高機能を盛り込んだボディ
撮像素子の世代交代をカメラユニットで乗り越えたとしても、本体側が早々に時代遅れになってしまったのではシステムとして成り立たない。それゆえ本体側のスペックは現状での最高水準とも言える機器構成になっている。
液晶は3型で「GRIII」と同クラスの約92万ドット。解像感は非常に高く、マニュアルフォーカス時でも十分ピントの合いが判断でき(MF時の拡大機能がないのはやや残念だが)、1画面の情報量の多いメニュー表示でも視認性は高い。
さらに電子水準器や角度可変ビューファインダー「VF-2」への対応、3種類のグリッド表示、シャッターボタンを一気に押し込めば設定した距離にフォーカスし、AF動作なしに撮影する「フルプレススナップ」など、GRおよびGXシリーズで好評だった機能のほとんどが盛り込まれている。
撮影機能に関してはカメラユニット側に依存するところも大きいのだが、最高30fpsの連写に対応し、最高ISO 3200の高感度撮影が可能など、現在市販されているコンパクト機の中でも平均以上のスペックを持たせている。動画記録のフォーマットはHD(1280×720ドット)対応となったが、フォーマットはAVIのみと、AVCHD、H.264など普及しつつある現状ではやや物足りない印象だ。
もっともGRIIIやGX200ではVGA動画と、これまで動画にはあまり注力していない同社製品にとってHD動画に対応したこと自体が大きな進歩で、GXRシステムを用いてより動画撮影に向いたグリップやファインダーを持つ本体ユニットが登場する可能性もあるかもしれない。
ボディデザインはGRシリーズのような高品位な質感となっており、重量感を含めて持ったときの印象は非常によい。ロック機構付きのモードダイヤルもGRそのものだ。GR/GXシリーズと異なるのは電源スイッチで、同社従来製品のプッシュタイプからスライド式に変更されている。パナソニックの「LUMIX」シリーズも同様のスライド式だが、プッシュボタンに比べて電源ON/OFFが明確なので使い心地はよい。
操作系はカーソルおよびダイヤル(アップダウンダイヤル)、ADJダイヤル(押し込むことでファンクションメニューを呼び出せるジョグダイヤル)など、GR/GXでおなじみのもの。カーソルキーは新たに8方向入力が可能となったのが目新しい。メニューの選択などでは十字入力で済むわけで、現状においてはAF点を画面上で指定するのにやや便利になったという程度ではあるものの、操作自体は面白い。
そのほか「DIRECT画面」が追加されている。背面左上のDIRECTボタンを押すとモニターに現在の撮影モードが並ぶコンソールパネルが表示され、カーソルを使ってそれぞれの値を変更できる。オリンパスが「スーパーコンパネ」として一眼レフ機などで搭載している機能とほぼ同様で、撮影時に液晶の周囲に表示されるアイコンや数字よりも、大きくて見やすく、また個々のパラメータの設定もADJダイヤルで操作するよりも簡単だ。
なお、一眼レフでは液晶画面にコンソールパネルを表示させたままファインダーを覗けば被写体が見えるのに対し、本機の場合は液晶表示は撮影アングルの確認に必要なため、表示は撮影シーンの上にオーバーラップ表示され、しかも透過率は3段階に設定できるようになっているのが面白い。いずれにせよシャッターボタンを半押しにするとDIRECT画面は消えて被写体のみの表示となるので撮影に関して邪魔にならないようになっている。
モードダイヤルにMY1~MY3というポジションが用意され、撮影のセッティングを記録させることができるのはGRやGXと同様。ただしカメラユニットごとに別々のセッティングを記録できるのは一眼レフ機にもないアイデアで、使いこなせばすばやく好みの設定が利用できる。