TECH.ASCII.jp 記事強力●ネオジャパン

  • この記事をはてなブックマークに追加
  • 本文印刷

会計ソフトやグループウェアから出力した数値データをExcelに取り込んで、あっという間に分析レポートを作ってしまうという一風変わった会社があると聞きつけ、さっそく取材してきた。既存の会計ソフトやグループウェアを使い切るそのノウハウと、そこに至った経緯とは?

Excelで全部できる!に至った経緯

 この会社の名前は都内に本社を置くグローウィン・パートナーズ。会計コンサルティングを中心に事業展開しており、M&Aのアドバイザリーや財務調査等も請け負っている。

 このグローウィン・パートナーズがツールとして使うのが、ご存じExcelだ。勘定奉行のような会計ソフトやグループウェアからデータをエクスポートし、それをExcelに取り込んでピボットテーブルで操作すると、会社の経理部門や経営企画部門が作成に何日もかかるようなレポートがさらっと作れてしまう。なんとVBAもマクロも使わない。会計ソフトも基本的には何でもOKだという。

 なぜ同社がこうしたことをやるようになったのか? これは代表取締役である佐野哲哉氏の職歴が大きく関係している。非常に興味深いので、しばし話におつきあいいただきたい。

グローウィン・パートナーズの佐野哲哉氏

 同氏はもともと大手監査法人に8年勤務しており、M&Aを中心に扱う部門にも在席していた。こうした中で、監査の業務にやや飽きが来ていた時に出会ったのが、時代の先端を行くITベンチャーの面々だった。当時は1990年代後半のITバブルまっただ中。「脳みそに稲妻が走るような大きな衝撃を受けました。自分と同じか、あるいは年下の人間が立派な肩書きの名刺を持って、ITを武器にすごいスピードでビジネスを展開していくんです」(佐野氏)とのことで、今度は自身がIT企業の設立に携わることになる。この会社がご存じフリービットである。

 監査法人から事業会社のCFOに転身した佐野氏は、ITベンチャーの苦渋を味わうことになる。フリービットは今でこそ利益が出ているものの、当時はかなりの赤字会社。ビジネスを進める資金を得るには、ベンチャーキャピタルに納得いく事業計画などの資料を提出していく必要があった。だが、「コストは使えないけど、収益性指標や予実比較などいろんな資料が要求されるので、徹夜でレポートを作っていました。でも、完成すると新しいプロジェクトや部署ができたということで、またイチから作り直しになるんです」(佐野氏)ということで、限界に達していた。そこで、「Excelの中級者くらいでもわかる構造で、誰でもいじれるような管理会計の仕組みを作れないかと思って、勉強していったら、ある程度までできるようになったんです」(佐野氏)。ここから会計ソフトから出力されたデータをExcelで加工し、柔軟にレポートするという現在のビジネスのアイデアが生まれたのだ。

 こうしてフリービットがある程度軌道に載り、管理会計の仕組みが整った段階で、「会計ソフト会社の方に『こんなに会計ソフトを使いこなしている会社は見たことがない。この仕組みは売れますよ』と言われたので、ビジネスチャンスと思い、起こしたのが今のうちの会社です」(佐野氏)というわけだ。

 こうした成り立ちを持つだけに、グローウィン・パートナーズは「会計コンサルティング会社なので、当社のスタッフは会計のプロフェッショナルであることは当たり前ですが、加えてみんなExcelが異常に得意というちょっと変わった会社」(佐野氏)だという。こうしたスキルとノウハウを基にM&Aの対象となる会社の財務分析をしつつ、一方で管理会計制度の構築サポートも行なっている。「M&Aの財務調査レポートでは、対象会社のプロダクトや店舗ごとの収益指標など、同業の会計事務所ではあまり作成しないようなグラフィカルなレポートを短期間で作成できます。また、短期間の調査で対象会社の管理部門よりも詳細な分析をすることもあるので、M&Aが終わった後も、買収企業側のリクエストでそのまま会計コンサルティングやアウトソーシング業務をやらせていただいている場合もありますね」(佐野氏)という。

(次ページ、desknet'sをどこで使えるのか?)


 

前へ 1 2 次へ

カテゴリートップへ

この連載の記事